犬の急性胃腸炎と慢性胃腸炎と出血性胃腸炎のそれぞれの原因と症状

 

犬の胃腸炎は、最もポピュラーな胃腸の病気といえ、犬の胃腸に何らかの異常が起こった状態であり、主な症状は下痢や嘔吐、腹痛などですが、近年増加しています。

これは犬のご飯が多様化し、雑食化したことなどに影響しています。

犬の胃腸の病気を総称として「胃腸炎」と呼びますが、犬の胃腸炎には急性と慢性があり、さらに出血を伴う胃腸炎があります。

急性と慢性の区別は、症状が一週間以内で治まるかどうかが、判断基準となります。

今回はそれぞれの犬の胃腸炎の主な原因と症状について紹介します。

 

犬の胃腸炎の原因

 

「急性胃腸炎の原因」

症状が一週間以内で治まるものが急性胃腸炎といえます。

急性胃腸炎の主な原因は次の通りです。

急性胃腸炎の主な原因
・異物を誤飲した

・細菌

・ウイルス

・寄生虫

・中毒

・薬の服用

・食べ過ぎ

・脂肪分が多い食べ物

・食べなれない食べ物

 

「異物誤飲」

急性胃腸炎の原因として、最も多いとされるのが異物誤飲といえます。

本来であれば食べるべきではないものを食べてしまうため、胃腸を傷つけたり刺激を与え、胃腸炎を起こしてしまいます。

「細菌」

カンピロバクター、クロストリジウム、サルモネラなどの細菌が原因となって胃腸炎を起こします。

「ウイルス」

コロナウイルス、パルボウイルス、ジステンパーウイルスなどによって胃腸炎を起こします。

コロナウイルスは比較的軽症で済みますが、パルボウイルス、ジステンパーウイルスなどは重症となりやすいので注意が必要です。

「寄生虫」

回虫、コクシジウム、ジアルジア、トリコモナスなどの寄生虫によって胃腸炎を起こします。

「中毒」

植物などを食べてしまうことで、中毒症状が生じ胃腸炎を起こします。

「薬の服用」

非ステロイド性抗炎症剤などの影響から胃腸炎を起こします。

「食事の影響」

大食いして食べ過ぎたり、生ごみなど腐ったものや食べなれないもの、また脂肪分が多い脂っこいものなどを食べて、胃腸に刺激を与え胃腸炎を起こします。

食べなれない新しいものを与える場合は、量を抑えて注意しましょう。

また、真夏などの暑い時期は、置き餌が腐敗することも多いため注意しましょう。

 

「慢性胃腸炎の原因」

症状が一週間以上続くものが慢性胃腸炎といえます。

慢性胃腸炎の主な原因は次の通りです。

慢性胃腸炎の主な原因
・消化不良

・胃腸の運動機能の低下(加齢・体調不良)

・ストレス

・アレルギー

・遺伝

・病気の影響

 

「消化不良」

消化不良が原因となって、なかなか胃腸炎が改善せず、慢性胃腸炎となってしまうことがよくあります。

「胃腸の運動機能の低下」

加齢や体調不良などの影響から、胃腸の運動機能の低下が生じ、それが原因となって慢性胃腸炎となります。

「ストレス」

ストレスが改善されず続くことで、胃腸炎が継続して慢性胃腸炎となります。

愛情不足、運動不足、引っ越しや新しい同居犬が増えたなどの環境変化など、いろいろストレス原因がありますが、先ずは出来るだけコミュニケーションを図ってストレス解消を目指してあげましょう。

ストレス発散には散歩が凄く有効、運動不足も解消できるし、コミュニケーションの向上にも繋がるので、積極的に散歩をしてあげましょう。

また、排泄物をそのままにしていたりする、不衛生な環境もストレスを与えてしまいます。

さらに不衛生な環境の場合、ウイルスや細菌などの感染症を起こしやすくなるので注意してください。

 

