あなたの愛犬のよだれの量はどの程度ですか?
一般的によだれは、大型犬がよく垂らしています。
通常であれば、ワンちゃんのよだれは生理的な現象であり、ご飯をマテさせていると、思わずよだれを垂らすワンちゃんもいますね。
ちなみに、よだれが多い犬種のベスト5は次の通りです。
5位:ブラッドハウンド – Bloodhound
4位:ブルドッグ – Bulldog
3位:マスティフ – Mastiff
2位:セント・バーナード – Saint Bernard
1位:ニューファンドランド – Newfoundland
のきなみ大型犬ですね。
ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーなどの人気の定番の大型犬もよだれはよく垂らしますよ。
ただしよだれが多い場合は、病気のサインということもあり得ます。
このため飼い主さんは、よだれの原因が生理的な原因なのか、それとも病気が原因で出るよだれなのかを見抜く必要があります。
今回は、ワンちゃんのよだれが多い原因についてと、その対象法を紹介します。
ワンちゃんがよだれを垂らすこと自体は、何ら特に問題はありません。
人間の赤ちゃんだってよくよだれを垂らしていますよね。
生理的な原因であれば、唾液が増加する必要があるのです。
唾液の働きは、食物の消化であり、生理的な働きとして分泌されます。
唾液は「唾液腺」から常に分泌されており、唾液が口の中からあふれたものをよだれと呼びます。
食物の消化という重要な働きがあるため、しっかり唾液が出る必要があります。
人間もワンちゃん同様に、食べ物を目の前にしたり、美味しそうな匂いを嗅いだり、味を味わうことで唾液が分泌されるため、この仕組みはみなさん実感できるはずです。
脳からしっかり指示が出て、食べ物を消化するために唾液が増加するのです。
唾液には、消化を助ける酵素が含まれており、食べ物を消化することができます。
また、唾液に含まれる酵素が出ることで、胃から出る消化酵素を誘導する働きもあるそうです。
人間は汗をかいて、その時の汗が蒸発する気化熱で体温を下げます。
しかしワンちゃんの場合、汗腺が足の裏にしかないため、この性質を利用して体温調整することができません。
そのため犬が用いるのが、パンティングと呼ばれる口を開けてハァハァする呼吸であり、これで息を鼻や口に通して唾液を蒸散させて、体温調整を行うのです。
あなたも愛犬が、運動の後などで、パンティングする様子を見たことがあるはずです。
このため、ワンちゃんは口を開けていることが多く、自然と人間よりはよだれが垂れてしまうことが多いといえます。
副交感神経が働いているときに、唾液は増えます。
犬も人間も同様に、交感神経と副交感神経があります。
交感神経が働くと活発な状態となり、反対に副交感神経が働いた場合はリラックス状態になります。
このため、犬はリラックスして、寝ている時や気持ちが落ち着いている状態の時唾液が増加するのです。
このように、精神的な面の影響でもよだれが出るわけです。
このような状態で出る唾液は、粘り気の少ない、さらさらしたよだれになります。
あなたも、ついうっかりうたたねをしてしまい、気が付いたらよだれを垂らしていたなんて経験があったりしませんか。
通常唾液はリラックス状態で増加しますが、ワンちゃんが極度の緊張状態になったケースでは、口元に泡のようなよだれが付いていたりよくします。
酷いケースでは、ポタポタとよだれを垂らす事もあります。
まだあまり他の犬になれていないケースで、ドッグランなどで多くの他の犬に出会ったりすれば、極度の緊張状態からこのような状態になることがよくあります。
車が苦手で、すぐ車酔いしてしまうワンちゃんは、よくよだれを垂らして苦しそうにしているはずです。
これは脳の中にある、唾液の分泌を促す機能を持つ神経と、吐き気をもよおす神経とが隣接しているため、車酔いして愛犬が吐き気を催すと、唾液分泌を促す神経も一緒に刺激されてしまい、唾液が増えてよだれが出てしまうのです。
