犬の咳はケンネルコッホなどの気管支炎でよく起こり、これは軽い咳とされています。
ワンちゃんの重い咳の場合は、心臓病や肺水腫などが原因となることが多いとされています。
犬の心臓病の症状の中で一番分かりやすくて多いのが「咳」であり、心臓病による咳は頻繁が多くよく出て、見ていても痛ましいです。
どんな感じなのか、動画でチェックしてみましょう。
このワンちゃんは、僧帽弁閉鎖不全症という心臓病のために咳が出てしまっています。
今回は、犬の心臓病で咳が出る原因について紹介します。
また、併せて愛犬の咳の回数が増えてしまう3つの条件についても紹介します。
心臓病の初期段階では、聴診すれば心雑音は出ていますが、まだ咳のような目立った症状は現れません。
進行することにより、少しづつ咳が出てくるようになるわけです。
したがって、咳が出る状態となれば、もはや心臓病は初期状態ではなく、ある程度進行
してしまっていると知っておきましょう。
このため、咳が出だす前の状態で、愛犬が大好きだった散歩にあまり行きたがらない、疲れやすく感じるなどの症状が感じられた時点で、異常に気づいてあげることが大切となります。
心臓病により咳が出る原因は、大きく次の2つに大別できます。
心臓病にかかればいろんなタイプがありますが、何らかの形で機能が衰え心臓が正常に働かなくなります。
このようなケースにおいて身体は、問題を補う予備機能とされる代償機能が働きます。
このため心臓は、一生懸命に頑張ってカバーしようと動くのですが、これは通常より無理が加わり激しい負担が生じてしまっています。
言ってみれば激しく筋トレを行っているようなものです。
その結果、筋トレすれば筋肉が発達するのと同様に、心臓の壁である心筋がどんどん大きく厚くなり、心臓が少しずつ肥大していくのです。
心臓が肥大して大きくなると、その影響で内臓を圧迫し、さらに気道をも押してしまうこととなります。
気道に刺激や圧迫を与えてしまうため、咳が出る原因となってしまうのです。
また、心臓の弁などに問題がある場合なども、主に左心房に血液が充満しがちになります。
その結果そこが膨らみ、気管を圧迫してしまうケースもあります。
なお、気管圧迫によって出る咳は、まだどちらかと言うと軽めの咳といえます。
心臓病になるとポンプ機能が弱まり、血液を送り出す力が弱まってしまったり、また、上手く血液が流れてくれないような異常が起こったりします。
こうなると肺血管がうっ血して、肺に血管から水分が漏れ出てしまう状況が起こります。
この症状が、胸膜の中で起これば「胸水」であり、肺で起これば「肺水腫」となります。
このように肺などに水が漏れれば呼吸が上手くできず、苦しい状態となるため、漏れた水を吐き出そうとして咳が出るわけです。
肺水腫によって起こる咳は、非常に苦しく辛い咳であり、一緒に痰が出たり、酷い時には吐いてしまうこともあります。
紹介した上記の2つが、心臓病から起こる主な咳の原因ですが、合併症にも注意すべきです。
ワンちゃんが心臓病にかかった場合、免疫力が低下して合併症が起きることがよくあります。
免疫システムが低下すれば、ウイルスが体内に入り繁殖しやすくなります。
その結果、気管支炎や肺炎、肺水腫になどになってしまい、咳が出るようになることもあります。
また、気管虚脱なワンちゃんは要注意です。
ちょっとした刺激から咳が起こり、なかなか止まらなくなったりしてしまいます。
愛犬が今日は普段よりよく咳が出るなと感じるケースがあるはずです。
咳は以下のような環境条件によっても、よく出てしまうため注意が必要です。
冬場になると咳って出やすくなりますね。
これは咳が、乾燥した場所では出やすくなるからです。
特に寒い冬場では、暖房を入れることが増えます。
ここで注意したいのが、暖房すれば部屋の空気が乾燥してしまうことです。
ワンちゃんは毛に覆われていますが、思った以上に寒さがりやさんです。
当然寒さが厳しい冬の時期には、暖房が必須となります。
みなさん暖房すれば部屋が乾燥するという事実に気づいているのに、意外に無頓着で対策をしていない方も多くみえるようです。
加湿器を使えば簡単に対応できます。
万一加湿器がないケースでは、濡れたタオルを近くに干したりすることでも、多少は効果があります。
しかし冬場に部屋の湿度を上げることは、インフルエンザなどの予防にも役立ちます。
是非手軽にできて効果満点な、加湿器を活用しましょう。
温かい室内から急に冷たい室外に出た瞬間に、咳き込んでしまった経験は誰しもあるのではないでしょうか。
このように、急激な温度の変化によって、咳が出やすくなるので注意が必要です。
また反対に、急な熱気を浴びて喉などの呼吸器への刺激を受けた状態でも、咳が出てしまいます。
このため、室外に出る散歩の際には、特に寒暖の激しい冬場では、冷え込む朝晩の散歩には注意をしてあげましょう。
暖房が効いた部屋から突然野外に出さずに、一旦暖房が効いていない玄関などで、少し体を慣らしてから行ったり、暖かい昼の時間帯に行ってあげるなどの工夫をしてあげましょう。
嬉しくて興奮した挙句、つい咳き込んでしまうケースがあります。
また小さな子供などは、大泣きした拍子にも同様によく咳き込んでしまうものです。
このように、興奮状態を招いたケースでも、咳がよく出やすくなります。
嬉しそうに大はしゃぎして、尻尾を振り回している愛犬を見ていると、こちらも楽しくなってしまいます。
しかし、あまりにも愛犬を興奮させてしまうのは、咳が出やすくなるため注意が必要です。
ましてや、愛犬が心臓病を持っていれば、さらに要注意といえますね。
特に小さなお子さんのいるご家庭の場合、なかなか大変だと思いますが、あまりにワンちゃんを興奮させてしまえば、咳が出やすくなってしまうと認識して注意しましょう。
心臓病から愛犬に咳が出てしまうことが理解できたはずです。
なかなか咳が出る前に心臓病に気づいてあげることは困難ですが、アンテナを張って、少しでも早く愛犬の異常に気づいてあげましょう。
咳が出はじめてしまえば、既に心臓病は初期段階より進行してしまっているのです。
また咳は、環境によっても出やすくなります。
これは飼い主さんがしっかり注意してあげることで予防できるので、頑張って対応してあげましょう。