チワワたち犬のてんかんの症状!危険な発作パターンや原因と対処法

 

てんかんが犬に起こる割合は、100頭に1頭程度とされており、人間にも起こる身近な病気であり、思った以上にてんかん持ちのワンちゃんは多いものです。

現に私も以前飼っていたミニチュアシュナウザーが、老犬になってからてんかん発作をよく起こしました。

愛犬のてんかん発作を見た飼い主さんは、私もそうでしたが、茫然自失って感じで、不安感と何もできない無力感に包まれ途方に暮れてしまいます。

もちろん症状の程度にもよりますが、うちの子は突然バタンと倒れて手足をバタバタ動かし、全身がけいれんするという激しい発作でした。

1度発作が起こると何度も繰り返して起きます。

発作が生じたケースでの危険な発作パターン(重責発作・群発発作)や、対処法を飼い主さんは知っておくべきです。

治療法は薬の投与となりますが、発作の状態によって適する薬が変わってくるため、飼い主さんは、愛犬の症状を注意深く観察することがとても大切となります。

てんかん発作は、今まで元気にしていた愛犬が突然豹変してあまりにも苦しそうな様子となってしまうため、長生き出来ないと不安感に思えてしまいます。

てんかんは完治するのが難しい病気とされていますが、発作を抑えることはできます。

したがって、てんかん持ちの子であっても、きちんとケアを行うことで、10数年生きることがいくらでも可能なのです。

普段は元気なだけに、考えようではそれほど深刻に捉える必要もありませんよ。

犬のてんかん発作を見たことがない人は、次の動画でその様子を一度見ておいてください。

ワンちゃんのてんかん発作を見た感想はどうですか?
何の前触れもなく突然あなたの愛犬にこのようなてんかん発作症状が起こってしまえば、不安感に教われ頭が真っ白になってしまいそうですね。
犬にてんかん発作が生じたケースでは、飼い主が最低限行うべき大切な対処法があるので、この後詳しく紹介するので是非参考にしてみてください。

てんかん(Epilepsy)とは

脳内の神経細胞には、少量の電気が規則正しく流れています。

この電気が小さなショートを起こすことで、脳内の神経に異常な興奮が起こり、体のコントロールを失ってしまう状態が「てんかん」です。

通常であれば小さなショートは、部分的なトラブルとして抑えられます。

しかしそれが、軸索やシナプスなどの電気ケーブルを通して周囲の神経回路まで広がり、無秩序に興奮が起こってしまうと「てんかん発作」となります。

てんかんの定義は、24時間以上の間隔をもって最低2回の自然発生的なてんかん発作が起こることとされています。

ちなみに「発作」(Seizure)とは、突然何の前触れもなく発生し、一時的な短時間の異常を刺し、発作イコールてんかんではありません。

さらに「てんかん発作」(Epileptic seizure)とは、自己制御的(治療しなければ悪化する)な神経細胞の過活動とされています。

てんかんは、運動後の犬が疲労した状態で起こりやすいとされていりますが、実は安静時にもよく起こります。

この他にも誘発要因があり、台風などの気圧の変化などが影響したり、犬がよく苦手とする雷や花火の音なども誘発要因になるとされています。

犬のてんかんの原因

犬のてんかんは、病気が原因となって起こるケースがあります。

その際のてんかんの原因となる主な病気は次の通りです。

原因となる主な病気
・水頭症

・先天的な脳の奇形

・炎症性疾患(脳炎など)

・感染症(ジステンバーなど)

・中毒 ・代謝障害

・交通事故などによる外傷

・脳腫瘍などの脳の病気

ワンちゃんが神経系の感染症にかかってしまうと、脳に後遺症が残る確率が高まります。

後遺症が原因となり、てんかん発作が起こる可能性があります。

また、先天的な脳の奇形がある場合、それが原因でてんかん発作が起こることもよくあります。

奇形を起こしている脳は、脳髄液が過剰に溜まる水頭症をよく起こします。

水頭症は脳を圧迫することで脳圧が上昇して、その結果としててんかん発作が起こりやすい病気として知られています。

てんかん発作は、交通事故などの外傷による後遺症としても起こってしまいます。

このように、原因が判明しており引き起こされるてんかん発作を「症候性てんかん」と呼びます。

反対に検査を行っても障害が見つからないてんかん発作があり、これを「特発性てんかん(Idiopathic epilepsy)」と呼びます。

特発性てんかんの原因は分かっていませんが、現在の見識としては、遺伝的要因が強い原因だとされています。

しかし実は、犬のてんかんのほとんどが特発性てんかんなのです。

遺伝的要因が強いと考えられており、特に次の犬種が発生率が高いとされ要注意です。

・アイリッシュウルフハウンド
・ベルジアンタービュレン
・ボーダーテリア
・プチバセグリフォンヴァンデアン
・フィニッシュスピッツ
・スピノーネイタリアーノ
・ラブラドールレトリバー

