愛犬のてんかん薬を止めればどうなる?実はこんな危険が待ち受ける

 

愛犬がてんかんになり、長期に渡って発作を抑える薬を飲み続けているケースも多いはずです。

このようなケースで飼い主さんの頭にふっと浮かぶ誘惑が、永らく愛犬のてんかん発作が起こっていないため、もう治ったのではないかという考えです。

確かに薬を与え続けるのは手間も生じるし、副作用の心配もあります。

そして何より経済的に辛いものです。

しかし常識的にも、飼い主さんの素人考えで、勝手に薬の服用を止めてしまうのは、危険であるとの認識は生じるはずです。

私の父は高血圧であり、そのため薬を飲み続けていますが、薬を飲んでいれば血圧が安定するため、つい「もう大丈夫じゃないか」と思ってしまうが、本来治すための治療薬ではなく、症状をおさえる薬のため、「一生仲良く付き合っていくしかない」と言っています。

愛犬のてんかんの薬も基本的にはそのような種類といえます。

このため、万が一止めてしまうと大変なしっぺ返しを受けることとなってしまいます。

今回は、愛犬のてんかん薬を止めてしまうと待ち受ける深刻な症状を紹介します。

 

愛犬のてんかん薬をやめると起きる重大な問題

 

長期的に薬を服用し続けると、誰しも止めたくなってしまいます。

主な原因は以下の通りです。

・もう治っているのではないかと錯覚する

・経済的に負担

・副作用が心配

・面倒である

結構経済的に負担を感じている方が多そうです。

参考までに主なてんかんの薬の1ヶ月にかかる費用を紹介しておきましょう。

動物病院で使われる主なてんかんの薬は以下の通りです。

・フェノバルビタール

・臭化カリウム

・ゾニサミド

・ジアゼパム

これらの薬の1ヶ月間の薬代は、3,000円~5,000円程度です。

この中ではゾニサミドがやや高めで、1ヶ月間の薬代は、5,000円~7,000円程度となります。

万が一薬を止めたいと考えた場合、獣医師に相談するのが当然となりますが、必要だから服用し続けているわけです。

このため、常識的に考えれば中止OKの指示が出るようなことは無いといえます。

一般的には大丈夫であれば獣医師から終了の話が出るはずです。

したがって問題となるのが、飼い主さんの一方的な判断で薬の服用を中止してしまうケースです。

「重責発作や群発発作が起こる」

てんかんの薬の作用は、発作を抑制していることです。

このため素人でも、薬を止めてしまえばてんかん発作が起こることが容易に想像できるはずです。

実は今まで薬で押さえていたケースでは、その効いていた薬を止めることで、今まで以上に発作が起こりやすくなるといえます。

ここにてんかんの薬を継続すべき理由があったわけです。

薬を愛犬に飲ませた段階で、既にもう薬でおさえなければ発作がどんどん出てしまう状態であるということなのです。

 

「重責発作」

多くの通常のてんかんであれば、長くても3分あれば症状は治まります。

ところが、その症状が5分以上も継続したり、さらに現状の発作が治まらない間に次の発作が続けて起こってしまうものを「重責発作」と呼びます。

通常のてんかん発作であれば、治まった後ではワンちゃんは元気にしていますが、重責発作の場合は、最悪死に至る危険もあります。

体温の急激な上昇が生じて、重度の熱中症を引き起こすようなこともあります。

その他にも、低酸素、不整脈、脳の虚血などの症状が起こり、その結果、脳神経細胞の壊死などが起こることもあります。

 

「群発発作」

てんかん発作が治まった場合でも、24時間以内に同様の発作が2回以上起こるケースだとこれを「群発発作」と呼びます。

当然ですが、てんかん発作の回数が多くなれば、それだけリスクも高まります。

群発発作が生じてしまうと、脳へのダメージが大きくなり、死に至るケースもあります。

何より問題となりやすいのが、後遺症です。

愛犬の命を救命できたケースでも、後遺症が残る可能性がとても高まります。

 

このようにてんかんの薬を止めてしまうことで、愛犬の命を脅かすような危険な発作が生じてしまう可能性が高まるのです。

 

「離脱発作」

さらに愛犬に今まで与えていた抗てんかん薬をいきなり中断してしまうと、その反作用として激しいてんかん発作が現れることがあります。

これを「離脱発作」と呼びます。

薬の作用が働かなくなることで、発作を誘発することに繋がり、一気に激しい重大な発作である離脱発作を引き起こしてしまうリスクが高まるのです。

一度てんかんの薬を飲み始めれば、それは一生続けていくべきであり、根本的に勘違いしてはいけないことが、治療薬ではなくてんかん発作の予防薬との目的で服用するということを認識すべきです。

 

「他の症状の悪化」

てんかんによるけいれん発作が出ているのには、実はいろんな病気が絡んでいたりします。

正確に画像診断検査を実施しないと判明しませんが、てんかんが起こる陰には脳炎や脳腫瘍などの様々な病気が影響している可能性が高いのです。

家の愛犬だったミニチュアシュナウザーのキャンディちゃんも、てんかん発作の原因は、脳腫瘍とかの可能性が高いと言われました。

その際かなりの高齢犬であり、今更検査して原因を突き止めても手術とかも不可能だと言われ、てんかんとして治療薬を処方してもらうに留めました。

このような位置づけて薬を服用しているケースもあり、このような状態で薬を止めてしまえば、他の病気の進行も早める結果となります。

 

まとめ

 

素人考えで薬を止めたくなるケースはよくあるものですが、専門家である医者が必要と判断する以上、残念ながらその薬を止められないのは当然のこととなります。

犬のてんかん薬は、根本的に治すための治療薬ではなく、あくまでも予防や発作を軽減するための「対処療法」であると認識することが大切です。

今回もしもてんかんの薬を中断してしまえば、愛犬の命を危険にさらすような、恐ろしい事態を招くことも理解できたはずです。

間違っても勝手に薬を止めるようなバカな判断を下さないようにしてください。