このため、よだれの量が車酔いのバロメーターになります。
愛犬のよだれの量が増えてきたケースでは、早めに休憩をとってあげるのがおすすめです。
大型犬がよくよだれを垂らしてしまう原因が、まさしく口内の構造によるものなのです。
ワンちゃんの口内をチェックすれば、人間のように歯が密に生えていないことが分かります。
このためワンちゃんは、唾液が唇と歯の間に溜まりやすいといえます。
また、口が大きな大型犬の方が、そのスペースが大きくなるため、小型犬よりも大型犬の方が唾液が多く溜まりやすく、その分よだれをよく垂らしてしまいます。
さらに大型犬の場合、唇のたるみが大きい犬種が多くいます。
このため、唾液がそのたるみから漏れやすく、その結果大量のよだれを流すことになっているのです。
犬がよだれを垂らす原因が、病気のサインの場合は要注意です。
なかには緊急性の高いケースがあり、その場合、早急に適した対応をしなければ、愛犬の命が危険に陥るケースすらあるのです。
病的なよだれの場合、よだれと一緒に他の症状が生じているので、それを見逃さないことが大切となります。
以下のような状態で愛犬がよだれを垂らしている場合は、注意が必要だと認識しましょう。
・吐きそうな様子だが吐けないでいる
・食欲が無くポタポタとよだれが出ている
・呼びかけへの反応が薄い
・ぐったりして元気がない
・よだれに血がまじっている
・泡のようなよだれが出ている
・よだれが臭く口臭がする
・腹部が膨れている
・口角がだらっと下がっている
・発作をおこしている
・震えている
上記のような症状が見られた場合、動物病院に愛犬を連れていってあげましょう。
よくあるのが、診察のタイミングで獣医師に出ていた症状を見せられないことです。
このため、最近はスマホなどで直ぐに動画を撮れる便利な時代です。
愛犬の異常を感じた場合は、すかさずその状況を動画で撮っておくことをおすすめします。
愛犬がよだれを垂らしながら、お腹が張っている場合は、胃捻転や胃拡張の可能性があるため要注意です。
放置すれば短時間で死に至ってしまうため、緊急対応が必要です。
夜間であっても朝まで様子見などしていては絶対ダメです。
必ず直ぐに救急病院へ連れて行ってあげてください。
胃捻転・胃拡張は、通常食後にかかりやすく、早食いや丸飲みなどは要注意であり、ご飯の後で直ぐに散歩などの運動をさせてしまうのはNGです。
早食いの癖があるワンちゃんには、早食い防止餌皿などを使い防止してあげましょう。
また、食後に愛犬と散歩に行く場合は、食後2時間以上間隔を空ければ安全です。
胃捻転や胃拡張になると胃にガスが突然たまり、あっという間にお腹がパンパンに膨れ上がってしまいます。
このため膨張した胃により、周りの臓器や血管が圧迫され壊死を起こし、数時間で死に至ってしまうため時間勝負の対応が必須となります。
特に次のような大型犬がよくかかります。
・グレート・デン
・セントバーナード
・ワイマラナー
・ジャーマン・シェパード
・秋田犬
・チャウチャウ
・ドーベルマン
犬が熱中症にかかったケースでも、荒い呼吸が続き、よだれをダラダラ垂らします。
熱中症は、ワンちゃんが高温多湿な環境に適応できずに、体温が上がってしまうと発症します。
炎天下での散歩の後や、暑い部屋で留守番させてしまったりしたケースで、このような症状が起こっていれば、愛犬が熱中症になっている可能性があります。
ワンちゃんは本来、暑さに弱い動物だと認識しておくことが大切ですね。
7~8月ころの暑い時期の散歩は要注意、日中を避けて朝方や夕方以降に散歩を行ってあげたり、なるべく日影を通るような工夫とか、何よりこまめな休憩と水分補給ができる環境をつくってあげましょう。
特に熱中症は、野外だけでなく、家の中でも簡単に起こることがあると知っておき、注意を払ってあげましょう。
異常に気付いた場合、熱中症は治療が遅れると命取りとなるので、至急動物病院に連れて行ってあげてください。
犬が食べると中毒を引き起こす危険なものはたくさんあります。
中毒を起こす危険な食べもの以外にも、おもちゃやビニールなどを誤飲した場合も要注意です。
