チワワたち犬に使う抗生物質の種類や注意点と副作用
ペニシリンに代表される抗生物質は、細菌が原因の皮膚炎や消化器の病気などの感染症に多大な効果を発揮する薬で、人間だけでなく犬にも用いられます。
抗生物質はとても有効な薬ですが、耐性菌や副作用といった問題も抱えており、注意が必要となります。
今回は、チワワたち犬に使う抗生物質の種類や注意点と副作用について紹介します。
抗生物質の働き
抗生物質とは一言で説明すれば、細菌を倒すための薬といえます。
ただし抗生物質には、百種類以上もの薬があり、その作用もさまざまです。
抗生物質は大きく次の2種類に分かれます。
・天然由来の抗生物質
・合成した抗生物質
抗生物質の働きは細菌を弱めて倒すことであり、あくまで細菌を駆逐するのが役目で、炎症や痒み、痛みなどという症状を治す作用はありません。
つまり病気を治すための「サポート役」であり、病気を治すのは、ワンちゃんの免疫機能となります。
なお、抗生物質は細菌の増殖力を抑える作用があるため、細菌が原因となる感染症に対してては、ほぼ抗生物質が処方されます。
・皮膚炎
・気管支炎
・関節炎
・内臓疾患
上記のような感染症の治療には必ず場合抗生物質が使われます。
ただし、注意点として知っておくべきことは、ウィルスが原因の感染症には効果がないということです。
したがって、例えば原因が真菌のケースであれば、抗真菌薬を用いることとなり、何でも抗生物質が使われるわけでは当然ありません。
しかし抗生物質は、思わぬ形でもいろいろ用いられています。
注射や飲み薬のみではなく、実は塗り薬やシャンプーなどの形でも用いられルケースがあります。
意外な形で使われている例としては、ワンちゃんに毎年行うフィラリアの予防薬は、抗生物質の1種なのです。
フィラリアは寄生虫ですから意外に感じるはずですが、フィラリアの幼虫は抗生物質が苦手で死んでしまうのです。
このように抗生物質は、摂取する犬などの動物には害を与えず、細菌や寄生虫を弱らせる作用が働くわけです。
抗生物質が使用される意外な症状
抗生物質は、実は皮膚炎と下痢によく使われるのです。
皮膚炎といえば軟膏やクリームが定番ですが、ワンちゃんに塗り薬は相性がよくありません。
何故ならば、軟膏やクリームを塗ってもすぐ犬は舐めてしまうからです。
返って炎症箇所を舐めてしまい、悪化してしまうケースもあるようです。
このため、ワンちゃんの皮膚炎には、塗り薬ではなく、飲み薬で抗生物質を処方することが多くなるわけです。
しかし効果は飲み薬の方があります。
それは、血液に吸収されて皮膚のすみずみまで届きやすいからです。
また下痢の場合、重度の腸炎のケースでは抗生物質を処方するそうです。
犬の胃酸は人間より強力であり、殺菌効果が強いため普段下痢をしないワンちゃんが、下痢の症状を起こしたケースではかなり腸のダメージがあるそうで、抗生物質を使って一度腸内の細菌を
退治して、クリーンにして従来の腸内細菌を復活させるのが良いそうです。
犬の抗生物質の種類
犬に投与される主な抗生物質の種類は以下の通りです。
・β-ラクタム系抗生物質
・合成抗菌薬
・アミノ配糖体
・テトラサイクリン系
・マクロライド系
・クロラムフェニコール系
上記の抗生物質の中でも最も用いられるのが、β-ラクタム系抗生物質です。
β-ラクタム系抗生物質を詳しく見てみると、さらに次の4つに分類されます。
1.セフェム系注射剤
2.セフェム系経口剤
3.ペニシリン系
4.その他
最も最初に発見されたβ-ラクタム系抗生物質はペニシリンであり、1940年代後半より臨床で使用され始めています。
1960年代よりセファロスポリンCが発見され、多数のセフェム系抗生物質が開発されました。
そして1970年代後半からはペニシリン系が進出し出しています。
セフェム系抗生物質は、注射剤から経口剤へと使いやすい安全な薬剤へと改良が進んでいます。
