愛犬を撫でていて、何かコリッという感じで指に気になるしこりを感じた場合、癌ではないか心配になりますね。
ブラッシングしているだけではなかなか気づいてあげられませんが、シャンプーをした時が、比較的気づきやすいといえます。
全身を触ることとなる上に、皮膚も見やすくなるためです。
また、サロンを利用していれば、トリマーさんが気づいてくれることも多いです。
人間の場合、しこりの多くは良性と言われていますが、犬の場合は危険度がグッと高まるそうです。
そのため、悪性であるリスクが高く、愛犬の命にかかわる重大問題に発展してしまいます。
もちろん素人では、「悪性」と「良性」の判断はつきません。
したがって、動物病院に連れて行って検査してもらうことになります。
今回は、犬のしこりの悪性と良性の違いについてとその検査法、またしこりがあった場合の主な病気を紹介します。
愛犬のしこりを発見したケースでは、素人判断は厳禁ですが、一般的に言われている簡単な見分け方を紹介しておきましょう。
・グミのような感触
・腫瘍の境界線が滑らか
・形が楕円形や球形など整っている
・触るとプニプニした弾力がある硬さの感触
・触ると表面でコロコロ動く
上記のような特徴があれば、良性のしこりであることが多いとされています。
・境界線が不明瞭で形状がギザギザなど不均一
・手で触っても動かない
・独特の硬さがある
・熱を持っている
・ただれて出血している
上記のような特徴があれば、悪性のしこりの可能性が高まります。
もちろん、見た目では悪性か良性かを判断することは本当に困難であり、素人判断は危険です。
また仮に良性であっても悪性に変化するケースもあります。
そのため、愛犬にしこりが見つかったケースでは、必ず動物病院に連れて行って検査を受けてください。
次に検査方法について見ていきましょう。
イボなどのように表面的に見えるしこりの場合、大きさや形、色、固さなどを見る臨床診察によって、総合的に判断を下すケースがあります。
臨床診察でOKとするしこりは、比較的「問題ない」と診断されることが多いようですが、良性なしこりでもいつ悪化してしまうか分からないリスクを含みます。
そのため、定期的に診察を欠かさず継続する必要があります。
犬の場合、皮膚や口腔粘膜などしこり(腫瘍)が体表にできている場合のみ、細胞診(針生検)が行われます。
細胞診は、しこりの一部を注射器で吸い取る形や、表面をメス刃で少し削って細胞を取る形で実施します。
通常、細胞診は無麻酔、もしくは局所麻酔の形で行います。
そして染色して顕微鏡で調べるため、すぐに結果が判明します。
生検は、腹腔内など体内のしこり(腫瘍)などの疑わしい病変の一部を、内視鏡などで切除して詳しく調べる方法ですが、犬の場合は全身麻酔が必要となってしまいます。
リスクの高い全身麻酔を行うことになるため、犬の場合、手術によって腫瘍ごと切除することになるケースが多いです。
腫瘍の種類にもよりますが、犬の腫瘍は悪性の確率が高く、また良性腫瘍だとしても、大きくなれば生活に支障をきたす可能性が高くなるため、小さいうちに早く切除してしまうというのが主流の考え方となっています。
また、犬の場合、どうしても体内のしこりは、早期発見が困難であり、受診した時点で
ある程度の大きさになっているケースが多く、早めに切除した方が良いという理由も伴います。
なお、犬の癌は高齢になってから発症することが多く、高齢犬の場合、全身麻酔のリスクが高くなかなか手術ができないケースも多くあります。
その場合、免疫療法や食事療法となります。
高齢犬になっていれば、犬の平均寿命を考慮すれば、もともと後そうは長く生きられません。
下手に辛い手術をさせるよりも良いかもしれません。
とにかく飼い主さんが寄り添い、少しでも楽しい思い出を沢山作ってあげることが大切といえます。
犬はイボなどがしこりができやすい動物のため、老犬になると普通にイボが1~2個くらいは出来てきます。
まずは色を確認してみましょう。
白や黄色、ピンク、赤色などの色であり、直径が1cm未満のイボの場合は、ほぼ大丈夫であり、悪性腫瘍のリスクは低いといえます。
