「犬の訓練士」と「ドッグトレーナー」の違いを知ろう!どんな資格

 

ワンちゃんをしつけるプロには、「犬の訓練士」と「ドッグトレーナー」がいます。

それぞれよく耳にする言葉ですが、果してどんな違いがあるか、あなたは知っていますか?

単に言い方が異なるだけなどと思っているみなさんもいそうですが、実はこの2つの職業には明白な違いがあります。

その違いとは「どんな種類の犬を相手にするのか」ということであり、つまり、家庭犬と使役犬の違いによるのです。

中には、使役犬って何という方もみえそうですね。

今回は、犬の訓練士とドッグトレーナーの違いについてや、またどんな資格が必要なのかについて紹介します。

 

家庭犬と使役犬

 

最初に家庭犬と使役犬を紹介しておきましょう。

家庭犬とは、その名前から想像する通りで、一般家庭において私たちと一緒に暮らしているワンちゃんのことです。

つまりいわゆるペットとなります。

これに反して使役犬とは、専門的な使命を持って活動するワンちゃんたちのことであり、次のような犬を刺します。

・警察犬

・盲導犬

・聴導犬

・介助犬

・セラピー犬

・災害救助犬

・麻薬探知犬

 

犬の訓練士

 

犬の訓練士とは、使役犬を訓練して育てる人の事を刺し、欠かすことのできない重要な仕事です。

社会に役立ち貢献する犬を育てるわけであり、その専門性の高さと重要度が見て取れますね。

使役犬の場合、重要な社会に役立つ仕事を行うため、人間の命令を忠実に守って行動できる必要があり、犬の訓練士はそのように犬を調教する職業と言えます。

つまりワンちゃんにプロとしての仕事を覚えさせるために訓練を行うのであり、ペットであるワンちゃんにマナーを教えるのではありません。

このため犬にも厳しく接して仕事を教えていきます。

ある面、会社の上司と部下のような上下関係をきちんと築き、部下である犬に仕事を教えるべき訓練を行うわけです。

 

ドッグトレーナー

 

ドッグトレーナーが犬にしつける内容は、ワンちゃんが人間社会で問題なく暮らしていけるためのマナーとなります。

対象犬種は、ペットとして家庭で飼われているワンちゃんたちすべてです。

犬訓練士の場合でれば、ある程度扱う犬種が定まってきます。

例えば、盲導犬や介助犬になれる可能性が高い犬種は、ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバー、シェパード等が主な犬種となります。

このように、ある程度適した優秀な犬種を訓練することが多くなります。

それと比較して、ドッグトレーナーの場合は全ての犬種が対象となり、中には保護犬のような人に心を開きづらい扱いにくい犬や、しつけが困難な成犬になってからのしつけが必要なケースもよくあります。

ドッグトレーナーと犬との関係は、「親子関係」によく例えられます。

犬との接し方は、犬の訓練士よりはマイルドと言え、いわば親のような気持ちで犬を子供に見立てて教育するようなイメージと言えます。

トレーニング内容は、トイレや散歩、留守番、無駄吠え対策などの問題行動回避のための、人と暮らしていくためのマナーであるしつけが中心になります。

また時には、飼い主さんをサポートするケースもあり、これもドッグトレーナーにとってはとても大事な仕事の一つとなります。

 

犬訓練士、ドッグトレーナーの資格

 

犬訓練士とドッグトレーナーの両方とも、国家資格はありません。

しかし専門性が高く技術力が必要な仕事のため、全くの無資格で仕事を請け負うことが可能なほど甘くはありません。

 

「犬訓練士になるには」

犬の訓練士には性別の制限はありません。

満18歳以上になれば目指すことができます。

国家資格はありませんが、公認訓練士資格を取得することで犬の訓練士になることができます。

方法は大きく分けて次の2つの方法があります。

 

民間団体で資格をとる

 

