ワンちゃんの幸せな尻尾が招く病気の「ハッピーテイル症候群」って何?

あなたは「ハッピーテイル症候群」って聞いたことがありますか?

たとえ知らなくても、病名から何となく想像が出来てしまいますね。

ハッピーテイル=幸せな尻尾、ということだから、幸せ気分のワンちゃんが嬉しさのあまり興奮して、激しく尻尾をブンブン振り交わし、壁などにぶつけてケガなどを負う症状とのイメージが浮かんできます。

今回はこのハッピーテイル症候群について紹介します。

 

ハッピーテイル症候群とは?

ハッピーテイル症候群とは、実は正式な病名ではありません。

ワンちゃんのケガを負ってしまう状態を見た獣医師たちが名付けた、何とも愉快な微笑ましいニックネームなのです。

なかなか獣医師の先生たちもやるもんですね。

思わず拍手を送りたくなります。

難しい専門的な名前より、よほど病気のイメージが湧きたちます。

さて、その名の通り、ハッピーテイル症候群とは、大好きな飼い主さんが帰宅したり、一緒に遊んでもらうなど、ワンちゃんに嬉しいことがあり、興奮のあまり激しく尻尾を振り回し、壁やドアなどの障害物に、激しく尻尾を打ち付けてしまうことで、出血するほどのダメージを尻尾に受けてしまう状態のことを刺します。

つまりワンちゃんが幸せになって、ケガをする状態まで我を忘れて尻尾を振ってしまう症候群だということです。

 

私がハッピーテイル症候群について初めて知ったのは、友人からでした。

「俺の家のリビングで殺人事件が起きているよ」

こんな友人のジョークの一言から知ったのが、ハッピーテイル症候群だったのです。

どういう意味かと言えば、愛犬がハッピーテイル症候群にかかり、尻尾に深い傷を負ったそうです。

傷口が完治しないうちに、嬉しいことがあると我を忘れてお構いなしでシッポをブンブン振るそうです。

このため、また障害物に尻尾を激しくぶつけて、治る傷もなかなか治らず、シッポの先の傷跡からまた出血が起こり、血飛沫が飛び散り、リビングが血だらけとなり、殺人現場に早変わりするというのです。

 

ハッピーテイル症候群の原因

ワンちゃんにとって尻尾を振ることはごく当然の普通の行為ですが、いくら何でもケガしてまで尻尾を振り続けるのは異常だと感じますね。

尻尾に痛みが生じれば、尻尾を振るのを止めて当然だと思えるし、尻尾に痛みが伴えば振ること事態ができなくならないか疑問に感じてしまいます。

つまりこの状態からも分かるように、ハッピーテイル症候群の原因は、犬の心による心理状態によるわけです。

ワンちゃんが尻尾を損傷してもなお、尻尾を振ることを止めないところに全ての原因が潜んでいます。

これは、痛みよりも興奮が勝っている状態に陥っているのです。

ハッピーテイル症候群は、幸せによる興奮状態が尋常ではなく、なかなか気持ちが冷めずに、痛み以上にその気持ちが勝った状態が継続すると言えます。

 

ワンちゃんの尻尾のしくみ

ワンちゃんが尻尾をぶつけてケガをして、ハッピーテイル症候群を起こすには、ワンちゃんの尻尾のしくみを把握しておくことが重要となります。

いくら興奮しているとしても、ケガしてまで尻尾を振り続けることができるのは、やはり尻尾の構造にも理由があります。

まず尻尾の構造ですが、尾椎と呼ばれる尾骨が芯となっています。

そして実際は、犬種によって差があるのですが、「尾骨」とも呼ばれる5〜23の椎骨が在り、

それらが連なって一つの尻尾の骨を形成しています。

特徴としては、尾骨は先端に向かうほど細くなっていきます。

また、血管も十分に通っており、見た目以上に尻尾はずっとしっかりした構造となっています。

尾椎の周りは筋膜で仕切られた多数の筋肉が存在し、この筋肉によって尻尾を自在に振ったりして動かしているのです。

尻尾の筋肉は細かく分かれ、他の筋肉のサポートをする役割を果たすものまで存在します。

このため、ある個所の筋肉が損傷を受けても、他の周りの筋肉のフォローにより、ワンちゃんは尻尾を動かし続けることが可能であり、この構造のためにハッピーテイル症候群が起こってしまうのです。

