チワワたち犬がパニックになる雷恐怖症の原因と対処法

 

最近は異常気象が続いており、突然の大雨や雷が鳴るなんてこともよく起こります。

私も雷は大嫌いなのですが、人間以上にあの「ピカッ!ゴロゴロゴロ」という大きな音に敏感に反応してしまい、驚いて部屋中をウロウロしたり、酷いケースではパニック状態にすらなってしまうのがワンちゃんです。

そんな愛犬の様子を見て、不安を覚えてしまう飼い主さんも多いようです。

愛犬が雷恐怖症でガタガタ震えて固まったり、泣き叫んだりしてパニックになった時のために、その原因と対処法について紹介します。

チワワは何故雷が苦手なの

犬には雷恐怖症と呼ばれる雷発生時に起こる、ワンちゃんが心理的・生理的に異常なまでの恐怖反応(パニック)を示す行動があります。

ただし、全ての犬が雷恐怖症に陥るわけではなく、中には何事も感じない無いようにケロっとしているワンちゃんもいたりします。

しかし、多くの犬が雷を苦手としています。

大なり小なり雷に異常反応を起こしてしまうケースが多いワンちゃんですが、パニック状態とまでなる雷恐怖症は、15%~30%ほどとされています。

雷が平気なワンちゃんもおり、犬が雷を苦手な理由は、明白には分かっていません。

しかし、以下が一般的に犬が雷を苦手とする理由になります。

苦手とする理由
・雷の大きな音や稲光が怖くて、恐怖心から拒絶反応を示している

・気圧の変化による不快感を鋭く感じ取っている

・静電気を体に感じ、発生する痛みに怯えている

・オゾンの匂いに反応している

・飼い主が雷を怖がっているから

・性格や社会化不足

また、犬が雷恐怖症を起こした時の主な症状は以下の通りです。

主な症状
・息づかいが荒くなって、舌を出してハァハァと荒い呼吸を繰り返す

・よだれを大量にたらす

・尻尾を下げブルブルと小刻みに体を震わせて、全身の震えが続いて止まらない

・落ち着きがなく家中をウロウロと歩き回る

・お風呂場などの水辺に逃げ込む

・狭いところなどに隠れる

・トイレが普段であればできるのにお漏らしをする

・嘔吐する

・水や餌を一切受けつけない

・吠える、噛みつく

・逃走したり、ドアやリードなどの破壊行動

・痙攣、失神

雷が苦手なワンちゃんは、飼い主さんが何とか落ち着かせようと、おやつなどの食べ物や大好きなオモチャを使って気を紛らわせようとしてもダメで、全く反応できないほどのパニック状態に陥ってしまっていることが多いです。

また、普段から気が小さく怖がりの犬や、体に静電気をためやすい犬は、雷恐怖症になりやすい傾向にあるとされています。

さらに高齢犬の場合、最悪ショック死してしまう可能性もあり要注意となります。

また雷恐怖症が厄介な点が、一度発症してしまうと雷の度に経験値としてだんだん恐怖心が増し、歳と共に症状が悪化してしまうことが多いことです。

犬の雷恐怖症の発症年齢は、2歳前後が多いとされています。

これはワンちゃんの雷恐怖症が、年齢とともに悪化する傾向にある症状のためです。

このため、「学習された反応」とも呼ばれ、何度も雷の恐怖体験を味わうことで恐怖心が増していき、ついには雷恐怖症が発症してしまうのです。

ワンちゃんは雷が起こる状況を学習しており、空が曇ってきただけでソワソワし出したり、雨や強い風が起こった状態でも恐怖反応を示すようになるワンちゃんも多くいるほどです。

