犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)の原因とグレード別の症状と予防法

 

犬の膝蓋骨脱臼は、英語では「Patellar Luxation」となるため、通称として「パテラ」と呼ばれています。

病気の症状は病名から分かるように、膝蓋骨とは「膝の皿(ひざのさら)」の部分を刺すため、膝の関節つまりお皿が横方向にずれて、外れてしまう症状(脱臼)の病気のことをいいます。

パテラになると、じん帯が上手く動かず、そのためにワンちゃんは脚をつくことが出来なくなります。

このため愛犬が、3本足で歩くようになった場合は、パテラの可能性が高まります。

基本的に小型犬に好発する疾患であり、小型犬全般に注意が必要ですが、特に次の犬種はかかりやすいとされています。

・チワワ

・ミニチュア・ダックスフンド

・ポメラニアン

・パピヨン

・マルチーズ

・トイ・プードル

・ボストン・テリア

・ヨークシャテリア

・イタリアン・グレーハウンド

後発犬の特徴は、華奢で足の骨が細い犬種と言われています。

ただし最近は、中型犬や大型犬などにも見られる傾向が現れてきています。

今回は犬の膝蓋骨脱臼の原因と、グレード別の症状について紹介します。

 

パテラの原因

 

パテラの原因は、先天性と後天性の2つに大別されます。

「先天性」

遺伝的な骨格の異常が原因となり、そのため生まれたときから既に、膝の関節を覆う筋肉や骨の形などに異常が生じており、それが原因となって脱臼をおこしてしまうものです。

犬のパテラは、そのほとんどが先天性のものと言われています。

膝蓋骨が収まっている箇所の滑車の溝が浅いため、どうしても膝蓋骨が外れ易くなるという、構造上の問題が影響しています。

さらに小型犬は、通常靭帯が薄く弱いため、どうしても靭帯の緩みが出やすいことも原因となります。

パテラも細かく症状を分けると、外れる方向によって次の2つに分かれます。

1.膝蓋骨内方脱臼

膝蓋骨内方脱とは、膝蓋骨が膝の内側に外れるものをいいます。

2.膝蓋骨外方脱臼

膝蓋骨外方脱臼とは、膝蓋骨が膝の外側に外れるものをいいます。

犬のパテラの場合、約80%が内方脱臼となり、さらにワンちゃんがパテラを起こした際には、その約半数が両足に症状が出てしまいます。

最近は、中型犬や大型犬にもパテラが起こりがちですが、本来ワンちゃんは、脛骨が回転しやすい動物であり、注意が必要なのです。

 

パテラの症状

 

愛犬がパテラになったケースでの主な目だった症状は次の通りです。

・びっこをひいて歩く跛行や、3本足で歩く

・足を上げたままの状態で足が付かけない

・突然何かの拍子に痛がってよく鳴く

・膝が内股となり、反対に足先のかかと部分は外向きとなる

とにかく上記のように目だった症状となるため、直ぐに飼い主さんは愛犬の異常に気づいてあげられるはずなので、直ぐに動物病院に連れて行ってあげましょう。

 

パテラは状態の程度によってグレード分けされています。

グレード別に症状を詳しく見ていきましょう。

通常犬のパテラは、軽症~重症の4段階に分類されています

 

「グレード1」

初期症状のため、痛みもなく通常状態では跛行などもしないため、健診などで獣医師に指摘されない限りはまず主さんはほとんど気づくことがありません。

注意して観察すれば、激しい運動後に一時的に跛行が起こることもあります。

仮に膝のお皿がずれた場合でも、すぐに元に戻るため痛みもほとんどありません。

 

「グレード2」

ワンちゃんが膝を曲げたときに脱臼する可能性がありますが、ほとんどの場合、愛犬が膝を伸ばせば自然に元に戻ってしまう状態です。

まだ関節に軽度な変形が認められる程度の状態ですが、少し痛みを伴うこともあるため、時々足を浮かせた状態で歩行しているケースがあります。

ジャンプするのを嫌がったりすることがあります。

放置すれば、次のグレード3へ移行する危険性があるため、少し症状がでかかったこの段階で気づいてあげたいものです。

 

