愛犬が肺がんで咳がひどくなった時の対処法と手術の可能性について

 

犬の肺がんは他の癌と異なり、末期になるとかなり辛い症状が現れ、思わず飼い主さんであれば、愛犬から目を背けたくなるほどです。

激しい咳が出て呼吸困難に陥り、窒息しそうな程苦しんだりしてしまうのです。

今回は、このような肺がんで激しい辛い咳がでる際の対処法と、このような苦しい思いを愛犬にさせないように、肺がんを初期症状で見つけたケースなど、どのような条件下であれば手術が可能かについて紹介します。

 

肺がんで咳がひどくなった場合の対処法

 

犬の肺がんは、中期症状になってくると、咳や息切れなどの症状が起こってきます。

呼吸が苦しいことは本当に辛いことなので、少しでも愛犬の症状が和らぐ対応を目指してあげる必要があります。

このため呼吸を楽にする薬がいろいろ処方されます。

咳き止めシロップとして有名なのが、「コデインシロップ」です。

その他にもアネトンやブロン、パブロンなどいろいろな咳き止めシロップがあります。

主な成分は、ジヒドロコデインリン酸塩となります。

咳止めシロップの選び方は、麻薬性中枢性鎮咳成分、非麻薬性中枢性鎮咳成分、気管支拡張成分、気管支平滑筋を緩める成分などから選ぶことになります。

主なオススメも咳き止めシロップは以下の通りです。

 

「麻薬性中枢性鎮咳成分(コデイン系)」

・新ブロン液エース(エスエス製薬)

・パブロンせき止め液(大正製薬)

・新トニン咳止め液(佐藤製薬)

・エフストリンせきどめ液(大昭製薬)

・コンコン咳止め液(中外医薬生産)

・アネトンせき止めZ液(武田薬品工業)

 

「非麻薬性中枢性鎮咳成分(非コデイン系)」

・エスエス ブロン液L(エスエス製薬)

 

「気管支拡張成分」

・フストールシロップA(オール薬品工業(株) )

 

またリン酸コデインの注射なども有効です。

残念ながら肺がんが進行して悪化してくると、上記の薬もあまり効果が無くなってしまいます。

そうなると、痛み止めも兼ねながら、モルヒネの投与を行うケースもあります。

また、犬やペット用の酸素ハウスに入れることで、呼吸を楽にしてあげることができます。

ただし、動物病院で入院すると高額になってしまうのが問題ともいえます。

そのようなケースでは、思い切って高濃度酸素発生器を購入したり、またはレンタルしたり、中古品を購入することで、自宅で酸素室を作るってみるのがおすすめです。

 

「高濃度酸素発生器」

愛犬に酸素を与えてあげるとやはり大きな効果が期待できます。

肺がんによる呼吸困難は本当に辛いものなので、家族の一員である可愛い愛犬のためならば、是非高濃度酸素発生器を購入してあげて欲しいものです。

小型犬ならば、1~3L/分の性能、大型犬ならば、5~8L/分の性能のある物を選んであげるのが良いでしょう。

 


 

「ハーブ」

ハーブにも犬の咳を和らげる効果があります。

オススメの種類は以下の通りです。

・モウズイカ:モウズイカはケンネルコフまたは慢性の咳などの定期的な乾咳に適しています。

・オオバコ:乾咳の治療に有効

・マシュマロ:粘膜をなだめるような効果を持っており、喉を和らげて、乾燥咳を軽減します。

・甘草:咳抑制剤として、呼吸器系を強化します。

 

肺がんの手術が可能な条件

 

犬の肺がんには、肺そのものに癌ができる原発性肺がんと、他の癌が転移したものである転移性肺がんの2種類があります。

まず犬の肺がんの場合、手術が可能となるのが、原発性肺がんのみとなります。

理由は、他の臓器からの転移癌である転移性肺がんの場合、肺の悪性腫瘍を取り除いたとしても他に癌が発生しており、再発するリスクが非常に高く、なお肺に転移した場合では、すでに多くのケースで末期症状の状態となっており、手術を行い体力を消耗することで、返って余命を縮めてしまう結果となるためです。

肺がんの手術が可能な条件は以下の通りです。

可能な条件
・肺内の腫瘍が一箇所に集まっていること

・腫瘍の位置が肺の縁に近いこと

・原発性の肺がんであること

・肺の外にまだ転移していないこと

・ワンちゃんが手術や全身麻酔に耐える体力があること

またこれは病院側の問題となりますが、動物病院に人工心肺装置などの設備が整っている必要や、獣医師が肺がん手術経験が豊富であることも重要な条件となります。

 

「肺内の腫瘍が一箇所に集まっている」

肺がんの手術が可能な条件として、肺の一部の箇所に悪性腫瘍が集中していることが必要となります。

このように癌が集中しているケースであれば、肺の一部を切除することで肺がんを取り除くことが可能となります。

犬の場合、人間のように片肺を全摘出する手術は不可能となります。

このため癌が広範囲に広がってしまった状態では、もはや手術は不可能なのです。

 

「肺の縁に近い箇所に腫瘍がある」

犬の肺がんの手術の場合、癌が肺のどの箇所に出来ているかが問題となります。

犬の肺がんには、肺の縁にできる肺野がんと、肺の中央にできる肺門部がんがあります。

肺門部がんの場合、直接気管支と繋がっている状態のため手術は不可能となり、手術が可能となるのは、肺の外側に近い肺野にできた癌のみとなります。

 

「原発性の肺がん」

先ほども簡単に紹介しましたが、肺そのものに癌ができた原発性の肺がんしか手術は不可能となります。

 

「他に転移していない」

癌は中期段階以降に進行してしまうと、他の臓器に転移してしまっています。

このため、肺がんのみを切除手術しても効果がありません。

そのため、他の転移した個所の切除手術を同時に行う必要が生じてしまいます。

現実的にはそのような大手術は不可能であり、手術後返って状態が悪くなるだけであり、返って余命を縮めてしまうため手術は不可能です。

 

「手術や全身麻酔に耐える体力が必要」

犬の癌は、肺がんに限らず高齢犬になってからの発症率が高まります。

このため、愛犬に全身麻酔や手術に耐えられる体力がないことには手術は不可能となります。

 

犬の肺がんの手術料金は?

 

最後に犬の肺がんの手術料の目安について紹介します。

手術費用は、小型犬、大型犬の犬種の違いでも異なりますし、当然癌の大きさなどの進行具合からの、手術内容によってもかなり違ってきます。

また、動物病院によっても手術費用がかなり異なるのが現状です。

どれだけ安くても最低20万はかかると見込んでおきましょう。

当然20万は安いほうであり、20万円~60万円程度と幅を見込んでおきましょう。