犬パルボウイルスの最大の特徴が、非常に感染力の強いウイルスであることです。
犬パルボウイルスに愛犬が感染すると、激しい下痢や嘔吐などの症状が見られ、その排泄物を媒体として、どんどん他のワンちゃんに感染が広がっていきます。
この強烈な感染力のため、一度1970年代に世界中で流行しており、バタバタとワンちゃんが死んで大騒ぎになったほどです。
このため、犬パルボウイルスに感染した犬は通常隔離することとなります。
さて、問題となるのが、感染拡大を防ぐための自宅での徹底的な消毒方法です。
犬パルボウイルスは、消毒抵抗性が高いため、通常の石鹸やエタノールなどでは、消毒効果が効かない厄介な奴なのです。
そこで今回は、有効な犬パルボウイルスの感染防止策として、自宅での徹底的な消毒方法を紹介します。
パルボウイルスは、犬パルボウイルスのみならず、ヒトパルボウイルスB19と呼ばれる小児の感染病としても有名です。
多分「りんご病」といった方が、ピンとくる方も多いかもしれませんね。
熱や悪寒が続いた後、顔がりんごのように赤くなることからこの呼び名がついています。
子どもの場合、それほど大事になることもなく、熱が下がった後で、手足にレース状の発疹が広がりますが、それも一週間程度で消えてしまいます。
問題は、子供の頃に感染せずに免疫を獲得していない大人がかかったケースです。
一般的に、大人がかかってしまうと、症状が重くなる傾向が顕著であり、発疹の他に関節が痛み、動けなくなってしまう事すらあるそうなので注意が必要です。
それでも、ワンちゃんのように、命の危険が生じることはまずありません。
あと注意したいのが、妊婦が感染したケースです。
胎児に感染して胎児水腫を生じたり、さらに流産の可能性があるため要注意となります。
アルコール消毒が効かない事で有名なのがノロウイルスですが、パルボウイルスも同様に効きません。
ウイルスの特徴として、通常であればエンベロープと呼ばれる脂質の膜があります。
そしてアルコールには、この膜を破壊する働きがあるため、ウイルスは通常であれば感染力を失うのです。
ところがパルボウイルスには、そのエンベロープ膜がないため、アルコール消毒の効き目が発揮されないのです。
パルボウイルスに効果があるのは、次亜塩素酸ナトリウムです。
これは、漂白剤などに含まれる成分です。
このため、「ビルコン」や「ハイター」などの塩素系の消毒液を使用するのが良いでしょう。
ビルコンは高価なので、普通に家庭で使用しているハイターを利用するのが、一番手軽でおすすめです。
パルボウイルスは感染力が強力で、消毒抵抗性も高いウイルスのため、愛犬が犬パルボウイルスに感染したケースでは、まずは敷物などは全て破棄してください。
パルボウイルスは、半年間も感染力を保った状態で生きていることが可能だとされています。
このため、感染犬が触ったとされる物は、下手に消毒するよりも、思い切って全て破棄処分するのがおすすめです。
小物は全て破棄するとしても、ある程度効果なモノは処分に迷ってしまいますね。
その筆頭がケージといえます。
できればケージも破棄したいところですが、なかなか経済的にも困難なはずです。
そこでケージの消毒法を紹介します。
組み立て方式でバラスことが可能であれば、小さく分けてください。
そして全てを消毒液に浸してしまうのが、一番の確実なオススメ方法となります。
消毒薬はハイターを利用すればOKです。
しっかり時間をかけて、消毒液に漬け置きしてください。
その後水で洗浄し、雑巾などでしっかり拭きとり掃除を行いましょう。
なお、使用した雑巾も忘れず破棄してください。
もしもケージの分解ができない構造の場合は、全体に塩素系の消毒液を吹きかけ、細目に丁寧に掃除することとなります。
後面倒ですが、愛犬が居た部屋の床や家具なども、ハイターで拭き掃除を行ってください。
パルボウイルスには、アルコール消毒や石鹸の効果が無いことを知っておく必要があります。
通常であれば、動物病院で消毒方法を教えてくれますが、家庭にあるハイター利用が一番手軽で効果も高いと覚えておきましょう。
また、多頭飼いしている場合、他のワンコに移さないことが重要です。
感染力が強い病気のため、病院で隔離入院となるケースも多いです。
注意したいのが、感染済みの愛犬を触った手で、他のワンちゃんをうっかり触ってしまうことです。
特に石鹸が効かないことを知らないと、石鹸での手洗いで大丈夫と勘違いし、他のワンコに移してしまう恐れもあるため要注意です。
今回、消毒方法を説明しましたが、何と言っても感染力が強いウイルスのため、愛犬がパルボウイルスに感染した場合、先ずは接触した敷物などの小物はあきらめ、全て廃棄処分とするのが一番だと認識しておきましょう。