愛犬が心臓病になった際の一番の辛い問題が発作です。
いきなり心臓発作で愛犬が苦しみ出し、目の前で倒れたりすれば、飼い主さんはパニックに落ちいったりしがちです。
オロオロしないために大切なことが、正しい対処法を知っておくことです。
それと愛犬が心臓病になってしまった以上は、心臓発作を起こすことがあって当然だとの心構えを持っておくことです。
この心構えができているかどうかで、大分違ってくるものです。
なお、一度実際に愛犬の心臓発作を体験すれば、それ以降はかなり冷静に対応可能となるものです。
今回は、心臓病を持った愛犬に、いつ起こるか分からない心臓発作が起きたときに冷静に対処できるように、犬が心臓発作を起こす原因と対処法について、代表的な3つの発作を例にあげ紹介します。
心臓発作は、心臓病の高齢犬になると結構多発します。
ただし、心臓病には先天性の心臓疾患のケースもあり、この場合は子犬の頃から発作が起こることもあります。
心臓発作は心臓が弱り、酸素が脳に届きにくくなったりすることからの、脳の異常な電気的放電によって起こる一時的な脳の障害とされています。
発作にはてんかん発作もあり、症状がよく似ているため、間違われることが多いので注意しましょう。
愛犬が急に倒れて心臓発作を起こした場合、多くの飼い主さんは慌てふためき、さすったり中には無理に抱っこしたり、身体を抑えたりしてしまいがちですが、これらの行為はすべてNGです。
愛犬が心臓発作を起こせば、白眼を向き、泡を吹いたりします。
そして苦しそうに痙攣みたいな感じで手足をバタつかします。
この辛そうな愛犬の様子に飼い主さんはオロオロしてしまい、思わず何もできずに見守っているかも知れませんが、ある意味その情けない行動が正解だったりします。
これは、愛犬が心臓発作を起こしたケースでは安静第一であり、下手に手を出さずに見守る方が良く、愛犬を優しく見守ることが発作の対処法としては最も大切な手段ともいえるからです。
無理に手を出せば噛まれる危険だって生じるし、下手に動かして愛犬の姿勢を変えない方が良いのです。
それは、咳が苦しい時などは、自然と体を丸めて咳を出しているわけですが、じつはこの形が気道確保には最も適しているのです。
したがって、抱っこなどして体を伸ばさない方が良いのです。
また、発作の様子の記録をとっておくことも大切となります。
これは、発作時の愛犬の様子を獣医師に詳しく説明するために必要となります。
発作の起こった時間を書いておくのは必須です。
なお、最近であれば、携帯で動画を撮るのがおすすめですね。
次の3つの代表的な心臓発作について、原因、症状、対処法を紹介します。
心臓病から咳が出る原因は、主に次の2つです。
1.気管の圧迫
2.胸水や肺水腫
心臓が肥大して大きくなると、その影響で内臓を圧迫し、さらに気道をも押してしまうこととなります。
気道に刺激や圧迫を与えてしまうため、咳が出る原因となってしまうのです。
心臓病になるとポンプ機能が弱まり、上手く血液が流れないために、肺血管がうっ血して、肺に血管から水分が漏れ出てしまう状況が起こります。
肺などに水が漏れれば呼吸が上手くできず、苦しい状態となるため、漏れた水を吐き出そうとして咳が出るわけです。
気管圧迫によって出る咳は、まだどちらかと言うと軽めの咳といえます。
肺水腫によって起こる咳は、非常に苦しく辛い咳であり、一緒に痰が出たり、酷い時には吐いてしまうこともあります。
動いた後や寝ている時に急に咳こんで目が覚めることもよくあります。
また、心臓病の咳は喘息とは異なり、咳がなかなか止まらず苦しい思いをしてしまいます。
咳の発作の回数を減らすためには、根本の咳をする回数を減らすこととなります。
それには、咳が出やすくなる環境を少しでも改善することが大事といえます。
咳が出やすくなる主な原因が、次の3つです。
冬場になると乾燥から咳が出やすくなります。
このため、加湿器を活用して部屋の乾燥状態を改善しましょう。
温かい室内から急に冷たい室外に出た瞬間に、よく咳き込んでしまったりします。
このように、急激な温度の変化によって、咳が出やすくなるので注意が必要です。