「グレード3」

グレード3まで進行してしまうと、皿が常にずれた脱臼した状態となります。

関節を伸ばした状態にして手で元に戻すことは可能ですが、一時的にお皿を元の位置に戻しても、膝を曲げればまたすぐに外れるため意味がありません。

このためまともには歩けず、けんけん歩行などをすることが多くなります。

膝関節の変形もかなり重度となり、内側に屈曲した状態のままとなってしまい、さらに太ももの筋肉や骨の変形までが見られるようになってきます。

痛みもかなり起こっており、悪化させると前十字靭帯断裂の可能性があります。

 

「グレード4」

脱臼した状態の膝蓋骨をもはや元に戻すことが出来なくなります。

何度も何度も脱臼を繰り返すことで関節炎なども発症し、関節や骨の変形が顕著となり、筋肉の萎縮も起こってきます。

このため、もはや膝関節の曲げ伸ばしができない状態であり、その結果、足を上げっぱなしの状態でいたり、歩く際には足が曲がったままのため、腰を丸めて必死で歩くことになります。

症状が進むにつれて、前十字靭帯断裂や股関節脱臼などを起こす可能性が高まり、もはや歩行が困難な状態となってきます。

この状態まで進行してしまうと、手術をしても元気に歩くことができなくなってしまう可能性もあります。

 

グレード別のワンちゃんのパテラの症状を紹介した動画があるので参考に確認してみましょう。

 

犬のパテラの予防法

 

パテラの予防法のポイントは、犬の関節に少しでも負担をかけないように努める工夫を行ってあげることです。

そのためには、環境の改善として最低限次のようなことを実施してあげましょう。

 

「肥満に注意して適正体重を保つ」

愛犬が太って体重が増えてしまうと、股関節に負担が生じてしまうため、体重の管理は必須となります。

体重の管理のベスト方法は、通常であれば運動と食事です。

しかし過度の運動は、股関節に負担が生じるため、食事管理にウエイトをおきましょう。

最近はダイエットに留意したドッグフードがいくらでも販売されています。

愛犬を太らせないための、肥満犬にオススメなダイエットドッグフードランキングを紹介します。

 

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「フローリング対策」

フローリングで滑ってしまうことで股関節に負担がかかり、膝蓋骨脱臼を悪化させる原因になります。

このため、滑りやすいフローリングには、滑り止め防止の簡単に敷けるマットを設置してあげましょう。

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なお、フローリングで愛犬が滑らないためには、肉球のケアが必須となります。

足の裏の毛を定期的にカットしてあげることがとても大切であり、毛に覆われずに肉球がしっかり出ている状態にしてあげることで、段ちに滑りにくくしてあげることができます。

 

「滑りやすい箇所を歩かせない」

散歩に出かけた際には、コンクリートなどのつるつるした箇所を歩かせないように注意しましょう。

また、段差があるような場所も厳禁です。

 

「膝の負担を抑えた運動」

脚に負担をかけてはいけないからと言っても、当然愛犬に全く運動させないのはNGです。

ピョンピョン跳ねるなど膝に負担をかけるような運動は避けて、適度な運動を行うことで、筋肉をつけて膝まわりを丈夫にすることも大切な予防となります。

段差を避けた散歩は有効です。

また、お風呂など水を利用して、水中で足を動かさせるのはおすすめです。

この際には、犬用のライフジャケットなどをつけて行ってあげると有効です。

 

「段差に注意」

膝への一番の負担は段差のある箇所から飛び降りることです。

このためソファーなどの家具は要注意です。

愛犬が飛び降りないように、スロープを付けて段差をなくすのがおすすめです。

 

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