犬のクッシング症候群は、副腎皮質からホルモンが過剰分泌されることが原因となります。
このため脳下垂体か副腎に腫瘍あるケースが考えられます。
まずはクッシング症候群を引き起こした原因の治療を行うこととなります。
腫瘍が見つかった場合は、その腫瘍を取り除くための外科的手術を行います。
副腎腫瘍の場合、腫瘍を手術で摘出することが第一選択といえます。
発見が早くきれいに摘出可能なケースでは、予後も良好となります。
ただし、副腎腫瘍は血管をもろくするのが特徴のため注意が必要です。
さらに、腫瘍細胞が血管から移動して転移しやすいため、術後中や術後のリスクが高い手術となります。
転移をさせない配慮に基づき手術をすると、多くのケースで一部しか切り取ることが出来ないことになります。
この結果、クッシング症候群は治らず、術後もクッシング症候群の投薬が必要になるケースが非常に多いのです。
また、下垂体は脳の下側に位置する複雑な位置であり、簡単には開頭手術は行えない箇所のため、手術は非常に困難で危険度が高いと言われています。
通常、鼻の奥あるいは喉から切開して施術することとなるため、非常に高度な技術を要します。
したがって、この手術に対応できるレベルの医師や病院事態が少なく、手術を選択することは困難と言えます。
なお、愛犬に外科的治療を実施する場合、全身麻酔のリスクや術後の対応、ケア、費用面など、諸々の問題が山積みとなります。
事前にしっかり獣医師と相談を行い、飼い主がきちんと問題を理解しておく必要があります。
また、外科的処置が施せないケースでは、代わりに放射線治療が用いられることもあります。
放射線治療は、腫瘍に放射線を当てて小さくすることを目指す治療法です。
外科的処置が施せないケースや、巨大腺腫と呼ばれる大きな腫瘍の場合に実施されます。
ただし、放射線を当てるたびに犬に全身麻酔が必要になるため、かなりのリスクが生じます。
ちなみに、犬の麻酔関連死による死亡率は全身麻酔の場合0.18%とされ、これは、ワンちゃんが1,000~2,000頭に1頭の割合で死亡してしまうことになります。
このため、通常放射線を当てる回数をまずは4回とします。
そして効き具合を見て、継続するかどうかの判断を行っていきます。
なお、実際問題として、放射線治療が行える施設がまだ日本には少ないのが現状であり、簡単に治療を実施することは困難といえます。
外科的療法が選択できない場合は、内科的治療法として、ミトタンやプレドニゾロンなどの投薬治療が行われます。
薬の効果には、副腎皮質ホルモンを分泌している副腎皮質の細胞自体を攻撃する役目の薬と、副腎皮質ホルモンの分泌を下げる薬が用いられます。
一般的には、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールの量を抑える作用がある薬が多く投与されます。
この種の薬は、基本クッシング症候群そのものを治すわけではなく、症状を緩和させることが目的のため、長期間継続して薬を飲み続ける必要があります。
また、薬の投薬量は慎重をきす必要があり、副腎皮質機能低下症を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
投薬量は、血液中の副腎皮質ホルモンの値によって獣医師が判断し、投薬量や服用の回数はその子の症状によって変化します。
さらに、嘔吐や震えなどの副作用が生じるケースもあり、愛犬の様子を飼い主さんは注意深く観察する必要があります。
ステロイドを使用したことによる医原性によるクッシング症候群の場合には、ステロイド剤の投薬を徐々に中止していきます。
ステロイドは、急に素人判断で勝手に停止すると副腎不全を起こす危険があるため、必ず医師の指示に従って対応してください。
停止後は、既往症とクッシング症候群の兼ね合いを見比べながら、獣医師と相談の上指示に従い治療方針を決めていきます。
クッシング症候群が末期になってくると、糖尿病を始めとして、いろんな病気の症状が現れてきます。
クッシング症候群の特徴の一つが免疫力の低下であり、発生する時期の高齢期とも重なり、一層免疫力が低下しやすくなり、次々に多種の病気が現れてしまいます。
このため、現在起こっている病気の対処可能なものに絞り治療してあげるのが有効となります。
また、高齢化のため最低限の治療を目指し、少しでも今の生活の向上を図ってあげられる治療や、痛みが出ていれば減少してあげられるような治療法を目指してあげましょう。
体力が落ちてくれば根本的な治療は無理です。
もともと腫瘍が原因となっている病気であり、初期症状のケースで外科手術しないとなかなか治らない病気です。
