犬の胃捻転の主な予防と治療方法!気になる手術費用は

 

犬の胃捻転は、緊急性が高く、致死率の高い病気だけに、しっかりと原因を把握して予防や治療を行うべきです。

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今回は、犬の胃捻転の主な予防方法と治療方法を紹介します。

また、気になる手術費用についても紹介します。

 

犬の胃捻転の予防法

 

犬の胃捻転の主な予防法は以下の通りです。

犬の胃捻転の予防法
・大食いしないように、一度に大量の食物を与えない

・食事回数を1日2~3回という具合に数回に分ける

・早食いさせない工夫を行う

・高脂肪や発酵食材を避ける

・消化の良いものを出来るだけ与える

・フードの原材料を見直す

・食後に水をがぶ飲みさせない

・食の後、数時間は安静にさせて、すぐに散歩などの運動をさせない

・食事環境を見直す

・ストレスをかけない

 

「大食いさせない」

犬が大食いすれば、胃捻転の原因となってしまいます。

胃に大量の食物が溜まってしまうため、消化に時間がかかり、胃が膨らんでしまいます。

愛犬に大食いさせないようにするのは、飼い主さんが自覚を持ち注意すれば簡単にできてしまいます。

これは、ワンちゃんが自分で自由にご飯を食べられないからです。

つまり飼い主さんが、愛犬が大食い出来ないように、一度に大量の食物を与えないようにすればよいわけです。

このため、食事回数を日に2~3回に分け、1度に与える量を調整して、大食いさせないように予防しましょう。

 

「早食いさせない工夫」

早食もワンちゃんが、胃捻転の原因となってしまうため注意が必要です。

このため飼い主さんは、愛犬に早食いさせないための工夫を行い、予防すことがる大切となります。

実はこれも簡単に実施できてしまいます。

例えば、凹凸のある食器を使用することで食べにくくなり、ワンちゃんの食べるスピードを遅くすることが可能となります。

「ゆっくりデコボコ食器」

上記画像で分かるように、デコボコの構造に食器がなっているため、物理的に早く食べられなくなるために、間違いなく効果が生まれます。

この他にも、呑み込めない大きさのボールなどの障害物を一緒に食器に入れることでも、多少早食いを防止できます。

 

「食事環境を見直す」

予防法として、食事環境を見直してみましょう。

例えば、多頭飼いしているケースなどでは注意が必要です。

どうしてもワンちゃんを一緒に食事させると競争になりやすく、愛犬が競って慌てて食事をするケースもあるため、離した箇所で与えるなど注意を払いましょう。

また以前は、食器を高い位置に置いて食べさせることで、胃拡張の予防効果があるとされていました。

このため未だにそれを信じていれば大変。

現在では反対に、高い位置からご飯を食べさせることでリスクが高まるとされています。

愛犬に水を一度にがぶ飲みさせてしまうのもよくありません。

このため、常に新鮮な水が自由に飲める環境を整えておくことも大切です。

 

「水をがぶ飲みさせない」

食事の後に大量の水を飲むこともNG。

食物を食べて重くなった胃が、ますます水の重さも加わってさらに重くなってしまいます。

また、ドライフードは水分を吸収することで膨張する性質があるため、この意味からも食後の大量の水の摂取は望ましくありません。

 

「食後直ぐに運動させない」

食後2時間程度は、散歩などの運動をさせないのが、胃捻転を防ぐ有効な予防となります。

胃に食物が入り重くなった状態では、激しく運動して体を動かすと、胃が激しく揺れてしまいます。

このため、胃がねじれて胃捻転になったり、腸に絡まったりする恐れが生じてしまいます。

したがって、胃の食物が消化されて胃が軽くなるまでは、ワンちゃんを運動をさせないように注意すべきです。

 