「出血性胃腸炎の原因」

出血性胃腸炎とは、胃や腸の炎症の状態が、出血が起こるまで悪化した病気です。

胃や腸の粘膜が急激に破壊されて出血が生じており、血液不足となってショック状態に陥ることもあるため注意が必要です。

また、炎症箇所から細菌や毒素が侵入することもあり、その結果、敗血症を引き起すケースがあり、そうなれば最悪命の危険もあります。

現在、出血性胃腸炎は、まだ明白な原因が分からないとされていますが、遺伝や免疫力の低下、誤飲などが原因とされており、さらに慢性的な胃炎や腸炎が原因になると指摘されています。

出血性胃腸炎を発症しやすい犬種は次の通りなので注意が必要です。

出血性胃腸炎を発症しやすい犬種
・ミニチュアシュナウザー

・トイプードル

・ミニチュアダックスフント

・マルチーズ

・ポメラニアン

 

犬の胃腸炎はうつるのか?

 

犬の胃腸炎の場合、胃腸炎を引き起こす原因がうつるといえます。

つまり、ウイルス感染や細菌感染、寄生虫感染などの感染症が原因となっていれば、犬同士での感染が生じるため、多頭飼いしているケースでは特に注意が必要です。

また、原因が人獣共通感染症であれば、人間にうつる可能性もあります。

犬が感染する通常ケースとしては、感染犬の糞便や嘔吐物の匂いを嗅いだり、舐めてしまうことが原因となります。

また、ジステンパーウイルスなどの場合は、咳やくしゃみなどから感染してしまいます。

ただし、ジステンパー、パルボウイルス、コロナウイルスなどのウイルス性感染症の場合は、定期的なワクチン接種によって感染を防ぐことが可能となります。

 

犬の胃腸炎の症状

 

「急性胃腸炎の症状」

急性胃腸炎の主な症状は次の通りです。

急性胃腸炎の主な症状
・嘔吐

・下痢

・吐血

・腹痛

・お腹がキュルキュル鳴る

・元気がない

・食欲不振

・脱水症状

・血便

犬が急性の胃腸炎を起こした場合、嘔吐を何度も繰り返し、激しい吐き気を伴い、さらに下痢が起こります。

胃の中に吐くものがなくなっても、胃液や粘液のみを嘔吐し続け、血混じりの胃液を吐いたりします。

このため、脱水症状を誘発させることも少なくないため注意が必要です。

また、中毒性のあるものを誤飲した場合は、激しい嘔吐や下痢、よだれ、震え、ふらつきや痙攣、稀に発熱などの症状が現れることもあります。

 

「慢性胃腸炎の症状」

慢性胃腸炎の主な症状は次の通りです。

慢性胃腸炎の主な症状
・元気消失

・食欲不振

・時々吐く

・お腹を触ると痛がる

・頻繁に水をよく飲む

・ゲップが続く

・おならが良く出る

・口臭がきつくなる

慢性胃腸炎の場合、急性胃腸炎と比べて症状が軽く見えるため、はっきり分かりにくいのが特徴です。

何度も症状が繰り返されるのが一番の特徴ですが、ワンちゃんも痛みや不快感などに慣れが生じ、反応も鈍ってきたりします。

元気がなくなり、食欲不振の状態が続いています。

このような状態の場合、愛犬のお腹を触ってチェックしてみましょう。

愛犬が腹部を触られるのを嫌がる場合は要注意、またゲップが続いたり、よくおならが出たりするはずです。

さらに口臭が強烈にきつくなります。

このような、いつもと違う様子が見られた場合は、動物病院に早急に一度愛犬を連れていってみてください。

 

「出血性胃腸炎の症状」

出血性胃腸炎の主な症状は次の通りです。

出血性胃腸炎の主な症状
・元気がなくなる

・食欲不振

・嘔吐

・黄色い胃液を吐く

・赤黒い血便が出る

・脱水症状の悪化

出血性胃腸炎の特徴は、胃腸炎が出血が起こるまで悪化した状態であることです。

黄色い胃液を吐くことが多いので注意してください。

また、赤黒い血便が出る状態では、出血性胃腸炎が進行しており、最悪命の危険も生じるため、至急動物病院に連れて行って治療を受けてください。