また、尻尾は先端にいくにつれて骨が細くなっていくため、尻尾をぶつけやすい先端はケガもし易いのです。

予想以上のケガを招く秘密は、尻尾のチカラが見た目以上に強いためです。

中型犬以上のワンちゃんを飼っている方であれば、愛犬の尻尾が当たって、予想以上に痛く感じた経験があるはずです。

それこそしなった尻尾が勢いよく当たれば、鞭に撃たれた感じです。

このように予想以上の威力が尻尾にはあるため、壁や柵などの硬い障害物に何度もぶつけることで、大きな損傷を追ってしまうのです。

皮膚が損傷して出血してしまうことは頻繁に起こります。

また骨折することもあるし、何度も繰り返していれば、尻尾の先に出血性潰瘍が発症することもあります。

 

要注意のワンちゃんは

体が小さく力が弱い小型犬、尻尾の毛がフサフサしている犬種や短い尻尾の犬種の場合には、比較的大きな怪我にはなりにくいです。

要注意は尻尾を振る力が強い中型犬や大型犬となります。

また、一番の問題が、少し嬉しいことがあっても異常に興奮してしまう性格の子です。

身体が大きく、普段から刺激が少ないワンちゃんは、ハッピーテイル症候群になりやすいため要注意と言えます。

よく保護犬は、ハッピーテイル症候群になりやすいと言われています。

これは過去の悲しい経験が原因となるためです。

保護犬は、飼い主からしっかりとした世話を受けることがかなわず、愛情不足のまま捨てられてしまった悲しい過去を持っているのが通常です。

このため、新しい飼い主さんから愛情を受けると、それまで満たされず渇望していた愛情を得た嬉しさのあまり、過度の興奮状態を招き尻尾を夢中で振り続けてしまいぶつけても止めることが出来ずにハッピーテイル症候群になってしまうのです。

愛犬をハッピーテイル症候群にしないためには、日ごろから愛情を与え、さらに刺激を与えてあげることが大切となります。

長い留守番をさせることが多かったり、コミュニケーション不足で愛情不足となり、愛犬に寂しい思いをさせてしまうのは要注意と認識しておきましょう。

 

ハッピーテイル症候群の治療

治療は、基本的には尻尾の怪我となります。

愛犬が尻尾をケガしたケースでは、すぐに獣医さんに連れていくようにしましょう。

結構思った以上に重傷である場合も多いものです。

骨折してしまっていることもあるし、傷の大きさや深さ具合のダメージ加減によっては、縫合が必要な場合もあります。

通常はまず、感染症の予防として抗生物質が処方されます。

包帯で傷口を保護しますが、その間のエリザベスカラーは必須といえます。

愛犬にエリザベスカラーを着けた経験がある飼い主さんも多くご存知のことでしょうが、多くのワンちゃんがエリザベスカラーを嫌がりストレスを感じてしまいます。

そこで救世主といえる役立つ話題の商品を紹介しましょう。

エリザベスカラーをあまり良く思っていない方は是非参考にしてみてください。

 

「エリザベスウェア」

現在エリザベスウエアは、手術などの処置後に必要不可欠な商品とされたエリザベスカラーに代わって使われ出している話題の人気商品です。

最近大きな注目を集めているエリザベスウェアは、その名前の通り犬用の洋服です。

エリザベスカラーの効果は、単に患部に口が届かないようにするといった発想でした。

これに変わってエリザベスウェアは、洋服として体全体を覆うことで、患部をしっかり保護して覆い隠すのが目的となっています。

このため洋服に慣れていれば、エリザベスカラーのように首に邪魔者が付くこともなく、ほとんどストレスを感じることがなくなるのです。

本当にエリザベスウェアは画期的な商品といえ、犬にとっても飼い主にとっても有難い救世主といえる商品なのです。



 

エリザベスウエアに興味がある方は、次の記事を参照してみましょう。

犬用エリザベスウェアが大注目!エリザベスカラーはもう古い

 

治療によりケガを治したところで、愛犬の興奮して尻尾を振る心の病気を治さない限り、ハッピーテイル症候群は改善されません。

次にハッピーテイル症候群の予防策を紹介します。

 

ハッピーテイル症候群の予防策

ハッピーテイル症候群の発症を未然に防いだり、再発を防止する予防策を考えていきましょう。

愛犬のハッピーテイル症候群を防ぐためには、多くの愛情と刺激を与えることが大切な予防策となります。

そのためにはまずは十分な愛情を愛犬にそそいであげてください。

・スキンシップを増やし十分なコミュニケーションを図る

・長時間できる限りお留守番をさせない

・毎日少しでも一緒に遊んであげる

・散歩に行く

言い尽くされたことでしょうが、上記のような定番がなおざりになっているケースは、案外多いものです。

まずは愛犬に十分な愛情を与えてあげましょう。

続いて愛犬に刺激を与えることが、とても大事となります。

散歩は簡単にできる愛犬に刺激を与える一番の方法といえます。

さらに具体に次のような方法を試してみるのがオススメと言えます。

・ドッグランに連れて行く

・ドッグカフェに連れて行き、他の人間や犬と遭遇させる

・アジリティやディスクなど刺激になるドッグスポーツを始めてみる

・ノーズワークや犬用パズルなどの、身体面の刺激のみならず、脳への刺激も与える

・他の犬とのグループレッスンなどに参加する

 