この他にも注意すべき好発犬種は以下の通りです。

注意すべき好発犬種
チワワ、アメリカンコッカースパニエル、イングリッシュコッカースパニエル、ウェルシュスプリンガースパニエル、ウェルシュコーギーペンブローク、キースホンド、ゴールデンレトリバー、コリー、ジャーマンシェパード、シェットランドシープドッグ、シベリアンハスキー、セントバーナード、ダックスフント、ビーグル、プードル(全サイズ)、ボーダーコリー、ボクサー、ワイヤーフォックステリア、ヨークシャーテリア、パグ、ブルドッグ

近年ではとにかく犬を売るために、無謀な交配が盛んに行われています。

チワワやトイプードルなどの小型犬は、とにかく小型の体が小さいサイズであれば人気が高く、高値で取引されました。

したがって悪徳繁殖業者は無理矢理な交配を行い、遺伝性のリスクを無視した近親交配や、先天疾患がある犬さえ利用して乱繁殖させたのです。

その結果として、頭蓋骨の形成不全なワンちゃんが増え、頭蓋骨に隙間があったり、一部に穴が開いた奇形症状が多く発生しました。

このような悲しい理由からも、特発性てんかんの遺伝子を持った犬が増加しており、てんかん発作を起こす犬が増えているのです。

犬のてんかん発作の前兆症状

犬のてんかん発作の前兆症状
・急に突然吠えだす

・ぼーっとして虚ろな状態になる

・落ち着きなく不安な感じ

・フラフラして壁にぶつかりながら歩く

・よだれを垂らす

・泡を吹く

・呼吸が荒くなる

・嘔吐する

・震えが起こり具合が悪そう

てんかん発作は突然発症するイメージがありますが、注意深く観察すれば上記のような前兆が起こっていることが多いものです。

口から大量のよだれを垂らしだした時などは要注意です。

口周りの知覚異常が生じており、一般的には頬が収縮するために起こるとされています。

口をもぐもぐ動かしているケースでは、外にまだ出ていなくても、すでに泡のようなよだれが口の中に溜まっていたりします。

よだれは眼で見て分かりやすく、気づきやすい前兆だといえます。

犬のてんかんの症状

「体が硬直する」

犬のてんかんの発作の状態でよく起こるのが体の硬直です。

通常は数十秒もあれば、元の普通の状態に戻りますが、突然バタンと倒れてしまい、体をのけぞらせたまま固まった姿勢が続きます。

短時間の間で何度か繰り返して起こることもあります。

「失神」

てんかんの発作が起こり、そのまま突然意識を失って失神してしまうこともあります。

たいがい数十秒程度で意識は戻ります。

失神して意識を失ってしまえば、当然呼び掛けても反応が返ってきませんし、動きも止まっているので、飼い主さんはビックリして取り乱さないように注意しましょう。

「痙攣(けいれん)」

けいれんには、部分痙攣と全身痙攣とがあります。

「部分発作(部分痙攣)」

過剰な電気的興奮が、脳の一部に限定された状態で起こる発作です。

ワンちゃんの場合、確認することができませんが、人間であれば意識がある単純部分発作と、意識障害が伴う形の複雑部分発作に分けられます。

部分発作が起こった箇所により、その箇所の神経にたずさわる以下のような様々な症状が現れます。

・大量のよだれが出る
・片足だけが痙攣する
・意味のない単純動作を繰り返す
・何かを噛もうと盛んに口をパクパク動かす(ハエ噛み行動)
・瞳孔が開いて視点が定まらず意識がもうろうとしている
・実際には飛んでいない虫を追う仕草が見られる