民間団体に所属して、犬の訓練士の技術を習得します。

犬の訓練士になるための修業期間は約3~6年必要となり、トレーニングの経験を重ねながら資格の取得を目指すこととなります。

主な民間団体は以下の通りです。

一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC公認訓練士)

公益社団法人日本警察犬協会(公認訓練士)

日本シェパード犬登録協会(公認訓練士)

 

 

犬訓練士を目指すための例として、公益社団法人日本警察犬協会が定める公認資格を取得する方法を紹介しましょう。

例えば警察官となり、特定の部署に配属されることによって直轄警察犬訓練士になれることがありますが、これはほとんど困難でありなれる可能性は低いです。

このため、先ほど述べた公認資格を取得するのです。

試験の内容は、犬に関する心得、犬学概論、訓練法、繁殖、飼育管理、生理衛生、法令・規則など多岐に渡ります。

したがって、公認訓練士が経営する訓練所に見習い訓練士として入所し、実績と実力を作ってから訓練士試験を受けるのがおすすめです。

犬訓練士の資格は更新制であり、有効期間は2年間となります。

なお、詳しくは、前述した公益社団法人日本警察犬協会のホームページを参考にしてみてください。

 

学校や訓練所で学び資格をとる

 

犬訓練士養成学校や動物看護大学、また専門学校などがあります。

これらの学校に入学し、カリキュラムの中で経験を積むことで実力を磨き、公認訓練士資格を取得します。

当然ですがスクールごとに入学金や教材費等が異なるため、事前に調べて確認しておきましょう。

学費の年間相場は約40万円程度です。

訓練期間の主流は2年です。

 

「ドッグトレーナーになるためには」

ドッグトレーナーを目指す場合は、日本ドッグトレーナー協会などが発行する公認資格を取得するのがおすすめです。

ドッグトレーナーの場合、顧客は愛犬にしつけを頼みたい飼い主さんたちとなります。

この場合、実績や公認資格が無いドッグトレーナーに対して、誰も愛犬のしつけを頼むはずがありません。

つまり、信頼できる実績ある団体から公認されたドッグトレーナーに依頼が集まるのです。

日本ドッグトレーナー協会ホームページはこちら

 

犬の訓練士の主な種類や仕事内容

 

「警察犬訓練士」

警察犬訓練士は、警察犬を訓練して育てます。

警察犬に必要な能力を引き出す訓練や健康管理などを行います。

具体には、災害現場を想定した救助訓練を実施したり、走るなどの運動トレーニングで犬の体力向上を図る、また命令に従って犯人に飛び掛かるような実践訓練も行います。

また、毎日の飼育作業も必須であり、犬の排便処理や犬舎の掃除などを欠かさず行います。

警察犬訓練士には、警察が行う直轄警察犬訓練士と民間が行う嘱託警察犬訓練士があり、基本的に訓練内容は同じとなります。

嘱託警察犬訓練士の給料は、年収が約200万円程度とされており、かなり厳しいといえます。

 

「盲導犬訓練士」

盲導犬訓練士とは、盲導犬を育成する仕事です。

盲導犬が目の不自由な方に対して目の代わりとなり、障害物や段差などを教えて誘導する役目が果たせるような、専門能力を身につけるように訓練します。

また同時に、配食や排便などの日常の世話などの飼育を行います。

ケースによっては、目の不自由な方と盲導犬との、実際の歩行指導を行う盲導犬歩行指導員の仕事もあります。

また、盲導犬を引退したリタイア犬や、残念ながら盲導犬には向かないと判断された犬の飼育を希望する方などのオーナーを探し、橋渡しするような役目もあります。

 

「介助犬訓練士」

介助犬訓練士は、身体障害者や要介護者の自立をサポートするための介助犬を指導し育成する仕事です。

肢体不自由者の手足となり、代わりに物をとってきたりするなどの日常生活における動作の補助を教えます。

また介助犬の重要な役目は、使用者の精神的な支えにもなることです。

さらに訓練士は、使用者候補との適正評価も実施したりします。

このような重要な働きを行う介助犬ですが、現在まだまだ重要度の社会的認識が甘く、基本的にはボランティア扱いのような位置づけのため、残念ながら介助犬訓練士の給料は10万円以下といえます。