「大きな音や稲光が怖い」

ワンちゃんが、異常なまでに雷の大きな音や稲光を怖がってしまう原因は次の通りとなります。
犬はとても聴覚が発達しています。

関連記事:「チワワの聴覚はビックリの感度!犬の耳の形や聴覚は人間の何倍なの?」

犬は6.5万Hzまでの音が聞き取れるとされています。

これに対して人間は、2万Hz程度までが精いっぱいであり、犬は人間よりも3倍以上の音を聞き取っているのです。

さらに音の種類によっては、100倍以上の聴覚の差が生じるとされています。

このように犬と人間では音の聞こえ具合に大きな差が生じ、雷の音が遥かに大きなものすごい音として犬には聞こえている可能性が高いのです。

「気圧の変化を感じ取る」

人間でも気圧の変化を感じ取れるケースがあります。

雨の日に頭痛が起こったり、台風が近づいて低気圧になると持病が悪化したり、梅雨時に古傷がしくしく痛むなんていうことは頻繁に起こります。

これは決して気のせいではなく、気圧の変化によって起こる症状であり、「気象病」と呼ばれています。

このためワンちゃんも、雷がなる状態の不快感を伴う気圧の変化を敏感に感じ取っているとされています。

「静電気を体に感じる」

雷の正体は強力な静電気です。

このため、雷が発生する状態では、身の回りのものが静電気を帯びやすい状態となっています。

人間でも静電気が溜まりやすい服を着てしまうと、体に静電気が溜まりやすくなります。

ワンちゃんの場合、体が被毛に覆われているため、人間よりも静電気を溜めやすい体質の動物とされています。

被毛が摩擦しあうことで、どうしても静電気が発生しやすくなるそうです。

このため、特に被毛を長く伸ばしているワンちゃんの場合、静電気をため込みやすくなり、その結果、発生しやすくなり要注意となります。

雷が発生しやすい時期は、夏場の7月~9月、このため暑さ対策と雷対策を兼ねて、愛犬の被毛をこの時期は短めにカットするのもおすすめです。

「オゾンの匂いに反応」

犬の五感で最も発達しているのが臭覚です。

何と人間の1億倍もあると言われるほどです。

このためワンちゃんは、雷発生時のオゾンの匂いをかぎ取っているともいわれています。

さらに犬は、地磁気さえ感じとることが出来るともいわれています。

このように鋭い感覚を働かせて、犬は人間が感じ取れない感覚を強く感じとっている可能性もあるのです。

「性格や社会化不足」

ワンちゃんの性格だって千差万別、おおらかで楽天的だったり、反対に神経質で少しの刺激にも敏感に反応してしまうデリケートな子もいます。

残念ながら性格は先天的な要因の影響が大きく、そう簡単には変わりません。

さらに社会化不足が大きく関連してきます。

生後3~13週間の「社会化期」と呼ばれる子犬の時期に、しっかりさまざまな外部刺激を受けおくことがとても重要となります。

のちの性格や気質に影響をもたらす要因にも繋がるとされていますし、何よりこの社会化期に経験が不足すると、その後の環境に適応するための対応力が弱まり、初めての障害などに対応できなくなるのです。

このため、雷のような大きい外部刺激を耐えることが出来ずに、パニック症状を引き起こしてしまう結果を招いてしまうのです。

雷が鳴った際の雷恐怖症の対処法

「安心できる避難場所の確保」

犬は自身に危険を感じたケースでは、巣穴に逃げ込むような習性があります。

このため、日常から愛犬が安心して避難できる場所を作っておいてあげることが大切です。

一番無難でおすすめとなる安全基地は、ゲージといえます。

このため普段からケージを設置しておき、愛犬が自由に出入り出来るようにしておくのが肝心です。

これで雷恐怖症に限らず普段の生活においても、愛犬が安心して過ごせる逃げ場となるケージがあったほうが、断然ワンちゃんは落ち着いて安心して生活できます。

チワワがケージに逃げ込んだケースでは、布やブランケットなどをかけてあげるのがおすすめです。

普段からケージを愛犬が安心して過ごせる場所だと認識させておくことで、雷が鳴った際にもその場所でなら比較的落ち着けて、怖いながらも何とかやり過ごせるかもしれません。