普通に生活しているだけではマンネリであり、犬にとって十分な刺激がない状態になっているかもしれません。

ちょっとしたアイデア次第で、愛犬に刺激を与えてあげることが可能となります。

比較的簡単に誰もが実施できる対策が、ノーズワークや犬用パズルなどの機能的なおもちゃを与えてあげることです。

オススメの商品を紹介します。

 

「Kong(コング)」

Kong(コング) コング S

1,250円(税込)

 



 

ワンちゃんの知育玩具タイプのおもちゃとしての定番中の定番のおもちゃが、人気のKong(コング)です。

おもちゃの中に、愛犬がが大好きなフードやおやつを入れておき、ワンちゃんが頭を使ってコロコロと転がすことによって、少しずつおやつが出てきます。

遊べば中から大好きなおやつが出てくるわけだから、もう夢中ですね。

少し取り出しにくいおやつを詰めておくのがおすすめです。

また、ボールの代わりに使っても大活躍してくれます。

ユニークなひょうたんのような独特の形のため、まるでラクビーボールのように予想のできない動きをしてくれます。

このため、追いかけるワンちゃんも思わず目が点に、なお、ゴム製のため水洗いも簡単にできて重宝します。

 

「Petneces ノーズワークマット」

Petneces ペットおまちゃ 犬 猫 ノーズワーク 全2種 (50x75cm)

3,568円(税込)


 

ノーズワークマットは、知育おもちゃの一種であり、愛犬の嗅覚を使ったゲームを行って楽しく遊ぶことができます。

ノーズワークマットには、様々な形状のポケットが付いています。

そして、そのポケットにお気に入りのおやつや、おもちゃを隠して遊びます。

遊ぶ様子を見ていると、鼻をクンクンいわせてニオイを嗅ぎながら、一生懸命に前足でガリガリと引っ掻いたり、噛んで引っ張り出すなど、なかなか頭を使うと同時に集中力も養えそうです。

運動量が少なくなったシニア犬には特に持ってこい、十分楽しめますね。

 

コールドテイル症候群

尻尾の病気には、ハッピーテイル症候群の他にも、コールドテイル症候群という病気があるので簡単にこちらも紹介しておきます。

コールドテイル症候群は、病名を見れば「冷えた尻尾」となります。

この名の通り、ワンちゃんの尻尾が冷えた状態となり、尻尾の筋肉が固まることから尻尾に力が入らなくなって、垂れたままの状態で動かなくなってしまう病気のことです。

原因は、尻尾の冷えと尻尾の筋肉の使い過ぎによる腱鞘炎です。

コールドテイル症候群にかかりやすいワンちゃんは、泳ぎが得意で大好きなワンちゃんです。

犬が泳ぐ際に、思った以上に活躍するのが尻尾なのです。

尻尾は泳ぐ時のかじ取りの役目を担っています。

このためワンちゃんが泳いでいるケースでは予想以上に尻尾を酷使しており、さらに冷たい水温によって尻尾が冷えるため、コールドテイル症候群にかかりやすいのです。

なお、コールドテイル症候群とハッピーテイル症候群は関連性が高まります。

ハッピーテイル症候群のワンちゃんは、尻尾を激しく振り続けるため、筋肉を酷使して腱鞘炎になりさすいのです。

このため、ハッピーテイル症候群のワンちゃんは、コールドテイル症候群にもかかりやすいと認識しておきましょう。

どちらの病気も原因は、ワンちゃんの尻尾の振りすぎからくるため、思わぬ背後で結びついていたわけです。

 

まとめ

今回は、ワンちゃんの「ハッピーテイル症候群」について紹介しました。

自分で尻尾を壁などにぶつけることが原因だから、さほどひどくならないように錯覚しますが、実際は出血が伴うような非常に痛々しい症状であることが認識できたはずです。

原因は、過剰な興奮に伴う尻尾の振り過ぎです。

そしてそれは、愛情不足や刺激の無さから起こっていると分かりましたね。

ハッピーテイル症候群に限らす、愛犬の愛情不足や刺激不足は、さまざまな病気やボケにも繋がってしまいます。

日頃から、愛犬にたくさんの愛情と刺激を与えていってあげてください。