 

「災害救助犬訓練士」

災害救助犬訓練士とは、災害時などにおける人の救助の手助けをする災害救助犬を育成する仕事です。

災害救助犬の主な役割は次の3つです。

  • 地震などの災害時における家屋崩壊現場において被災者を捜索する
  • 山においての遭難者や行方不明者を捜索する
  • 海や湖などの現場で遭難者の人命救助にあたる

 

「麻薬探知犬訓練士」

麻薬探知犬訓練士の仕事は、空港や港などで麻薬類の密輸入を防止するための、麻薬探知犬を訓練する仕事です。

犬の臭覚は、人間の1億倍とも言われる程優秀であり、この優れた犬の嗅覚を活用し、麻薬を見つけ出すように犬を訓練します。

 

「セラピードッグ訓練士」

アニマルセラピーという言葉を聞いたことがあるはずです。

犬などの動物と触れ合うことで心を癒して、その人が抱える悩みや不安、不調などに適切にアプローチを行う心理療法がアニマルセラピーです。

そしてこれらの治療に役立つ仕事を行うワンちゃんを育てるのがセラピードッグ訓練士となります。

アニマルセラピーについて詳しく知りたい方は、次の記事を参照してみましょう。

アニマルセラピー効果が凄い!犬たち動物が持つ驚異の癒し能力

 

犬の訓練士の仕事は様々な種類がありますが、総じて犬の訓練士の種類や公務員か民間かの違いによって、かなりのばらつきがあります。

正直収入面から見れば、特に民間では苦しいと言わざるおえません。

 

ドッグトレーナーの主なしつけ内容

 

「トイレトレーニング」

絶対必要な望まれる犬のしつけがトイレトレーニングです。

あなたが子犬を自宅に迎えた初日から始めることが必要です。

最近のしつけの仕方は、叱ることをせずに、褒めることでしつけていきます。

例えば、サークルや部屋全面にトイレシートを敷くことで、トイレは絶対に失敗させない方法でしつけ、褒めていきます。

 

「噛みグセ防止」

ワンちゃんに、人を噛むことは良くないことだと優しく教えていきます。

噛むことがダメだと教えるコツは、子犬があなたの手や足などに歯を当ててしまった瞬間に、そのたびに遊びや構うことをすぐに中止することです。

歯を当ててはダメだと声に出して注意し、サークルやクレートへ子犬を戻します。

そして必ずあなたも子犬から見えない場所に移動して、姿を隠してください。

30秒から1分程度身を隠した後で、何事もなかったようにまた遊んだり構ったりしてあげましょう。

このような態度を繰り返し示すことで、子犬はルールを理解し、歯を当てずにあなたと楽しく遊ぶことが可能となり、噛みグセの防止となります。

 

「体を嫌がらず触らせる」

毎日少しずつでよいので、何回も愛犬の抱っこを行い、また体中を優しく撫でたりマッサージしてあげてください。

顔や口周り、耳、足の指など、本来ワンちゃんが触られるのが苦手な場所も細目に触ってください。

よく愛犬が歯磨きを嫌がり、デンタルケアが苦手な飼い主さんが多くいますが、子犬の時期から、口の周りを触ってあげることで克服できます。

このように愛犬の体中をタッチしてあげることで、触られる苦手意識をなくすことが可能となります。

このようなトレーニングをしておけば、愛犬の歯磨きはもちろん、将来トリマーや獣医に体を触られても平気でお利巧でいられるようなワンちゃんになります。

 

「社会性を身につける」

子犬の学習のなかで最も重要といえるのが社会化です。

ペットショップなどから購入した子犬は、早くに親や兄弟犬と引き離されてしまっており、そのためほとんど社会性を身につけていません。

ワンちゃんの社会化には適正な時期があり、それが子犬のパピー期です。

よく子犬に、最初の100日間で、100個の新しい体験をさせてあげましょうと言われる所以です。

とにかくいろんな体験をさせてあげましょう。

一番のオススメは、パピーパーティーですね。

 

