犬のお腹が膨らむ腹水になる原因と腹水に関係する病気

 

犬のお腹は、太ったり妊娠したりが原因でなく、水が溜まって膨らみ、腹水と言われる症状になることがあります。

今回は、犬のお腹が膨らむ腹水になる原因をおしえちゃいます。

また、犬の腹水は病気から起こるため、どのような病気が関係するのか紹介します。

 

犬が腹水になる原因

 

犬がお腹に水が溜まってしまう腹水になる原因は、様々な病気になってしまった際の、その各々の病気の影響のためです。

しかし犬が腹水になってしまう原因の腹水の溜まり方は、次の2通りの種類です。

・浸出液

・漏出液

浸出液とは、病気の影響で腹部の臓器が炎症を起こし、体液が染み出してしまい、その結果腹水となるものです。

漏出液とは、病気の影響で血液中のタンパク質のアルブミンという水分を抑える成分濃度が低下し、透圧の低下によって血液中の水分が血管から染み出してしまい、その結果腹水となるものです。

なお、腹水の比重やTP(蛋白)を測定して、血球計算機で細胞数を計測する生化学検査を行うことで、腹水が浸出液なのか、それとも漏出液なのか判別することが可能となります。

浸出液であれば、TP(蛋白)は3.0以上、細胞数は5,000以上となります。

漏出液であれば、TP(蛋白)は2.5未満、細胞数は1,000未満となります。

さらにその後、細胞学検査を行うことで、原因となる病気を確認することができます。

 

腹水になる原因の主な病気

 

「フィラリア症」

あなたは愛犬に、フィラリア予防(フィラリアのワクチンを打つ)してますか?

フィラリア予防の文字から、「愛犬にフィラリア予防薬を行う正しい時期と判断基準とは?」の記事へのリンクを貼っておきましょう。

もしもうっかりしていても、毎年春になれば、動物病院からフィラリア予防のおすすめがあるはず。

以前は死亡率ナンバーワンを誇った病気ですが、現在はフィラリア予防さえ行っておけば防げる病気になりました。

したがって万一愛犬がフィラリア症に感染したケースでは、フィラリア予防をさぼった飼い主さんの責任といえます。

フィラリア症の犯人は、アカイエカやヒトスジシマカなどの蚊です。

蚊が媒介者となって犬を刺すことで、感染したフィラリア原虫が、犬の心臓や肺動脈に寄生してしまう病気です。

フィラリアは、太さが2~3mm、長さが20cm程度にまで成長するため、心臓のなかにフィラリアがギュウギュウに詰まってしまい、心臓がパワーダウンして、心臓が血液を送り出す力が低下します。

その結果、身体の隅で血液が溜まり、手足がむくみ、お腹の中にも腹水が溜まってしまうことになるのです。

その他には、

・血液循環や内臓機能の障害

・呼吸困難

・激しい咳

・肝硬変

などの重篤な症状まで引き起こしてしまいます。

愛犬が一度フィラリア症に感染してしまうと、寄生したフィラリア原虫の駆除が必要となり、また、ケースによっては、外科手術を施さなければならなくなるなど、非常に厄介な病気です。

フィラリア症は、愛犬にフィラリア予防さえきちんと行っておけば予防できるので、必ず飼い主さんは守って行ってあげてください。

 

「心臓病」

ワンちゃんの寿命が延び、それに従って老犬の心臓病が増加しています。

特に小型犬の純血種は、元来心臓病の要因を持っているため発症しやすいといえます。

・心不全

心不全とは、厳密には病気というよりは、広義での心臓の異常を指し、心臓の機能が低下する症状といえます。

心臓は左心と右心に分かれており、血液の流れは、最初右側の心臓に流れ込み、次に肺に行き、そして再び心臓の左側に戻り、その後全身へ送り出されます。

このため、左心不全と右心不全では病状が異なりますが、腹水の症状が現れるのは右心不全とされています。

「水が溜まる」のは、右心不全の症状の特徴であり、中心静脈圧が上昇することにより、血管から水分が濾出し、腹水や胸水、浮腫などの症状が出現します。

ちなみに、左心不全の場合は、左心が全身へ血液を送り出す役割を担うことから、各臓器への血流量の低下による症状や、肺に関係した症状が生じるのが特徴です。

 

「特発性リンパ管拡張症」

腸のリンパ管が大きくなってしまうことで、タンパク質成分のアルブミンが腸内に漏れてしまう病気です。

このためタンパク質の低下が生じ、腹水になってしまいます。

同時に下痢を伴うこともあります。

 

「肝臓トラブル」

最近は愛犬を室内で飼い、もはや家族の一員です。

そのためつい甘やかして過保護となり、おやつなども与え過ぎ、過食傾向気味です。

さらにドッグフードも優秀となり、肥満症で悩むワンちゃんが増加しています。

肥満症になると、脂肪肝などが生じ、肝機能が低下して肝臓トラブルにつながりやすく、放置しておけば、肝硬変へと進行する危険性もあります。

肝硬変になれば、黄疸や腹水などの症状が起こってきます。

肝機能が低下すると、血液成分のバランスが狂ってしまうために、これが腹水が溜まる原因となるとされています。

このため、愛犬が肥満症にならないよう注意し、肥満予防を心掛けて、バランス良い食事や運動をしっかり行うことが大切となります。

 

「肝性脳症」

肝性脳炎とは、肝臓病が原因となって起こる脳の病気です。

肝臓が機能不全となることで、アンモニアなどの有毒な物質の浄化が不十分となり、そのため毒素が体中をめぐり、最後には脳にまで回ってきてしまうのです。

食欲不振や嘔吐、さらに重篤化しだすと腹水も起こり、さらに意識混濁やけいれん、昏睡などの状態が引き起こされ、最悪の場合は死に至ることもあります。

 

「肺動脈狭窄症」

肺動脈狭窄症は、先天的なものがほとんどであり、好発犬種は次の通りです。

好発犬種
・チワワ

・ミニチュアシュナウザー

・ビーグル

・ワイヤーフォックステリア

・ウェストハイランドホワイトテリア

・サモエド

・マスティフ

・ボクサー

血液が心臓内をうまく流れることができない病気であり、原因は肺動脈の根元が狭くなるためです。

主な症状は、

主な症状
・乾いた咳が出る

・呼吸困難を起こす

・激しい運動を嫌がる

・疲れやすい

・四肢のむくみ

そしてこれに「腹水」が加わります。

 

「腫瘍」

腫瘍の種類は様々ありますが、腹部に腫瘍が出来てしまった場合には、腹水が溜まることが多いといえます。

腫瘍は、どんどん増加して炎症を起こしていくため、お腹の中で炎症が起きることで腹水が溜まります。

これは、炎症を抑えようと、どんどん白血球が集まってしまうためです。

 

まとめ

 

ワンちゃんの腹水が溜まる原因を紹介しましたが、このように様々な病気が原因となって

腹水が起こっています。

しかし一般的に言って、腹水が溜まってしまう状態であるのは、すでにかなり病気が進行した悪い状だと認識しておきましょう。

特に、フィラリア症や心臓病の影響によって、腹水が生じることが多いといえます。

しかしこれらの病気は、フィラリア症であれば、薬で完全に予防できる病気ですし、心臓病に関しても、初期で発見すれば、十分薬での対応が可能です。

このためきちんとした予防や、早期発見が大切となります。