愛犬が肺がんにかかる原因と初期から末期までの3段階の症状

 

現在犬の死亡原因のナンバーワンが癌です。

癌はとにかく早期発見治療が大切な病気ですが、初期症状があまりなく、既に気付いたときには末期症状というケースも多くあります。

今回は、犬の肺がんの症状について段階別に分かりやすく紹介するとともに、肺がんになる原因についても紹介します。

 

犬の肺がんとは

 

犬の肺がんは、原発性肺腫瘍と転移性肺腫瘍の2種類に大別できます。

原発性肺腫瘍とは、肺に直接できる腫瘍のことであり、多くは悪性腫瘍となります。

割合は10%未満程度です。

肺がんの多くが、もう一つの転移性肺腫瘍であり、これは他臓器にできた腫瘍の転移によるものであり、肺には口腔内、乳腺、気管支、腎臓、骨、子宮、卵巣、甲状腺など、あらゆる部位で出来た癌の血液が運ばれてくるため、転移性肺腫瘍になりやすいのです。

 

犬の肺がんの原因

 

犬の肺がんの多くが転移性肺腫瘍であり、この場合、多臓器に発生した癌の転移が原因となります。

一方の原発性肺腫瘍の場合は、まだ明らかな原因の特定には至っていませんが、次のようなところが原因とされています。

・遺伝や体質による

・受動喫煙のため

・化学物質の吸引

・アスベストの影響

・発ガン性物質の摂取

 

「間接喫煙」が愛犬の原発性肺癌の有力な原因の一つとされています。

喫煙者がいる世帯に住んでいる犬の方が、はるかに肺がんの発症率が高くなるとの研究報告が数多くあがっています。

また、発ガン性物資の吸引については、パグなどのような短頭犬種の方が、鼻腔が短く簡単に肺に届いてしまうため、肺がんの発生率が高いとされています。

さらに小型犬種よりも中型犬や大型犬、若齢犬よりも高齢犬の方が肺がんを発生する可能性が高い傾向があります。

特に若齢犬が肺がんにかかってしまうと、進行が早いので要注意となります。

 

犬の肺がんの症状

 

原発性肺腫瘍の場合、特に目立った症状がなく、なかなか早期の発見が困難とされています。

肺がんの一般的な症状は、以下の通りです。

肺がんの一般的な症状
・咳

・嗚咽

・呼吸困難

・無気力

・原因不明の体重減少

・元気がなくなる

・体力の低下

・散歩を嫌がり遊ばなくなる

・嘔吐

・発熱

・食欲の低下

 

初期、中期、後期(末期)のステージ別に症状を見ていきましょう。

 

「初期段階」

犬の肺がんの初期段階の症状は、殆ど無いため、かなり発見が難しいとされています。

癌が出来る箇所によって症状も異なり、肺野部と呼ばれる箇所に発生した場合、初期症状は殆どありません。

また、肺門部と呼ばれる、左右の肺の真ん中の部分に肺癌が発生した場合は、次のような症状が見られます。

・咳がでる

・息切れが起こりやすくなる

・血痰が出ることがある

この段階で肺がん発見をすることができれば、まだ転移はしていません。

 

「中期症状」

犬の肺がんが中期段階となると、癌の腫瘍もかなり大きくなり、転移が始まってしまいます。

まずは肺の周りの横隔膜や胸壁、胸膜、気管支などに転移が始まりだします。

この段階まで症状が進むと、愛犬にいろいろな異常が生じてきます。

主な目立つ症状は次の通りです。

・体重がかなり減少します

・激しい咳が出ます

・呼吸が苦しそうになります

・呼吸音にヒューヒューなどの異音が混じったりします

・発熱

・ぐったりして元気がありません

 

「後期(末期)段階」

肺がんが後期(末期)段階となってしまうと、遠隔転移し始めており、肝臓や脳にまで広がってしまいます。

肺がんは両肺に広がり、横隔膜や胸膜等にも両側でできてしまっています。

さらに生じてくる主な症状は以下の通りです。

・嘔吐が加わってきます

・下血や吐血も起こってきます

・歩行困難でもはや歩けません

・意識混濁

・痙攣

最終的には昏睡状態からそのまま死に至ることが多いです。

犬の肺がんは、悪化してしまうと呼吸自体が困難となり、息をすることがもはや苦しく、窒息に近い状態となるため、とても苦しいものとなってしまいます。

このため、末期段階ともなれば、薬などで少しでも愛犬の呼吸を楽にしてあげることが望まれます。

もはや延命治療ではなく、愛犬の生きている間の生活の質(QOL)をできるだけ高めてあげて欲しいと思います。

肺がんの場合、特に愛犬の様子が苦しく見えてしまうため、思わず安楽死を選択する飼い主さんも多くいます。

安楽死については賛否両論ありますが、私は安楽死は反対の立場といえます。

我が家では、先代の愛犬のミニチュアシュナウザーのキャンディを看取った時には、最後はほとんど意識が無くなっていましたが、それでもカラダをさすって優しく声かけをしていると、ときたま薄目を空けて、嬉しそうにこちらを眺める時がありました。

いくら苦しくても愛犬にとっては、大好きな飼主さんと最期まで一緒にいられることこそが、一番幸せなのではないかと感じさせてもらえる瞬間でした。

たとえ意識が無いように感じても、大好きな飼い主さんの優しい声は必ず愛犬の心に届いているはずです。

見ていられない辛い状態に感じられても、一緒に頑張って寄り添ってあげる事こそが、飼い主さんの務めであり、愛犬もそれを望んでいるように私は感じています。

愛犬と出来る限り一緒に過ごしてあげ、無理のない生活を送らせてあげるようにして、少しでも楽しい思い出作りをしてあげましょう。