「噛んで遊べるオモチャ」

子犬は生後5ヶ月の間に乳歯が抜けて、永久歯にはえ変わります。

この時期に安全に噛んで遊べるオモチャを教えてあげることが大切となります。

この時期の子犬は、歯がむず痒いこともあり、何でも噛んでしまいます。

そこで適度な硬さの安全で衛生的な素材のおもちゃを与えることで、歯の抜け替わりを助け、ストレスを軽減させる知育玩具を与えてあげましょう。

 

「Kong(コング)」

Kong(コング) コング S

1,250円(税込)

 



 

おすすめナンバーワンが、知育玩具タイプのおもちゃである「コング」、丈夫で噛み心地も文句なしです。

おもちゃの中に、犬が大好きなフードやおやつを入れておき、ワンちゃんが頭を使ってコロコロと転がすことによって、少しずつおやつが出てきます。

遊べば中から大好きなおやつが出てくるわけだから、もう夢中ですね。

少し取り出しにくいおやつを詰めておくのがおすすめです。

また、ボールの代わりに使っても大活躍してくれます。

ユニークなひょうたんのような独特の形のため、まるでラクビーボールのように予想のできない動きをしてくれます。

このため、追いかける愛犬も思わず目が点に、なお、ゴム製のため水洗いも簡単にできて重宝します。

 

「分離不安の予防」

飼い主への執着が強すぎるワンちゃんは問題です。

対策として、犬にひとりで留守番ができるように教えることが大切となります。

愛犬に留守番の練習をさせることで、分離不安と呼ばれる精神的な病気を予防することが可能となります。

子犬の時期から、先ほど紹介したコングなどのオモチャを一緒に与えるなどしながら、定期的に短時間外出をして訓練して慣らしていきます。

ポイントは、出かける時と戻った時に子犬を構いすぎることなく、ごく自然に振る舞うことです。

 

「所有欲を取り除く」

愛犬の食べ物やオモチャへの所有欲を取り除くしつけも大切です。

ワンちゃんは何でもすぐ口に入れてしまいます。

この時に、子犬が何か危険なものを口にした場合、すぐに取り出せることが重要となります。

そのためには、所有欲を取り除くことが大切となります。

そう簡単にはいきませんから、まずは子犬が持っているものよりも、もっと良いものと交換する練習を始めておきましょう。

また、人の手がワンちゃんの大事な物を奪わないと、認識させることも重要となります。

そのために有効な方法が、手からドッグフードやオヤツを与えてあげることです。

これで、人間の手は大好きな物をくれるモノだと関連付けすることができます。

 

「散歩の練習」

まずは犬種に合ったカラー(首輪)やハーネス(胴輪)を選んであげましょう。

次にこれらは何度も身につけさせて、慣れさせます。

散歩の訓練でまず大事なしつけは、子犬の時期から引っ張らずに散歩で歩く練習をすることです。

引っ張りグセが付いてしまうと、頚椎や喉などを傷めやすくなるので要注意です。

 

「オービディエンストレーニング」

簡単な基本となる「おすわり・ふせ・まて・おいで」などの、しつけを教えることはとても大切です。

ワンちゃんと快適に過ごすためには、これらの基本のしつけは、必要不可欠なコミュニケーションの手段といえます。

オービディエンストレーニングをしっかり行うことで、安心して愛犬と一緒にどこにでも出かけることが可能となります。

 

まとめ

 

使役犬の訓練を行うのが「犬の訓練士」であり、家庭犬のしつけを行うのが「ドッグトレーナー」だと認識できたはずです。

つまり、訓練する犬種の違いこそが、犬の訓練士とドッグトレーナーの主な違いといえるわけです。

一見すれば同様に思えてしまいがちですが、このように仕事内容は大きく違っていると理解できたことでしょう。