犬のジステンパーの症状!原因や検査方法と予防&治療法
犬のジステンパーは、犬ジステンパーウイルス(CDV)に直接接触したり、あるいは空気または飛沫によって感染することによって発症する感染症であり、全世界に存在しています。
犬ジステンパーは、狂犬病に次いで致死率が高い感染症として有名であり、感染発症すると成犬でも50%、体力の弱い子犬であれば80%の確率で命を落とすとされているほど恐ろしい病気です。
この高い致死率のため、ニホンオオカミの絶滅の原因となった疾患だとされているほどです。
私がジステンパーで印象に残っている事件は、2014年の末から2015年にかけての時期に、中国の研究所で飼育されていたジャイアントパンダが、ジステンパーのために次々と死んだとのニュース報道であり、パンダもジステンパーで死んでしまうのだなと感じたことでした。
今回はこのように恐ろしい病気である犬のジステンパーの症状や原因、その検査方法と予防&治療法について紹介します。
犬のジステンパーの原因
犬ジステンパーの原因は、犬ジステンパーウイルス(CDV)に感染することです。
感染方法は、「接触感染」と「飛沫感染」の2つがあります。
「接触感染」
犬ジステンパーに感染した犬の鼻水や唾液、目やになどに触れてしまう。
また、尿や便などの排泄物に触れてしまうことなどによる接触を媒体として感染します。
なお、直接犬に接触していなくても、食器や食べ物などにウイルスが付着していれば、間接的接触でも感染してしまいます。
ちなみにCDVの生存期間は、体温で1時間程度とされています。
もう少し温度が下がる室内であれば、通常3時間程度です。
「飛沫感染」
犬ジステンパーに感染した犬の咳やくしゃみなどからのウィルスが空中に飛散し、それを吸い込んでしまうことから感染します。
かかりやすい犬種は?
どの犬種がかかりやすいのではなく、「接触感染」や「飛沫感染」をしてしまえばどの犬種でもかかる可能性があります。
かかりやすいのは、免疫力や体力が低い子犬や老犬及び病中病後の弱ったワンちゃんたちです。
子犬の場合、母親から離されて母乳からの免疫力が低下した時期が一番危険と言えます。
そのため、特にペットショップにいる母親から離された子犬が、ワクチンによる予防接種を受けていない場合が最も感染しやすいといえます。
ペットショップでは、狭い環境にたくさんの子犬が詰め込まれているため、1匹感染してしまうと集団感染の恐れもあり要注意です。
野生動物ではイタチやキツネ、アライグマなども感染するとされています。
通常ジステンパーは、人間にはうつらないとされていますが、麻疹(はしか)への免疫力がない人は注意すべきとも言われています。
犬ジステンパーの症状
ジステンパーは、愛犬が事前にワクチンを接種していれば、通常の体力や免疫力がある状態であれば、仮にジステンパーウィルスと接触したケースでも、無症状や軽い呼吸器症状で済むとされています。
犬のジステンパーの症状を症状別に紹介します。
「初期症状」
感染してから4~6日で、発熱・食欲不振などの風邪とよく似た次のような症状が起こります。
・目やにや鼻水
・40度前後の高熱
・食欲不振
・咳やくしゃみ
本来犬は風邪を引くことはなく、風邪のような症状が出た場合は、ジステンパーウイルス感染症などのように何らかの感染症だと考えるべきです。
早期対応が一番大切なので、このような症状が感じられた時点で、直ぐに動物病院に愛犬を連れていくことがとても大事と言えます。
「中期症状」
感染から1週間以上経過した中期症状となると、風邪のような症状は続いた上で、次のような症状が加わってきます。
・嘔吐、下痢、血便
・結膜炎や角膜炎
・呼吸が荒くなる
呼吸器系が悪化すると肺炎を引き起こしてしまいます。
「重症化・末期症状」
重症化して末期症状になってしまえば、もはや致死率は90%以上とされています。
症状は、ジステンパーウイルス神経に入り込み炎症を起こし、「脳脊髄炎」となると麻痺や痙攣、運動失調などの症状が起こってしまいます。
また、目にも影響がおよび、網膜剥離や視神経への炎症が起こることで最悪失明することもあります。
化膿性皮膚炎と呼ばれる酷い炎症を起こしたり、ハードパッドと呼ばれる症状が生じれば、肉球が硬くなってしまいます。
重症化してしまえば、万一命を取り留めたケースでも、今述べたように失明などの後遺症が残ることがあります。
ジステンパーの検査
ジステンバーを調べる主な検査法は次の3つとなります。
1.PCR検査
2.血清抗体検査・脳脊髄液抗体測定
3.チェックマンCDV
「PCR検査」
PCR検査とは、犬ジステンパーウィルスに対する血清抗体価や、脳炎髄液抗体価の測定を行う検査となります。
分かりやすく言えば、犬のウンチや喉などの粘膜を調べ、ジステンパーウィルスがいないか判定する検査です。
「血清抗体検査・脳脊髄液抗体測定」
脳髄液や血液、ウンチなどを採取して病理検査を行います。
時間と費用が掛かりますが、細かな病原体を確認することが可能となります。
「チェックマンCDV」
免疫クロマト法と呼ばれる方法により、犬ジステンパーウィルス(CDV)の抗原を検査する抗原検査用キットを使用します。
検査用キットのチェックマンシートに、犬の唾液やウンチを乗せて検査することで、わずか15分程度で陽性か陰性かを確認することで、判定が可能となります。
ジステンパーは他の犬に移ってしまう病気のため、疑いが生じたケースでは、できるだけ早く動物病院を受診して検査を受けることが大切です。
ジステンパーの予防法
ジステンパーウィルス感染症は、きちんと毎年の混合ワクチンの接種を受けることで、ほぼ防ぐことが可能となる病気です。
このため、一番の予防法は必ず毎年きちんと予防接種を受けることです。
また、免疫力が低下することで感染してしまうため、普段の生活において免疫力が低下することが無いように留意すべきです。
愛犬の免疫力が低下しないように以下の事に注意しましょう。
・栄養バランスのとれたご飯を与えている
・毎日きちんとご飯を食べている
・ストレスを与えていないか
・適度な運動を与えているか
・ハード過ぎる運動や遊ばせすぎていないか
ジステンパーの治療法
犬ジステンパーウィルス感染症に対する特効薬はありません。
このため主な治療法は、対処療法がメインとなります。
一番の方法は、抗生物質やステロイド剤、点滴などを投与し、回復を図ることとなります。
これで二次感染も防ぎます。
また、伝染力が強い病気のため、入院・隔離して他の動物への接触感染を防ぎます。
ある面、かからないための予防が一番の対策といえ、ワクチン接種が最も大事な治療法と言えそうです。
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