「フードの原材料に注意」

出来るだけ消化の良い物を食べさせるように注意することが、胃捻転の大切な予防法となります。

高脂肪や発酵食材を避けるように注意しましょう。

硬い物より柔らかい食べ物のほうが消化が良くなります。

また、ある程度小さく刻んであげれば消化が良くなります。

ただし、あまり小さなものばかりにしてしまっても、丸のみしやすくなり注意が必要です。

フードの原材料一覧にも注意を払ってみましょう。

原材料一覧は、上位に明記される原料ほど量が多くなるため、例えば、上位4つ以内に脂肪が含まれていないフードを選ぶことで、リスクを抑えることが可能となります。

また、良質の動物性のタンパク源を使用したフードであれば、消化がしやすくなります。

 

「ストレスを与えない」

激しいストレスは、胃の働きを低下させてしまいます。

このため、愛犬にストレスを与えないことも、立派な予防策となります。

しっかり愛犬とコミュニケーションを図り、愛情不足とならないように注意しましょう。

 

犬の胃捻転の検査法

 

犬の胃捻転の状態を把握する場合の主な検査は、レントゲン検査やエコー検査となります。

これに加えて、血液検査を行うこともあります。

検査費用は以下の通りです。

・レントゲン:1,000円~1,500円/1枚(複数枚とることがあります)

・エコー検査:5,000円前後

・血液検査:10,000円~15,000円前後

 

犬の胃捻転の治療法

 

犬の胃捻転の主な治療法は次の通りです。

胃捻転の主な治療法
・胃チューブや胃穿刺などを使って、拡張した胃のガスを抜いて減圧する。

・胃内の洗浄

・不整脈などの治療薬を投与

・ショック状態の緩和

・点滴による栄養補給

・開腹手術を行い、捻転した胃をもとの正常な状態に戻す。

・胃の周りのダメージを受けた臓器での修復や摘出処置。

・胃の捻転再発防止として、胃固定術をする。

・合併症、感染症などに対する治療を行う。

 

「胃の減圧」

胃捻転の原因となる、お腹をパンパンに膨れ上がらしているガスを抜き、胃の減圧を行います。

拡張した胃のガスを抜く一般的な方法は、口から細いチューブを胃に入れて、膨れた胃の減圧を行います。

また、胃穿刺(いせんし)などを用いて、皮膚の上から胃内に針を刺してガスを抜くこともあります。

胃穿刺は、通常は検査のために血管や体腔内、内臓などに刺す注射針として使用されますが、それ以外にも、体内にたまった体液やうみを排出するためにもよく使用されます。

 

「ショック状態の緩和」

胃捻転で病院に来るケースでは、多くの場合でワンちゃんは、すでにショック状態に陥っています。

このため、血管の確保を行い、点滴でショック状態の回復をはかることとなります。

 

「胃内の洗浄」

胃の減圧目的でガスや内容物の除去を行った後に、胃内の洗浄を行います。

またこの時、不整脈などの問題症状が生じていれば、それに合わせて治療薬を投与することもあります。

 

「点滴による栄養補給」

胃捻転の治療を行う場合、当分の間、食物を食べることができないため、点滴による栄養補給を行います。

 

「外科手術」

上記で紹介したような処置を行い、犬の状態を少しでも回復させ、その後全身麻酔による開腹手術を行い、胃を正常な位置に戻します。

なお、胃捻転の再発率はかなり高いため、通常はさらに再発防止のために胃が動かないように固定する胃固定術を行います。

胃固定術を行うことで、胃捻転の再発防止を防げますが、胃拡張の再発は防止できません。

このため一度胃捻転を起こした愛犬は、胃拡張には十分注意していくようにしてください。

なお、気になる手術費用ですが、20~35万円程度かかります。

また、再発防止のための胃固定術まで行えば、35~50万程度もかかります。

主な内訳は以下の通り。

・診察料(再診料):500~1,500円

・麻酔:10,000円前後

・静脈留置と静脈点滴:5,000円前後

・ガスを抜く処置:50,00円前後

・検査費:10,000円~15,000円程度

・入院費:3,000円~10,000円/日

これにそれぞれの手術費用、15~25万円程度が加わることとなります。