ある程度進行した後では、無理せず、少しでも愛犬が楽に生活できるような治療をしてあげるのがおすすめです。
食事療法であれば、自宅でも対応可能となります。
ここでは、愛犬にたべさせたい効果的な食材を紹介します。
クッシング症候群で起こる症状は、免疫力の低下や高血糖などいろいろな症状があります。
食事療法の目的は、食事内容を良質なものへと変えることで、予防効果や病気の進行を抑えることです。
クッシング症候群には、犬の皮膚が薄くなったり、毛が抜けて脱毛になるような症状があります。
これは犬がクッシング症候群になると、体のタンパク質を分解して、エネルギーとして利用してしまうために、身体のタンパク質が減少し、毛や皮膚などにタンパク質が行き届かなる結果として起こる症状なのです。
このため、良質なタンパク質を豊富に含んだ食事を愛犬に与える食事療法を行ってあげる必要があります。
しかし、タンパク質は与えすぎると犬の腎臓に負担がかかってしまうため、クッシング症候群の病状をチェックしながら、適量を与える必要があります。
ドッグフードの場合、タンパク質量が明示されているので、30%以上あるフードを選んであげましょう。
ドッグフードの場合、病気に対応した療法食があり、このような種類のドッグフードを愛犬に与えてあげるのも有効です。
犬心元気キープは、市販の一般的なドッグフードとは一線を引き異なり、犬の癌や腫瘍をケアする「特別療法食」のドッグフードです。
このため、クッシング症候群の対策の食事療法として与えてあげたいドッグフードといえます。
犬のクッシング症候群の症状としてよく見られるのが高血糖です。
血糖値は通常の場合、ワンちゃんが食事を取れば値が一気にぐんと上昇します。
このため、血糖値が上がりやすい食材は避けるようにすることが肝心です。
血糖値が上がりやすい食材を高GI、血糖値が上がりにくい食材を低GIといいます。
GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略であり、その食品が体内で糖に変わり血糖値が上昇するスピードを計ったものを指します。
つまりこのGI値が高い食材を食べると血糖値が急上昇し、反対に、GI値が低い食材を食べると血糖値は緩やかに上昇します。
GI値は低・中・高と3つに構成され数値で分類されています。
低GI値:55以下 中GI値:56~69 高GI値:70以上
GI値は、例えば同じお米でも、白米はGI値が高く、赤飯で中くらい、玄米ならば低いという具合に、製法や調理法によってGI値が異なります。
このため、愛犬に食事療法を行おうと考えた場合、少しは学習すべきといえます。
糖質などが含まれている甘い食べ物はNGです。
消化しやすい炭水化物もダメです。
犬用のケーキやパン類は止めておきましょう。
野菜類では、にんじん・とうもろこし・山芋・じゃがいも当たりは避けてください。
肉類・魚介類は大丈夫なので安心して与えてあげましょう。
きのこ類もOKです。
野菜類では、キャベツ・大根・かぶ・ピーマン・ブロッコリー・ほうれん草などを与えてあげましょう。
野菜は食物繊維を豊富に含み、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる食材ですが、犬にとって食物繊維は消化吸収できない食材のため、過剰に摂取すると胃腸障害を引き起こす原因となるため注意しましょう。
果物では、リンゴ・イチゴ・キウイ・梨などがおすすめです。
ヨーグルトやチーズなどの乳製品もいいですよ。
食べる順序によっても血糖値の上昇の速度をゆるやかに保つことができます。
このため、手作り食を与える場合は、低GI食品から先に食べるようにして、仮に高GI食品を食べる場合は後からにしてください。
犬がクッシング症候群にかかると、同時によく糖尿病を引き起こします。
また、傷が治りにくくなったり、他の病気にもかかりやすくなってしまいます。
これは、免疫力が低下してしまうからです。
このため、愛犬に免疫力を向上させる食材を食べさせたり、腸内環境を整え腸から免疫力を向上させる必要があります。
動物性タンパク質としては、次のような食材がおすすめです。
・鶏肉(ササミ、もも肉)
・卵 野菜ならば、次のような食材がおすすめです。
・大根
・小松菜
・ブロッコリー
・キャベツ
・白菜
・長芋(中GI食材)
・かぼちゃ(中GI食材)
・さつまいも(中GI食材)
果物ならば、次のような食材がおすすめです。
・りんご
・バナナ
この他には、ヨーグルトで腸内環境を整えたり、納豆やごまなども免疫力を向上させる食材です。
また、免疫力を向上させるには、食事のみならず、毎日愛犬を散歩させ適度の運動とストレス解消させたり、太陽の光をしっかり浴びることも大切です。