なお、チワワがケージに入った際には、決してケージの扉は閉めないようにしてください。

万一閉めてしまうと、チワワはいざという時に逃げ出せないために、かえって恐怖を感じてしまい、外に出ようと破壊行動を起こしたりしてしまいます。

同様の理由で、脱走防止のためにリードなどで繋ぐのもよくありません。

逃げようとかえって大暴れする原因になったりしてしまいます。

雷が鳴った際には、ケージに逃げ込まずに窓から離れた家の中心に逃げ込むケースも多いものです。

これは、窓の近くだと音や振動が伝わりやすく、恐怖心が高まりやすいためです。

このため、ケージを窓の近くに置いているケースでは、窓から離してあげましょう。

トイレや洗面所、お風呂などにこっそり隠れていることも多いものです。

なお、風呂場などの水辺に逃げ込むのは、体内に溜まった静電気を放電しようとする行為ともいわれています。

湿気により静電気の刺激を緩和できるのです。

このように、飼い主さんが準備したスペースではないところに愛犬が逃げ込んでしまうケースもあるでしょう。

その場合、そこがその時には一番落ち着く場所なのかもしれませんね。

なので、わざわざケージに移したりせずそのままそっとしておいてあげましょう。

タオルやブランケットなどをかけてあげるといいですよ。

「絶対叱らない」

チワワが雷に怯えてパニック状態となり、粗相したり物を壊してしまったとしても、そのケースでは、絶対に叱ったり怒鳴ったりするのはNGです。

明白な雷のための恐怖という理由があるためチワワの責任ではなく、怒るべき対象ではありません。

この状態で叱ってしまえば、チワワは更にパニックを引き起こしてしまったり、ますます雷が嫌いになってしまうだけです。

怖い不安な時に守ってもらいたい飼い主さんに怒られてしまえばショックが増し、更にパニックになるのも当然であり、しいては信頼関係すら揺らいでしまいますよ。

このため、絶対叱らず飼い主さんは落ち着いて堂々としていてください。

いつもと同じようにしていることが肝心です。

もしもここで、飼い主さんまでが、雷を怖がってしますと、その様子を見ている愛犬が、一層雷嫌いにとなり怯えてしまうこととなります。

「大げさになだめず寄ってきたら優しく抱きしめてあげる」

雷が苦手な飼い主さんもみえるでしょうが、先ずは絶対飼い主さんが雷が苦手な素振りを見せてはいけません。

リーダーである飼い主さんが、普段と違った態度を示してしまうと、敏感でお利巧なワンちゃんは、雷はやはり恐ろしく普段と違う状態が起こっていると見抜いて不安になってしまいます。

このため、愛犬に対して必要以上に守ってあげようと考えて、いつも以上になぐさめの言葉をかけたり抱っこをする、また撫でるなどの行動を行ってしまうと、チワワに「いつもと違う!」と思わせてしまい逆効果になるので止めておきましょう。

ただし、パニックを引き起こすほどガタガタ震えてしまっていたり、愛犬が自分から飼い主さんにしがみついてきたり、抱っこしてほしい仕草を現して助けを求めたケースでは、様子を見ながら優しく接してあげましょう。

愛犬を抱きしめてあげる事は、とても大切な対処法といえます。

大好きな飼い主さんに守られていれば、チワワは最も安心することができます。

大げさになだめたりしないで、優しく声掛けしてそっと抱きしめてあげましょう。

雷恐怖症の予防法及び改善法

「脱感作療法と逆条件付け」

雷恐怖症のように何か苦手なものを怖がらないように克服するための、「恐怖症」と呼ばれる問題の緩和・克服に有効なトレーニング法が、「脱感作療法(だつかんさりょうほう)」と「逆条件付け」という行動療法です。

この二つの療法を組み合わせて行っていくことで、少しずつ苦手なものを克服していくことができます。

脱感作療法とは、犬が苦手なものの克服のために、最小限の刺激から与えて徐々に慣らしていくという考え方を用いたトレーニング方法です。

この場合実行するトレーニング法は、CDなどに入っている雷の音を最初は小さく流し、続けて少しずつ音量を上げて慣らしていくという方法となります。

逆条件付けとは、苦手なことが起こっている恐怖反応を引き起こすマイナスの刺激状態のケースで、犬にとって嬉しいことをすることにより、拮抗するプラスの刺激を条件づけて与えて、苦手意識を払拭して恐怖反応を減少させていく心理療法です