セフェム系注射剤には、「セファロチン」「セファリゾン」などがあります。
セフェム系経口薬には、「セファレキシン」「セファクロル」などがあります。
ペニシリン系には、「ベンジルペニシリン」などがあります。
その他としては、「ラタモキセフ」「アズトレオナム」「ホスホマイシン」などがあります。
さらに合成抗菌薬には、サルファ剤とキノロン系があります。
なお、サルファ剤には耐性菌ができやすい問題があります。
また、キノロン系は、さらに強力ですが、それでも耐性菌が発生する可能性があります。
抗生物質の服用注意点
「副作用に注意」
抗生物質を投与したことで、副作用の症状が起こる危険があります。
主な副作用の症状としては下痢や嘔吐などですが、その他に怖いケースがアナフィラキシーショック」を起こすことです。
アナフィラキシーショックとは、全身性の強いアレルギー反応のことであり、ショック状態になって、呼吸困難や意識障害といった症状が現れると、処置が遅れたケースでは、早い場合だと15
分ほどで死亡することもあるという非常に恐ろしい症状のことです。
また、長期服用の副作用としては、腎不全などの重篤な症状が起こることもあります。
「飲むのを中止するケース」
抗生物質が体質に合わずにトラブルが起きることがあります。
注意すべき主な症状は以下の通りで、このようなトラブルが起こった場合は、ワンちゃんに薬を飲ませるのを中止して獣医師に報告して相談しましょう。
・薬を飲んで30分以内に嘔吐した。
・薬を飲んで下痢が起こり止まらない。
・薬を飲んで体に痒みが生じた。
「薬は残さず飲み切る」
抗生物質を投与する際に一番注意すべき点が、必ず「決められた量」を守り、「決められた時間」に服用し、「すべて残さず飲み切る」ことです。
獣医師が処方した抗生物質は、専門家が症状を診断し、その病気が治りきるために必要な量が処方されているため、素人判断で症状が良くなったと判断して、途中で投与するのを止めることは
絶対のNGだと認識してください。
途中で止めてしまうと、せっかく弱まった細菌の勢力が再び戻ってしまうことになってしまいます。
また、抗生物質の量を少なくして、愛犬に投与するようなことも絶対にダメです。
必ず1回に与える抗生物質の量は厳守して守ってください。
このように、獣医師の指示に従わず抗生物質をワンちゃんに投与してしまうと、感染症の完治を遅らせるばかりではなく、もっとも厄介な問題である「耐性菌」を生み出す温床になりかねません。
「耐性菌」とは、中途半端に抗生物質を投与してしまうと、その薬への耐久力を菌が身につけ、悪質な強力な細菌に成長してしまうことであり、このように菌を成長させてしまうと、抗生物質でも倒せない菌になってしまう恐れがあるのです。
なおこれは、ワンちゃんだけに当てはまるケースでなく、人間が抗生物質を飲む場合も同様だと知っておきましょう。
「抗生物質は犬の体調が変わった場合使用しない」
抗生物質を獣医師が処方する場合、犬の体調や体重、年齢、病状などすべてを診察して量を決定しています。
そのため、多頭飼いしているケースなどでは、他の子に処方された抗生物質を飲ませるようなことは絶対ダメです。
また、成犬に処方された抗生物質を、子犬や老犬に飲ませることは、内臓に負担をかけてしまったりしてとても危険です。
さらにその子に処方された場合でも、体調が変わったり、体重が変化していれば効かないケースもあります。
中途半端に抗生物質を投与することは、先ほど述べたように耐性菌を生み出す危険もあるため、その薬は使わないのがおすすめです。
本来処方された抗生物質は必ず使い切るべきであり、残っていること自体がNGなのです。
このように抗生物質を投与するのは、十分注意を払うべきだと認識しておいてください。
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