愛犬の目が腫れたりできものが出来た時の注意する病気は何?
ワンちゃんは喋れないだけに、よく目で訴えてきますよね。
それだけに愛犬とのアイコンタクトはとても大切であり、私もすぐ愛犬の目を見てコミュニケーションを図っています。
そんな具合に愛犬の目を見る機会が多いのですが、ワンちゃんの目が腫れているように感じるケースがあるはずです。
そのような場合には、よく目を前足で擦って気にしたりする仕草が垣間見えます。
また、愛犬の目にできものが出来たなんていうケースもあるでしょう。
目にものもらいが出来ると、「他のものをもらえば治る」と言われており、私が子供のころ目にイボが出来た時には、ばあちゃんがこれをもらえば治るよとおやつをくれたりしたのを覚えています。
これが本当ならば、愛犬にご馳走を振舞ってあげるのですが、さすがにそれでは残念ながら治りませんね。
さて今回は、愛犬の目が腫れたりできものが出来た時に、注意するべき病気について紹介します。
犬の目が腫れたケースでの注意すべき病気
眼瞼炎
眼瞼炎とは、まぶたに炎症症状が起こる病気であり、腫れと痛みを伴います。
眼瞼炎は、症状が発生する部位によって次の3種類に分けられます。
1.眼瞼縁炎
まぶたの縁の部分であるまつげの根元の箇所に炎症が起こるのが眼瞼縁炎です。
発疹が出たり、かさぶたになってしまうようなこともあります。
2.眼瞼皮膚炎
まぶたの皮膚の部分に起こる炎症が眼瞼皮膚炎です。
かゆみや腫れが起こり、アレルギー性の炎症であることが多いとされています。
3.眼角皮膚炎
眼角皮膚炎とは、目のめじりの箇所に起こる皮膚炎です。
眼瞼皮膚炎と同様で、アレルギー性の炎症が原因となってかゆみや腫れが起こります。
「眼瞼炎の原因」
上記3つのタイプによって原因は異なります。
眼瞼縁炎の場合は、「感染性」と「非感染性」の2つの原因があります。
感染性の眼瞼縁炎の場合は、細菌やウイルスが感染したことが原因となっています。
非感染性の眼瞼縁炎の場合は、皮脂腺からの皮脂の過剰分泌が原因となって起こります。
眼瞼皮膚炎・眼角眼瞼炎の場合の主な原因はアレルゲンとなります。
アレルゲンは、身の回りにある化学物質を始めとして様々なものがあります。
「眼瞼炎の治療」
感染性の眼瞼縁炎の治療は、細菌やウイルスに対抗するために、抗菌薬・抗ウイルス薬などの治療薬を点眼します。
非感染性の眼瞼縁炎の治療は、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)などの点眼薬や、眼軟膏を塗布します。
眼瞼皮膚炎・眼角眼瞼炎の治療方法は、原因であるアレルゲンを遠ざけることです。
このためには、検査によってアレルゲンを知ることも必要になります。
また、炎症を抑えるステロイド性の薬剤を投与したりもします。
緑内障
緑内障は、目の中にある眼房水(がんぼうすい)という液体が、供給と排出のバランスが崩れ、一定の量より多く溜まってしまうことで、眼圧が高くなり視神経が圧迫され視野が悪化してしまう病気であり、強い痛みと充血を伴います。
犬の緑内障の症状は以下の通りです。
・黄色く粘り気がある目やにが出る
・目を痛そうに盛んにしばたかせる
・痛みのため顔を触られることを嫌がる
・目が充血する
緑内障は、上記のようにいろいろな症状がありますが、これらの見て分かるような症状が出てきてしまった時点では、かなり進行してしまっており、手遅れの場合がほとんどいえます。
緑内障は、視神経が死んでしまうため、一度失った視野を元に戻すことはできません。
このため、早期発見が望まれる病気といえます。
緑内障は、視野が狭くなるため視界が悪くなる病気です。
そのため愛犬は頻繁に物にぶつかるなどの行動が目立ってきたり、動きが鈍ったりするため、そのような異常行動を見逃さないように注意しましょう。
「犬の緑内障の原因」
犬の緑内障の原因は、遺伝性によるものと、加齢によるものが多いとされています。
・遺伝による先天性もの
・続発性と呼ばれるブドウ膜炎、水晶体脱臼、眼球周辺の腫瘍といった病気によるもの
・原発性と呼ばれる犬種の遺伝によるもの
「先天性」
遺伝的な要因が原因とされ、生まれつき眼房水を排出する器官自体に何らかの異常がある場合です。
この場合、通常眼房水を排出する器官が狭なっており、その影響から眼房水の排出が上手く行われず、その結果として正常量以上に眼房水が溜まってしまうこととなります。
したがって、眼圧が上がることとなり、緑内障になってしまいます。
「続発性」
目の眼圧が上がってしまう病気にかかった場合、同時に緑内障も誘発してしまう可能性があります。
ブドウ膜炎、水晶体脱臼、眼球周辺の腫瘍などの病気が、眼圧が上がってしまう病気といえます。
特にブドウ膜炎は要注意であり、ブドウ膜炎から緑内障に発展してしまうケースが多いとされています。
「原発性」
理由もなく、突然緑内障を発症するケースがあります。
この場合、原発性緑内障であることが多く、緑内障にかかりやすい次の犬種は注意すべきです。
・紀州犬
・シー・ズー
・トイプードル
・マルチーズ