このため苦手な雷がなっている間に、好物のおやつがもらえたり、大好きなおもちゃで飼い主さんに遊んでもらえたりなど、嬉しいことが起こることを教えることで、少しでも雷へのイメージを変えていくのです。

大事なポイントは、脱感作療法と逆条件付けはワンセットであり、同時に実施することで効果が出るということです。

つまり、雷の音が苦手な犬に対しては、CDや音響テープなどで雷の音を少量で流しながら、その時におやつを与えたり、遊んであげたり、優しく撫でてあげたりします。
さらに少しずつ音量を上げながら繰り返すことで、雷へのワンちゃんの反応が変わってくるのです。

これが、「脱感作療法と逆条件付け」という行動療法です。

しかしこの方法は、あくまで雷の音に対してのイメージを改善するケースに限ると認識しておいてください。

他の原因となる、静電気や気圧の変化による不快感などの対象法ではありません。

この行動療法を行う時の注意点を覚えておきましょう。

脱感作療法を行う際の第一条件と言える注意ポイントが、「試行中は絶対に強すぎる刺激(恐怖の対象)にさらしてはいけない」という鉄則が存在します。

脱感作療法は小さな刺激から慣らしていくのが基本であり、その最中に強い刺激を与えしまうのはNGなのです。

このため、始めるタイミングや時期を考慮すべきです。

脱感作療法中である慣れさせている段階で、ワンちゃんに本物の「雷」を体験させて強い刺激をいきなり与えてしまうことは、本来絶対のNG行為なのです。

このため、雷のシーズンを避けての練習が必須と言えるでしょう。

「雷発生時の静電気の不快感を緩和する犬用特殊素材の服を着せる」

「ストームディフェンダーケープ」


アメリカのCanis社から「Storm Defender Cape Giantストーム・ディフェンダー・ケープ」という特殊加工を施したメタリック素材により、犬の体内に蓄積された静電気を取り除く服が発売されています。

この製品は、電気系エンジニアでもあり、愛犬家でもあるThomas Critzer氏(2005年他界)が、ご自身の雷を怖がる愛犬のために研究・開発した雷恐怖症を克服するための犬用ケープです。

ワンちゃんの体内に蓄積された静電気を取り除くことにより、帯電から犬を保護して雷発生時の静電気から生じる犬の不快感を緩和する効果があります。

ストーム・ディフェンダー・ケープは、米国タフツ大学教授であり、獣医師であるニコラス・ドッドマン氏の下で臨床実験され、報告書が主に獣医師向けて一般公開されています。

個体差により効果の出方には差が生じますが、雷恐怖症で毎度パニックを起こしていたようなワンちゃんが、数回の使用で落ち着いて横になれるようになったケースもあるとされています。

「サンダーシャツ」


サンダーシャツ(Thrundershirt)という、犬の雷恐怖症を軽減させる効果が期待できる服もあります。

こちらは犬の行動学に基づいて設計された服です。

犬の体に適度な圧力をかけることで恐怖を和らげ、安心感を持たせる効果が働き、それこそ抱っこされているような感覚になって安心するようです。

不安解消に効果が生じるため、雷だけではなくドライブや分離不安症状の対策にも役立つ優れものです。

サンダーシャツの効果も個体差が生じるようですが、劇的に効く子もあり、何と雷の最中でも寝てしまう子もいるそうであり、是非一度試してみるのがおすすめです。

あと雷恐怖症のみならず、車のドライブ酔いにも効果があるそうですよ。

「サンダーキャップ」


ワンちゃんの視界にフィルターをかけることで視覚的な不安を軽減します。

半透明の布地を使っているので周囲はぼんやりとして見えます。

ThunderShirt(サンダーシャツ)と組み合わせて使うとさらに有効とされています。

「サプリメント」

サプリメントを愛犬に飲ませることも、雷恐怖症の対処法となります。
オススメは「アンキシタン」という犬用サプリメントです。

「アンキシタン」


犬がリラックスする成分が入っており、雷には反応しますが、震えたりすることが少なくなるそうです。
なお、効果をあげるためには一定期間飲み続ける必要があります。
もちろん副作用はありませんので安心して服用できますが、獣医さんに症状を伝えて相談してみるのもおすすめです。