食道に詰まってしまえば、呼吸困難に陥ることもあります。
何かを飲み込んだモグモグしていた気配があり、激しくえづいていたり、大量によだれを垂らしている場合は、すぐに病院へ連れて行ってあげてください。
ワンちゃんは何でも目の前にあるものをすぐに口に入れる習性があるため、誤飲の可能性が高く注意が必要です。
犬は食べてはダメな食べると中毒症状を起こし、最悪死に至るケースがある危険な食材があり、それは次の通りです。
・タマネギ(ネギ・ニラなどのユリ科植物、ニンニク)
・チョコレート
・キシリトール
・アボカド
・マカダミアナッツ
・ぶどう・レーズン
・アルコール
脳神経の異常によるよだれのケースで、最も代表的なものがてんかんの前兆です。
その他にも、脳炎や脳腫瘍、水頭症など脳の異常がある場合、神経の働きに障害が起こり、唾液を分泌する指令がうまくできなくなり、唾液分泌の調整がくるってしまい、唾液の分泌が急に増えてよだれが多く出てしまうこともあります。
また、同時に口や喉の麻痺が起こりやすく、そのため唾液をうまく飲み込めなくなるため、よだれが増えてしまいます。
脳神経疾患によるよだれの増加の際には、以下のような症状に注意しましょう。
・左右の口角の位置が異なったり、だらっと下がっている
・目の動きが異常で揺れていたりする
・よだれの後、発作が起きる
・顔面が左右対称ではない
・バランスが上手く取れずふらつく
ワンちゃんが、よだれが多く出てしまう一番多い原因が口腔内の疾患です。
歯周病、歯肉炎、口内炎、口腔内異物、口腔腫瘍、舌炎、顎の骨折などが原因となります。
口の中に刺激や痛みが生じてしまえば、自然と唾液の分泌が増加します。
唾液に血が混じっている場合、喉などに異物が刺さっている可能性もあり注意が必要です。
また、歯周病の悪化などの原因で、顎を骨折すれば上手く口が閉じられないため、よだれがどんどん出てしまいます。
歯周病でも、歯茎から出血したり、膿が出たりするため、よだれに血が混じってしまうことがよくあります。
3歳以上の成犬のワンちゃんの場合、8割は「歯周病予備軍」といわれるほどに多いのが歯周病であり、一番注意が必要といえます。
なお、歯周病の場合、臭いニオイがするため気づきやすいはずです。
犬のよだれが多く出ている場合、当然ですが原因が存在します。
したがって原因を知り、その「原因を取り除いてあげる」事が大切となります。
緊張がよだれの原因となっているケースであれば、愛犬をリラックスさせることで、よだれを止めてあげることが可能です。
他の犬に怯えて緊張していれば、引き離してあげる。
また、ワンちゃんが大好きなおやつを与えたり、おもちゃなどを使って一緒に遊んであげるのが、リラックスさせるには有効な手段といえます。
リラックスすると、結構すぐによだれは止まってくれますよ。
よだれがよく出る原因は、口内に何か原因があるケースが一番多いといえます。
そのため、愛犬がよだれをよく垂らしている場合、まず口の中を見てみましょう。
異物が口の中に入っていないかなど、目に見える異常が無いかチェックです。
血が混じっていないか、口臭が無いかも確認してみましょう。
口内に異常が感じられない場合は、病気の疑いが高まります。
他に体調不良が無いかを確認した上で、愛犬のよだれが止まらないようであれば、一度獣医師の診断を受けてみましょう。
今回見てきたように、愛犬のよだれが増える要因はたくさんあるため、こまめに愛犬の様子をチェックしていることが、飼い主さんの役目として大切となります。
ワンちゃんは喋れないため、愛犬の異常に気づいてあげるのが、飼い主さんの義務だといえます。
些細な異変にも気付けるような目を養ってください。
ちょっとした些細な異変が、重大な病気のサインに繋がることも多く、また胃捻転や胃拡張などのように、時間と勝負のような緊急事態もあります。
とにかく少しでも愛犬に不安を感じたケースでは、至急動物病院に連れていったり、かかりつけの獣医さんに電話で相談するような習慣を身につけましょう。