・ビーグル
・テリア
・フレンチブルドッグ
・コッカ―・スパニエル(アメリカン、イングリッシュ)
・ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
・シベリアンハスキー
・グレートデン
・ダルメシアン
緑内障は、目の機能が低下する高齢犬がかかりやすいと言われていますが、上記のような犬種は、元々眼房水の出口が狭くなっており、緑内障にかかりやすい好発犬種のため、年齢を問わずに緑内障にかかりやすいため、例え若い犬でも注意が必要となります。
「犬の緑内障の治療」
治療法は大きく分けて以下の2種類ですが、完治は不可能な病気だと認識しておきましょう。
・内科治療による投薬(目薬・経口薬)
・外科治療(手術)
「内科治療による投薬」
眼圧を下げるための目薬を用いて治療します。
症状よっては、経口薬や点滴などが使用されます。
初期の緑内障の場合であれば、瞳孔を収縮させる目薬を使用して病気の進行を遅らせる治療がとられます。
あくまで痛みをとることと、症状の進行を遅らせることが目的の治療であり、基本的には外科治療が必要となります。
「外科治療」
犬の緑内障の外科手術は、眼圧を上げる原因となっている眼房水の狭くなった出口を広げる目的で行われます。
また、緑内障が進行してしまった手術を行っても回復が見込めない状態でも、眼球の痛みを和らげる目的で行うケースもあります。
犬の目にできものが出来たケースでの注意すべき病気
「マイボーム腺炎(ものもらい)」
まつ毛の表と裏の部分に油脂を分泌する腺があり、これをマイボーム腺といいます。
マイボーム腺から出る分泌液によって、瞼の開閉をスムーズに行うことができます。
俗にいう「ものもらい」という奴ですが、地域によって「めばちこ」や「めいぼ」「めもらい」とも呼ばれ、こちらの呼び名のほうがピンとくる方も多いかもしれませんね。
マイボーム腺が炎症を起こしてしまう状態を刺し、主な症状は以下の通りです。
・瞼の縁が赤く腫れあがる
・目やにや涙が多く出る
・痒みを伴う
・目が開けずらくなる
・目を擦って、角膜を傷つけてしまう
マイボーム腺には、細菌感染により急性炎症を起こす「麦粒腫」と、マイボーム腺の詰まりによる慢性炎症である「霰粒腫」の二種類に区別されています。
「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」
細菌感染によってまぶたが炎症を起こす病気であり、瞼全体的に腫れるケースと、局所的にイボのようなものができる場合に特徴が分かれます。
原因は、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌です。
また、痛みと炎症が強く出ることが多いとされ、主に若い犬で発症するケースが多いとされています。
「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」
霰粒腫は、マイボーム腺の出口が詰まってしまうことから分泌物が中で溜まり、瞼の内側にしこりのようなものが出来るのが大きな特徴といえます。
霰粒腫という病名は、「霰(あられ)」の「粒(つぶ)」のようなしこりができることから名付けられました。
マイボーム腺が詰まってしまう理由は様々ですが、原因不明であることが多いとされています。
比較的痛みは弱く赤みなどもあまり見られませんが、時間が経過するに伴って、腫れがひどくなっていく傾向があります。
「治療方法」
麦粒腫と霰粒腫で治療法は異なります。
麦粒腫の場合は、細菌感染が原因となるため、抗生物質の投薬によって改善が見込めます。
問題は霰粒腫の場合であり、原因がマイボーム腺が詰まってしまうことのため、外科的治療が必要となります。
結膜の切開を行い、強制的に滞留物を排出して、霰粒腫部分の切除を行うこととなります。
「チェリーアイ」
出典:photo by joel mills
チェリーアイは、自然治癒することはまずないため、早期発見、早期治療が必要であり、放置すれば失明の可能性もある恐ろしい病気だと認識しておきましょう。
チェリーアイとは、病名のように見た目がサクランボのようなピンク色のできもので、この写真の通りです。
腫瘍が出来たのかと心配する飼い主さんもいるでしょうが、目頭の近くにある瞬膜が飛び出した状態なのです。
瞬膜は、まばたきをした時に、目の内側から瞬間的に飛び出してくる膜のため、瞬膜と呼ばれており、水平方向に動いて眼球を保護する役目があります。
主に鳥や爬虫類の目に存在していますが、犬の目にも存在します。
チェリーアイは、外傷や事故などによっても発症しますが、主に遺伝的な要素が原因していると考えられており、チェリーアイを発症しやすい好犬種は次の通りです。
・コッカースパニエル
・フレンチブルドッグ
・シーズー
・ビーグル
・ボストンテリア
チェリーアイについて詳しく知りたい方は、次の記事を参照してみましょう。
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