人間も結膜炎にはよくなりますが、犬の目のトラブルで一番多いともいわれるのが結膜炎です。
目の違和感を感じ、あなたが鏡を見た瞬間、ああ目が赤い充血していると感じることがあるでしょう。
こんな具合に人間であれば、一目で目の異常に気づき結膜炎だと分かります。
ところがワンちゃんの場合、なかなか飼い主さんが直ぐに気づいてあげられず、症状が悪化してからようやく結膜炎に気づくケースが多いとされています。
これは何故なのでしょうね。
それでは愛犬の目を見てください。
どうですか、ワンちゃんって人間と違ってとても黒目の部分が大きいでしょう。
だから犬が正面を向いている状態では、ほとんど白目が見えないのです。
このため、どうしても愛犬の赤くなった目の充血に気付くことが遅れてしまいます。
したがって、愛犬が盛んに前足で目を触るなど違和感を感じた場合、上のまぶたあるいは下のまぶたを強引に「あっかんべー」をさせる感じで広げて確認する必要があります。
結膜は眼球の白目からまぶたの裏側を覆っている膜のことであり、この結膜が炎症を起こすことによって、白目が充血して赤くなり結膜炎になります。
目にゴミや毛が入ったりする些細なことで、簡単に引き起こしてしまします。
人間であれば、直ぐに目を洗ったり目薬をさすなどして、目に入った異物を取り出すことが可能ですが、ワンちゃんの場合は自分で取り出すことができないため、直ぐ結膜炎を起こしてしまうのです。
今回は、このように犬の目のトラブルナンバーワンとされる、結膜炎になる原因と主な症状及び結膜炎の種類について紹介します。
愛犬が結膜炎を起こす原因の多くは外的要因といえます。
また結膜炎が、片方の目だけ、あるいは両方の目で起こってる場合で原因が変化します。
結膜炎が片方の目だけに起こっている場合は、異物などの混入による物理的な刺激が考えられます。
また、両目に結膜炎の症状が出ている場合は、アレルギーや感染症などが原因である可能性が高まります。
物理的な原因として犬の場合多いのが、目の周辺に生えている毛の影響です。
毛が目に入って刺激を与え、それが結膜炎の原因になっているケースが多いといえます。
このため、特に長毛の犬種の場合、目のまわりのトリミングには注意を払ってあげる必要があります。
また、毛以外の原因もたくさんあります。
ゴミやシャンプー、草、花粉、粉塵、ほこり、薬品、スプレー、ハウスダストなどの異物が目に入ることで、炎症反応が起こり結膜炎になってしまいます。
このためシャンプーには十分注意を払って慎重に行う、また散歩時には無暗に草むらに愛犬を入れて、鋭い草などで目を傷めないことも大切です。
なお、ワンちゃんは、目に入った異物に対して人間のように洗い流すことができないため、どうしても目を強くこすったり引っかいたりしてしまい、結膜炎になりやすいといえます。
物理的な原因の場合、結膜炎が片目だけに発症することが多いのが特徴となります。
食べ物や花粉、ハウスダストなどのアレルギーが原因で、犬が結膜炎になることもあります。食べ物アレルギーに反応してしまい、結膜炎になる場合が最も多いとされています。
ただし食べ物以外にも花粉やたばこの煙、ハウスダストなど、いろんなものが原因となります。
このため、アレルギー物質をしっかりと特定することが大切なります。
動物病院でアレルギー検査を行ってみるのがおすすめです。
ウイルスや細菌、寄生虫に感染することが結膜炎の原因となります。
ウイルスや細菌などの微生物に感染することで涙の量が減り、結膜に炎症が起きてしまいます。
ウイルスの場合、ジステンパーウイルス、細菌の場合、ブドウ球菌やレプトスピラなどが代表的なものになります。
寄生虫の場合は、白くて細長い東洋眼虫(とうようがんちゅう)が犯人。
犬のまぶたと目の間に寄生することで結膜炎を引き起こします。
寄生虫感染の特徴として、結膜の充血以外にも粘液性の涙が流れます。
感染症が原因の結膜炎は、両目に症状が現れることが多くなります。
犬がもともと疾患として抱えている病気が原因となり、その病気から併発することで結膜炎が起こることがあります。
具体的な病気は次の通りです。
・天疱瘡(てんぽうそう)
・緑内障
・流涙症
・角膜炎
・ドライアイ
・ブドウ膜炎
・副鼻腔炎
基礎疾患が原因の場合も、両目に症状が現れることが多いといえます。
犬が結膜炎を発症した場合、以下のような症状が現れます。
・前足で盛んに目をこする
・床や壁に目をこすりつける
・まばたきが多くなる
・涙の量が多くなる
・目やにが増える
・眼球が腫れてやや大きくなる
・白目がブヨブヨとたるむ
初期の早い段階では、涙や目やにが出たり、白目の部分やまぶたの裏側が赤くなる程度です。
その後だんだん痒みや痛みが起こってきます。
目の違和感からまばたきの回数が増えたり、目が開きにくそうな様子が見られ出します。
なかなかこの段階で気づいてあげることが困難ですが、この状態で犬のまぶたをめくってみれば、結膜の充血や腫れが見られる場合もあります。
結膜炎に気づかず放置して悪化させてしまうと、まぶたが腫れたり、大量の涙や目やにが出て、目の周りが濡れたような状態になります。
この段階まで症状が進むと、目の不快感から盛んに前足で目をかいたり、頻繁に顔をこすりつけるようになるため、目や皮膚を傷つけてしまう可能性が高まります。
また角膜にまで炎症が広がり、角膜炎へと進行してしまったり、緑内障やドライアイなどの他の眼の病気も同時に発症してしまうことも多くなります。
結膜炎だけでは失明することなどはほとんどありませんが、このように他の眼の病気が同時に発症したり、愛犬が目を傷つけてしまった場合、失明してしまう可能性も出てくるため注意が必要です。
急性結膜炎の場合、結膜浮腫、結膜の充血、炎症細胞の浸潤、目やにや涙が出る、目の違和感や痛みなどの症状が見られます。
原因の多くは、外傷、アレルゲン、毒素などとなります。
慢性結膜炎となると、粘膜上皮細胞の角質化がみられます。
このため眼瞼外反症と呼ばれるまぶたが外反する症状や、兎眼口と呼ばれるまぶたの機能障害が起こってしまいます。
兎眼になると、まぶたが完全に閉じることができない状態となります。
また、濾胞性結膜炎といわれる結膜が膨れて、小さい隆起ができる症状の結膜炎を発症することもあります。
原因がウイルス性とバクテリア性に分かれ、どちらも伝染病です。
見分け方としては、愛犬に風邪や呼吸器感染の症状が見られることが前提となり、その際に白っぽい目やにが分泌されていればウイルス性の可能性が高く、また目やにがドロドロであるならば、バクテリア性の可能性が高いといえます。
自己免疫性結膜炎の場合、アレルギー性か濾胞性かに分かれます。
アレルギー性の場合は、主に花粉症が原因の場合が多いといえます。
濾胞性の場合は、それ以外の感染源となります。
新生児結膜炎の場合は、通常ウイルス性またはバクテリア性結膜炎に伴って発生します。
目が充血する、涙が止まらない、目やにが多くなる、光に敏感になるなどの症状が現れます。