犬が伸びのポーズや祈りのポーズをするのは何故?原因や症状は?

 

愛犬の様子をうかがっていると「伸びのポーズ」や「祈りのポーズ」をすることに気づくことがあるはずです。

伸びのポーズといえば、ストレッチのことかなと想像が出来そう。

愛犬が寝起きの時にはほぼ確実に伸びのポーズを行い、ずっと同じ姿勢で寝ていたための筋肉の緊張をほぐしています。

これはあなたも納得の動作といえることでしょう。

でもちょっとまって、犬が行う「祈りのポーズ」って一体何?

何か悪い宗教にでもハマったか。

祈りのポーズと言われて、思わず首を捻ってしまう飼い主さんが多いかもしれませんね。

それではそんな飼い主さんのために、まず最初にワンちゃんが行う「祈りのポーズ」を動画で確認してみましょう。

 

 

どうですか、前肢を伸ばして胸を床につけて、その格好でお尻を高く持ち上げて、それこそ何かお祈りでもしているように見えませんか?

でも実際は、ワンちゃんは悠長にお祈りなんかしているわけではありません。

結構ヤバイ必死な状態だったりしているんですよ。

詳細は、この後説明しますね。

さて今回は、愛犬が行うこのような伸びのポーズや祈りのポーズにスポットをあて、こんなポーズを行う原因やその時の症状などについて紹介します。

 

犬の伸びのいろんなポーズ

 

最初に犬の伸びのポーズや祈りのポーズの話をしましたが、広い意味ではこれらのポーズも全て伸びの種類の一つといえます。

順番に伸びの種類を見ていきましょう。

 

「ストレッチ」

ワンちゃんが伸びのポーズをするにも、いくつかの意味があります。

一番単純で分かりやすいのが「ストレッチ」目的。

これは私たち人間だって頻繁に行います。

筋肉の緊張をほぐすために、大切な運動といえます。

私も寝起きには、軽く体操を行いストレッチもするように心がけています。

ワンちゃんも寝起きにはほぼ伸びを行いっているから、ちょっと確認してみてください。

 

「プレイバウ」

あなたは「プレイバウ」って言葉を聞いたことがありますか?

これはカーミングシクナルの一つであり、「落ち着かせる信号」という意味を持ち、他の犬や飼い主に対して行うボディランゲージの一つとされています。

当然ですが犬は言葉を喋れません。

したがって、ボディランゲージは飼い主と愛犬が意思を通じ合うためには、とても大切な情報交換の方法となります。

プレイバウというカーミングシクナルは、一見伸びをしているような動作であり、前肢を伸ばし、伏せの状態でおしりを高く上げる姿勢となります。

あれっこれって、先ほど動画で確認した、「祈りのポーズ」に似てますね。

通常、プレイバウは、他の犬や飼い主さんを遊びに誘うと時に行うポーズとされており、また相手が興奮してしまった時に「落ち着いて」となだめる時にも行ったりします。

そのため通常は動きながら一瞬にして行い、しっぽを左右に大きく振っているものです。

したがって、静止した状態でゆっくりと行っていた「祈りのポーズ」との違いが見てとれます。

 

それではまた、動画で2匹のワンちゃんがプレイバウを炸裂させながら、仲良く遊ぶ様子を見てみましょう。

 

「祈りのポーズ」

祈りのポーズは冒頭で確認してもらいましたね。

実は愛犬が祈りのポーズを行っている場合は、ちょっとマズイと言えます。

それは、お腹が痛くて腹痛を我慢するあまり、あのようなお尻を上げるポーズを行っているからです。

したがって、愛犬が頻繁に「祈りのポーズ」を行う場合、ひょっとしたら深刻な病気が潜んでいる可能性があります。

プレイバウと祈りのポーズの根本的な違いは、プレイバウには遊びに誘う対象となる相手が存在しますが、祈りのポーズの場合、対象はなく一人で行っています。

また、尻尾の動きに差がでます。

プレイバウは、楽しそうに尻尾を上げたり振ったりしていますが、祈りのポーズのケースでは、尻尾を下げて、さらに股に挟んでしまっている事が多いといえます。

 

犬が祈りのポーズをする原因となる関連の病気

 

「胃腸の病気」

急性胃腸炎など、ウイルスなどの感染症によって腹痛を起こし、犬が祈りのポーズを行うことは多いといえます。

胃腸の病気では、腹痛の他に通常嘔吐や下痢を伴うことが多いのが特徴といえます。

このような症状が2週間以上続くようなケースでは注意が必要となり、、炎症性腸疾患やリンパ腫などの腫瘍の疑いも生じるため、一度動物病院を受診するべきといえます。

 

「胆嚢粘液嚢腫」

胆嚢粘液嚢腫を引き起こしたケースでは、胆嚢が破裂してしまうこともあり注意が必要です。

このような状態となると、消化酵素である胆汁がお腹の中に漏れてしまい、胆汁性腹膜炎になってしまう危険性があります。

このため激しい腹痛が生じ、嘔吐したりもします。

腹痛から食欲不振を招き、さらに黄疸などの症状が出ることもあります。

 

「膵炎」

膵炎は、膵臓から分泌される消化酵素である膵液が、コントロールが狂い膵臓自体に損傷を与え、炎症を起こしてしまう状態です。

急性膵炎と慢性膵炎があり、急性膵炎が長期化して、何度も繰り返してしまうと慢性膵炎となってしまいます。

腫瘍や異物などが、「膵管」に詰まってしまうことで、消化酵素である膵液が逆流したり、胆嚢や腸など他の箇所の炎症の影響などにより、起こってしまいます。

高脂肪の食事を大食した時などや、いつもそのような高脂肪の食事を続けていると、かかりやすくなってしまいます。

好発犬種は、

・ミニチュアプードル

・ミニチュアシュナウザー

・コッカースパニエル

・ヨークシャテリアなど

 

急性膵炎の場合は、突発的に激しい痛みや嘔吐、下痢などの症状があらわれ、食欲不振を招きます。

激しい嘔吐や下痢のため、脱水症状を招くこともあり、そのため水を多く飲みますが、飲んではまた嘔吐を繰り返したりしてしまいます。

腹部の激しい痛みのため、愛犬の「祈りのポーズ」がよく見られます。

一方慢性膵炎は、嘔吐や下痢が断続的に続きます。

このため、体重の減少が生じ、食欲も減少します。

悪化させてしまうと、黄疸などの症状も発症し、糖尿病となることもあります。

 

「胃捻転(いねんてん)」

先ず最初に胃がガスでパンパンに張って膨らむ、胃拡張が起こります。

その後運動などしてしまうと胃が捻じれてしまい、胃捻転となります。

胃がねじれたり、周りの臓器を圧迫することで、血液が遮断されて壊死してしまったりします。

その結果、多臓器不全を起こしてしまい、最悪死亡してしまうこともあります。

このため、時間勝負であり、できれば2~3時間以内に治療を開始したいところです。

5~6時間以上経過すると回復が困難とされるため、早急な処置が必要です。

したがって、犬の胃が風船のようにパンパンに腫れた時には、迷わず至急動物病院に連れて行ってあげましょう。

ご飯を大食いや早食いし、その後すぐに散歩など運動をしてしまうと、重くなった胃が左右に振られ、捻じれて胃捻転を起こしてしまう可能性が高まります。

特に次のような大型犬に発症しやすいといえます。

・グレートデン

・ボクサー

・ジャーマンシェパード

・セントバーナード

・ドーベルマン

・ワイマラナー

・アイリッシュセッター

・スタンダードプードル

・秋田犬