注意すべき色は、黒や紫、赤黒い感じの色などです。
このような色の場合、悪性腫瘍である可能性が高く、もしも悪性腫瘍であれば、進行性が早いためだんだんイボが大きくなり出し、痛みも伴うことが多いです。
このため、先ずは色に注目し、注意すべき色の場合、イボが小さく大きくなる前に動物病院を受診するのがおすすめです。
脂肪腫は、ほとんどは良性であり、危険度としては低いしこりといえます。
触るとプニプニとした弾力があり柔らかく、皮膚の中を動くような感じがします。
通常、痛みはなく、大きさも大小さまざまですが、大きくなると10㎝を越えるものもあります。
急激に大きくなるものは、注意が必要と認識しておきましょう。
また、大きくなると部位によっては擦れたりして痛みが出たり、自壊して出血するようなケースがあります。
こうなれば、ワンちゃんも気にして舐めまくってしまいます。
このような状態になった場合は、良性でも切除するのがおすすめです。
表皮嚢胞は良性です。
皮膚の下に袋状のものができてしまい、そこに皮脂や古い角質が溜まってしこりとなります。
大きくなると、自壊してしまうことがあります。
皮脂の分泌の多い犬種が起こりやすく、シュナウザーやシーズーなどが好発犬種とされます。
肥満細胞腫は、犬に多いしこり(腫瘍)で、再発も多いとされています。
弾力性があり脂肪腫に似ています。
また、赤くポツポツとした感じで広がったりするため、皮膚病と間違えやすいです。
悪性になりにくい高分化型のものと、進行が早く悪性である未分化型のものがあり、さらに皮膚型と内臓型に分かれます。
内臓型で消化管にできると、胃炎や胃潰瘍を起こしやすいとされています。
手術の場合、他のしこりよりも広範囲に切除する必要があるとされていますが、それでも予後はよくないことが多いです。
扁平上皮がんは全身どこにでもできやすく、口の中や、鼻の中といった粘膜にできることもあります。
触った感じはコリコリしており、その箇所の毛が抜けてしまったりします。
進行性が早いので、しこりが小さいうちに外科的切除するのがおすすめです。
場所によっては上手く取りきれないために、放射線治療や抗がん剤療法が用いられます。
この場合は副作用の注意が必要で、特に体力や免疫力の低下した老犬は要注意です。
乳腺腫瘍の場合、良性と悪性のその比率は半々程度とされています。
このため、早期発見が重要であり、最初であれば米粒程度の大きさです。
乳腺腫瘍の注意すべき点は、1ヵ所に出来てしまうと多発するケースが多いことです。
初発情前や2回目の発情前までに避妊手術を行うと、高い予防効果が期待できます。
組織球腫は、若い犬に出来やすく、また大型犬種に多いしこりで、良性腫瘍です。
自然になくなってしまうケースも多いのですが、急速に大きくなってしまうと自壊してしまうこともよくあります。
大型犬に多くしこりのサイズも大きいため、自壊すれば派手に血だらけになり、慌てて飼い主さんが愛犬を動物病院に連れて行くケースが多いようです。
若い元気なうちに出来やすいため、基本的には自壊する前に切除することが多いといえます。
メラノーマは、見た目はホクロのような感じの黒色をしている場合が多いです。
ただし、メラニン色素の量加減で、茶色や淡い灰色などの色にもなります。
通常は、目立たない黒点のような感じであり、大きさは0.5㎝~2㎝程度です。
しこりが毛の生えている部分にできている場合、ほぼ高分化型であり悪性にはなりにくいとされています。
しかし、爪の周囲や粘膜にできた場合、悪性のことが多く要注意となります。
リンパ腫は、中高齢の犬がかかりやすく、ゴールデン・レトリーバーなどに多い病気です。
しこりは硬く、できやすい箇所は、背中やあご、わきの下、後ろ足のつけ根、お腹などです。
次のような状態の場合、悪性の可能性が高いです。
・熱を持っている
・急激に大きくなる
・他のリンパ節も腫れてくる
血液のがんの一種のため、切除して終わりというわけにはいかず、治療は抗がん剤治療が中心となりますが、正直完治は難しいといえ、延命治療となってしまうことが多いといえます。