このような状態から、症状が次第に全身に広がっていくと全身痙攣となっていきます。

「全般発作(全身痙攣)」

全般発作は、犬の体全体に生じる激しい全身痙攣であり、とにかくいきなり起こることが多いのが特徴です。

急に愛犬がパタンと倒れたのでどうしたのかなと思った瞬間に全身痙攣が発症し、手足をばたつかせて苦しみ、口から泡を吹いたり、便失禁や尿失禁が伴ったりします。

通常、長くても2~3分すれば収まりますが、ケロッとして何事もなかったように元の状態に戻ることも多く、今目の前で見た状況が信じられなかったりします。

ただし意識が朦朧とした状態が続きそのまま眠ってしまうパターンも多いようです。

あれほどのけいれんを起こした以上、やはり脳への影響は大きく、けいれん後元気がなくグッタリしてしまい発熱したりするケースもあるため注意が必要です。

てんかん発作には次のような、危険な発作パターンもあるためしっかり覚えておきましょう。

「重責発作」

全般発作が起こった場合、通常であれば3分以内に収まるものです。

ところが3分以内に収まらない、「重責発作」と呼ばれる危険なてんかん発作があり、特徴は以下の通りです。

・発作が収まらず5分以上続いている
・発作が終わる前に、何度も次の発作がたたみかけるようにくり返し続けて起こっている

上記のような重責発作が起こってしまうと大変危険で、犬の体温が急上昇し、さらに酸素の消費量が増えるため、不整脈や脳の虚血などの症状に陥りやすくなります。

その結果、脳神経細胞が壊死すなどの症状が発生し、重責発作が30分以上続くと死に至るケースもあります。

「群発発作」

全般発作が仮に5分以内に収まったとしても安心してはいけません。

全般発作が起こってから、24時間以内に同様な発作が2回以上起こる場合、それを群発発作と呼び、とても危険な症状なのです。

群発発作の回数が増えるほど、脳へのダメージが大きくなっていき、24時間以内に10回以上起こるケースでは、死に至る可能性が高いとされています。

重責発作や群発発作が起こったケースでは、緊急治療が必須であり、至急動物病院に連れて行くべきですが、救命できた場合でも脳に障害を与えるため、後遺症を残す可能性が高いと知っておきましょう。

犬のてんかん発作発生時の対処法

対処法はとても大切なので、しっかり覚えて身につけてください。

実は間違った対象法を信じている方も多いため、そのような方は要注意です。

てんかん発作は1度起こると繰り返して起こることが多いため、獣医師に正しい対処法を必ず確認しておいてください。

どうしても焦ってしまう気持ちは分かりますが、まずは飼い主さんが冷静になるように努めてください。

・気道の確保

てんかん発作が起こった時には、ワンちゃんが嘔吐したり泡が溜まることで、喉に詰まって呼吸困難を起こしてしまうケースがあります。

呼吸が上手くできなければ、それこそ死に至るケースもあるため、喉に何か詰まっていないか確認して、まずは気道の確保をしてあげましょう。

泡や吐いたゲロがのどに詰まらないように、横向きに寝させてあげましょう。

小型犬なら抱きかかえてあげるのがおすすめです。

また、万一口の中に詰まっている嘔吐物があれば指でかき分けて出してあげてください。

よくてんかん発作が起こった場合、舌を噛む危険があるといい、口の中に何かモノを入れようとする人がいますが、これはNGです。

かえって窒息原因になったり、口の中をケガしてしまうことになってしまいます。

一時期よく言われた間違った方法が、ガーゼを巻いたスプーンを口に噛ませるという処置ですが、これは現在では症例されていないので十分注意してください。

・安全の確認確保

愛犬がてんかん発作を起こした際に、飼い主が思わずよくやるNG行動が、大声で愛犬を呼びながら身体をゆするなどの刺激を与えてしまうことです。

発作中に刺激を与える行動は、さらに発作を誘発してしまう可能性が高いため、必ず避けてください。

したがって抑えつけることで発作を止めようとする人もいるようですが、そのようなことをしても発作は止まりませんし、返ってひどくしてしまうと認識しておきましょう。

発作により愛犬が手足をバタつかせても、物などにぶつかることがないような、広い場所に愛犬を移動させることが大切となります。

この時におすすめしたいのが、タオルやオシッコシートなどを敷いた上に移動させることです。

てんかん発作が起こると、脱糞や尿を漏らすことも多いためです。

後、音や光なども刺激となるため、テレビは消し、カーテンを閉め、寝屋の照明も落としてあげましょう。

・座薬の使用

てんかん発作で病院にかかっていれば、発作時に使用する鎮静作用が働く座薬をもらっていることが多いはずです。

もらっている場合は、速やかに入れてあげましょう。

我が家でも先ほど話したミニチュアシュナウザーに、発作時には何回か入れてあげました。

家は母が看護士なので、居合わせれば簡単に処置してくれましたが、普通の人たちであれば、発作時は体が盛んに動いているし、失禁したりもするためなかなか座薬を入れるのも困難かも知れませんね。

無理だったら焦る必要はありませんよ。

下手に力を入れて抑えてしまうのも逆効果なので、少し落ちつくまで様子を見守ってあげましょう。

・てんかん発作の様子の確認

愛犬を動物病院に連れて行き、獣医師の診断を受ける時に一番大切なことが症状を正確に伝えることです。

獣医師は犬のてんかん発作の状態から判断して薬を処方するためです。

したがって、情報が正確なほど効き目がある適した薬を処方してもらえることに繋がるわけです。

「主な注意すべき観察事項」

1. 発作時の要した時間
2. いつ発作が起きたか
3. 発作時の状態
4. 何をしていた状態で発作が起こったか
5. 発作の前兆、あるいは最近何か変わった行動が見られたか
6. 意識変化があったか
7. 発作意外にも気になる症状があったか
8. 発作後の状態について

発作時は気も動転しており、なかなか冷静に観察もできないものですが、一番のおすすめが余裕があれば動画を取っておくことです。

正直なかなか上手く口では説明できないものです。

実際の状況をプロの獣医師に見てもらうことができれば、それが一番なわけです。