注意すべきが、愛犬を野外に連れ出す散歩です。
特に寒暖の激しい冬場では、冷え込む朝晩の散歩には注意をしてあげましょう。
なるべく暖かい日の当たる昼間に行い、また、暖房が効いた部屋から突然野外に出さずに、一旦暖房が効いていない玄関などで、少し体を慣らしてから行うように注意してあげましょう。
嬉しくて興奮した挙句、つい咳き込んでしまうケースがあります。
このため、愛犬を興奮させてしまうのは、咳が出やすくなるため注意が必要です。
過剰な刺激を与えて、愛犬を興奮状態にしないようにしてください。
肺水腫を少しでも抑えることで、咳を減らすことができます。
肺水腫の症状を緩和させるには、特に「利尿剤」が有効です。
利尿剤は、尿を大量に排出することで、血液量を減らしてうっ血の改善が期待できます。
呼吸困難が生じる主な原因も、咳と同様に肺水腫です。
肺に水が溜まってしまうことで、肺の本来の役目である酸素と二酸化酸素を交換する「ガス交換」が出来なくなってきます。
このため、呼吸をしようとしても、上手く酸素を取り込むことが出来なくなり、その結果呼吸困難に陥ってしまうのです。
また心臓のポンプ機能が根本的に衰え、体中に十分な血液がいきわたらない状態が生じたケースでも呼吸困難となります。
さらに心臓肥大の影響で気道が圧迫されて、空気が肺に入りにくくなることも原因となります。
心臓病が進行しだすと、なかなか酸素が体に行きわたらなくなり出し、その結果呼吸困難の発作を引き起こしてしまいます。
ワンちゃんが呼吸困難になると、鼻水が泡立ってきたり、舌が紫色になるチアノーゼ症状が生じてきます。
その他にも呼吸困難を起こす原因NGには、肺炎や気管虚脱などがあります。
肺水腫が最大原因のため、最も有効なのが「利尿薬」です。
ただし、肺水腫はウィルスが原因で起こることもあり、そのようなケースでは、「抗生剤」が投与されます。
さらに心臓のポンプ機能が弱ってきている場合は、「カルシウム感受性増強剤」などを使用します。
また、ひどい発作が起こっている場合は、「酸素吸入」がおすすめです。
心臓病になれば、ポンプ機能が弱まり全身に上手く血液が流れなかったり、弁の異常で血液が逆流して肺に溜まったり、肥大して気管を圧迫するなど、いろんな症状が発生してきます。
このため、脳への血流が急激に減少や停止したり、肺でのガス交換が不十分になったりして、脳への酸素量の供給が不足気味となってしまい意識が消失し、その結果筋肉の緊張が緩み、脱力して失神してしまいます。
愛犬が大はしゃぎして興奮したり、散歩や運動後などに、いきなりパタッと倒れて突然意識を失ってしまうような状態が失神です。
ワンちゃんによっては、失神するタイミングがパターン化されている場合もあるので十分観察して、よく失神する場面を見きわめましょう
失神する時には、嘔吐や失禁を伴う場合もあります。
なお失神は、数秒で回復しいつも通りに活発に動けることもありますが、回復後に意識がなかなか元に戻らず、うつろいでグッタリしていたり、失神が数分以上続く場合もあります。
失神を何度も繰り返したり、長い時間の失神には注意が必要です。
失神後、数秒で回復して活発に動ける場合も多いため、つい飼い主さんは、再び発作が起きるまで様子を見てしまうことが多い傾向にあります。
しかし愛犬が失神を起こすのは、心臓の病気などを患っている証拠であり、放置すれば病気が徐々に進行してしまいます。
また、愛犬が回復して元気になったケースでも、少しの間脳は、酸素不足の状態に陥ったわけであり、当然良いわけがありません。
失神から回復し意識を取り戻した後でも、ふらついて活発に動けない、ぼーっとして元気がない、また食欲がなくなったなどの症状が出ていれば、早急に動物病院を受診すべきです。
失神し、意識が戻らない場合だってあります。
この場合は緊急を要し、至急動物病院へ搬送してください。
なおこの際、嘔吐していた場合は危険です。
吐いた物が喉に詰まってしまえば、気道が塞がり呼吸が停止する危険があります。
命に関わってしまうため、口を開けて吐いた物を指やピンセットなどを使用して取り除いてあげる必要があります。