犬の混合ワクチンの3つの必要性と主な種類と値段
あなたは犬のワクチン接種は、「狂犬病」以外は法的には接種義務がないと知っていましたか?
しかし犬の感染症は、かかってしまえば命を落とすような病気も多く、愛犬に混合ワクチンを接種させることは必須といえます。
現在混合ワクチンが主流ですが、はたしてどのような種類の病気に効くのか把握していますか?
そもそもワクチンには、「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」という2種類があります。
コアワクチンとは、全ての犬と猫に接種すべきものとなっています。
これは、世界中で感染が認められており、死に至る可能性のある重い感染症からペットの命を守るためです。
主な種類は以下の通りです。
・犬パルボウイルス
・犬アデノウィルスⅠ型
・犬アデノウィルスⅡ型
一方ノンコアワクチンとは、地理的要因による特定の地域で流行したり、ライフスタイルの影響などの要因で、特定の感染症のリスクが高まるケースで対応するワクチンです。
主な種類は以下の通りです。
・犬コロナウイルス
・犬レプトスピラウイルス
実は混合ワンクチンにもいろいろ種類があり、2種から10種まで様々あります。
今回は、混合ワクチンの3つの必要性と種類や効き目、金額などについて紹介します。
犬の混合ワクチンの3つの必要性
ワクチン接種は、「狂犬病」の予防注射以外は、法律的には接種義務はありませんが、愛犬の命を守るためにも受けるべきというのが常識です。
ワクチン接種が終了するまでは、子犬に散歩をさせるべきでないというほどです。
また、ドッグランやドッグプール、ペットホテルなど、多くのペットが出入りする施設を利用するケースでは、ワクチン接種の証明書の提示が必要な場合がほとんどであり、この事実からもワクチン接種の重要性が図りとれます。
ここでは、犬の混合ワクチンの3つの必要性を紹介します。
1.愛犬を伝染病から守る
ワクチン接種の一番の最大目的は、愛犬を重い伝染性の病気にかかってしまうリスクから守ることにつきます。
ワンちゃんがかかってしまえば、命を落とす危険な感染症がいくつかあります。
混合ワクチン接種を愛犬に受けさせることで、重篤な病気に罹ってしまうリスクを確実に軽減できます。
また、仮に病気にかかったケースでも、軽い症状で留め、重く発症することを予防してくれます。
2.免疫力を維持させる
免疫とは、体に病原体などが侵入した際に、排除して防いでくれる作用のことです。
子犬は母乳を飲むことで免疫力を手に入れますが、その効果はわずか生後2~3ヶ月でなくなってしまいます。
この貴重な免疫力を再び高める効果を得るのに有効なのがワクチンとなります。
3.他の犬への伝染防止
愛犬にワクチン接種することで、命を守ると同時に他のワンちゃんへの伝染を防止する効果もあります。
重篤な伝染病は命にかかわる病気であり、強力な感染力を持つものも多いです。
このような、恐ろしい伝染病を広めないためにも、愛犬にワクチン接種することは大切となります。
あなたがもしも愛犬にワクチン接種しなければ、それにより伝染病が広まるような事態になることもあり得るのです。
これは社会性を無視したルールー違反とも言えますね。
愛犬の混合ワクチンの種類と効果や病気の症状と料金
混合ワクチンには、2種から10種まで様々な種類がありますが、通常5種混合ワクチンから打つのが常識です。
「5種混合ワクチン」
主な5種混合ワクチンとは次の5種類を刺し、接種費用は約5,000円~6,000円程度です。
- イヌジステンバー
- イヌ伝染性肝炎(アデノウィルスⅠ型)
- 犬伝染性喉頭気官炎(アデノウィルスⅡ型)
- イヌパラインフルエンザ
- イヌパルボウイルス
1.イヌジステンバー
犬ジステンバーは非常に感染力が高く、死亡率も高い病気です。
感染源は、ジステンパーウィルスは感染した犬の咳や鼻水、尿、便、唾液などです。
特に免疫力が低い1歳未満の子犬は要注意です。
主な症状は以下の通りです。
・嘔吐
・下痢
・鼻水
・せき、くしゃみ
・食欲低下
症状が進行すると、てんかん発作などの神経症状が見られるようになります。
この際の特徴が、ワンちゃんの肉球や鼻が硬くなるハードパットと呼ばれる症状です。
なお、犬ジステンパーウィルス感染症に対する特効薬はありません。
このため主な治療法は、対処療法がメインとなり、抗生物質やステロイド剤、点滴などを投与し、回復を図ることとなります。
詳しいジステンパーの症状や原因、治療法を知りたい
人は次の記事を参照しましょう。
2.イヌ伝染性肝炎(アデノウィルスⅠ型)
イヌ伝染性肝炎は、1歳未満の子犬が感染し発症するケースが多いです。
感染源は、犬アデノウイルスに感染した犬の便・尿・唾液などです。
散歩時には、他の犬のウンチに接触させないことも重要です。
主な症状は以下の通りです。
・下痢(血便)
・嘔吐
・食欲不振
・鼻水
・腹痛
・腹痛
・腹水
・肝炎
・血液凝固障害
感染後1週間程度で発熱が始まります。
犬の年齢や体力状態などにより、軽症のものから最悪急性の場合、1日もしない間に突然死することもあります。
特効薬はなく、治療法は対症療法となります。
回復した際の特徴として、瞳がブルーアイと呼ばれる青く濁って見えることがあります。
ただしこの症状は、時間の経過と共に消失します。
3.犬伝染性喉頭気官炎(アデノウィルスⅡ型)
イヌアデノウイルスⅡ型は犬伝染性喉頭気管炎とも呼ばれます。
感染源は、感染した犬との接触、咳やクシャミなどの飛沫です。
潜伏期間は2日から9日間程度です。
特徴は、乾燥した短い咳やくしゃみ、扁桃腺炎などの呼吸器症状を起こすことで、主な症状は以下の通りです。
・嘔吐
・下痢
・食欲低下
・発熱
・腹痛
微熱が下がり、咳が収まれば問題はありません。
ただし、重症化してしまうと血の混ざった腹水が溜まったり、他のウィルス感染を起こすことで高熱が出て肺炎になってしまうことがあります。
回復期やワクチン接種後にブルーアイになることもあります。
4.イヌパラインフルエンザ
イヌパラインフルエンザは、子犬がかかる代表的な呼吸器系の病気で、「ケンネルコフ」と呼ばれます。
感染源は、犬パラインフルエンザウイルスに感染した犬の咳などです。
感染時の症状は、乾いた咳、発熱、くしゃみ、鼻水、食欲不振などの風邪のような症状ですが、他のウィルスや細菌などの病原体と混合感染することで重篤化することがあります。
重症化したケースでは、肺炎に注意が必要です。
5.イヌパルボウイルス
イヌパルボウイルスで感染するのがパルボウイルス感染症で、1970年代に世界中で流行し、バタバタとワンちゃんが死んで大騒ぎになりました。
感染源は、犬パルボウィルスは感染した犬の便・尿・唾液などです。
散歩時には、他の犬のウンチに接触させないことも重要です。
主な症状は以下の通りです。
・嘔吐
・脱水
・発熱
・食欲減退
・衰弱
特効薬はなく、治療法は対症療法となります。
さらに詳しく、イヌパルボウイルスで感染を知りたい方は、次の記事を参照しましょう。
関連記事
「6種混合ワクチン」
6種混合ワクチンは、先ほど説明した5種混合ワクチンに、「犬コロナウィルス感染症」を追加します。
値段も1つワクチンが加わった分高くなり、6種混合ワクチン接種費用は、約6.000円~7,000円程度です。
「犬コロナウィルス感染症」
犬コロナウィルスとは、腸炎を起こすウィルスのことです。
抵抗力が低い子犬などがよくかかってしまいますが、命の危険を伴うようなことはほとんどありません。
犬コロナウィルスの主な症状
・嘔吐
・血便、粘膜便、オレンジ色の便
潜伏期間は2、3日程度で、通常であれば、発症後10日程度で回復します。
怖いのは、犬パルボウイルスなどの他の細菌などと一緒に感染してしまった場合といえます。
「8種混合ワクチン」
8種混合ワクチンとなれば、さらに2つの予防が加わります。
犬レプトスピラ感染症が加わり、この感染症には出血型のレプトスピラ・カニコーラ(イヌ型レプトスピラ菌)と、黄疸型のレプトスピラ・へクテロヘモラジー(黄疸出血性レプトスピラ菌)があります。
2種類増えた8種混合ワクチン接種費用は、約7.000円~9,000円程度です。
感染源は、レプトスピラ菌に感染した犬や他の小動物などの尿です。
「出血型のレプトスピラ・カニコーラ(イヌ型レプトスピラ菌)」
主な症状は以下の通りです。
・脱水症状
・筋肉痛
・食欲不振
・結膜の充血
・嘔吐や血便、血尿
進行させると脱水や尿毒症を起こして死亡します。
特に尿毒症は要注意といえ、引き起こしてしまえばわずか数日で死んでしまうことも多いです。
「黄疸型のレプトスピラ・へクテロヘモラジー(黄疸出血性レプトスピラ菌)」
主な症状は以下の通りです。
・全身の震えが起こる
・下痢
・嘔吐
・貧血
・口腔粘膜や歯茎から出血
・眼結膜の充血
・腎臓障害
・肝臓不全によって皮膚や粘膜が黄色くなり、黄疸が発生
出血型と比較して、黄疸型の方が症状の重いことが多いといえます。
発病後わずか数時間から数日で亡くなるケースもあり、注意が必要です。
ワイル病と呼ばれる病気が、人間で発症した場合です。
「8種ワクチンを選択するようなケース」
旅行好きで愛犬と一緒に、山や川などへキャンプなどに行ったりすることが多い飼い主さんは、8種ワクチンを選んでおくのがおすすめです。
また住んでいる地域が、山や川がある自然豊かな場所の場合も、8種ワクチンを選択しておくとよいです。
「9種混合ワクチン」
9種混合ワクチンでは、さらにヘブドマディス型腎炎が加わり、9種ワクチン接種費用は、約8,000円~9.000円程度です。
「ヘブドマディス型腎炎」
主な症状は以下の通りです。
・食欲低下
・口腔粘膜、眼結膜の充血
・出血性胃腸炎
・腎炎
・嘔吐
・貧血
・口内炎
肝炎を併発してしまうと死亡するケースもあります。
「10種混合ワクチン」
犬レプトスピラ感染症(グリッポチフォーザ)、犬レプトスピラ感染症(ポモナ)が追加され、10種混合ワクチン接種費用は、約9,000円~10.000円程度です。
レプトスピラ病は、腎炎を引き起こしてしまいます。
発熱して元気がなくなり、食欲低下を招きます。
進行すると嘔吐が加わり、血便や腎臓がはれて最悪死亡します。
ワクチン接種スケジュール
「子犬の場合」
・1回目(生後42日~60日)
・2回目(生後3ヶ月頃)
・3回目(生後4ヶ月頃)
・年1回の追加接種
「初めての接種の成犬の場合」
・1回目(その時点で打ちます)
・2回目(約4週間後)
・年1回の接種
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません