犬にワクチン接種をすることは、感染症を予防する上で、絶対必要な健康対策です。
特に混合ワクチンは大切だとされています。
通常子犬の場合、生後4ヶ月までに混合ワクチンを2~3回接種し、予防接種が完了しないと散歩にもいけないほどです。
多くの方が、犬の予防注射と言ってイメージを抱くのが、狂犬病ではないでしょうか。
しかし現実的には現在、飼育頭数で見る限り、狂犬病の接種率は50%に満たないとされています。
事実、室内犬の小型犬などは、狂犬病の予防接種をしてないワンちゃんの方が圧倒的に多いそうです。
はたして本当に、狂犬病予防注射の接種を打たなくて大丈夫なのでしょうか?
確かに日本では、狂犬病は昭和32年に猫に感染した例が最後とされ、もう60年ほども狂犬病は日本では発生しておらず、「狂犬病清浄地域」とされています。
しかし海外では、地域によっては狂犬病がまだ多く発生している場所もあり、油断大敵と言えます。
日本の場合、法律で狂犬病の予防注射を義務付けられており、打たなければ狂犬病予防法第4条の違反となり、20万円以下の罰金に処せられる罰則が規定されています。
このように法律で規定されている以上、罰則の可能性などいろいろ問題が生じそうですが、一体現状はどうな状況なのか詳しく紹介します。
犬へのワクチンの接種は病気への予防であり、もしも打たなければ病気に感染する可能性が高まり、その必要性は当たり前に誰しもが理解できます。
仮にワクチンの接種をしないことで感染する可能性の高い病気は、以下の通りです。
ジステンパーウイルスに感染することで発症します。
感染しているワンちゃんの排泄物・唾液・目ヤニ・鼻水などに触れることで感染します。
発熱・嘔吐・下痢・咳などの症状を引き起こし、悪化すると、神経症状や脳炎、麻痺などの後遺症をもたらし、死亡率の高い怖い病気です。
パルボウイルスに感染することで発症します。
1978年に発見された新しいウイルスです。
強力なウイルスであり、1時間加熱しても死滅しないとされているほどです。
犬の排泄物や嘔吐物を触ることで感染します。
症状は、激しい嘔吐や下痢を繰り返すことで衰弱してしまい、最悪死に至ります。
特に子犬は要注意で、心筋炎を引き起こして突然死することがあります。
パラインフルエンザウイルスに感染することで発症します。
感染している犬の咳やくしゃみなどの飛沫物によって感染します。
症状は風邪と同様の発熱・鼻水・くしゃみ・咳などです。
比較的症状は軽目ですが、他のウイルスなどと混合感染してしまうと、重症化するため注意が必要となります。
アデノウイルス1型というウイルスに感染することで発症します。
感染している犬の排泄物や唾液、または、飛沫物によって感染します。
一般的には、発熱・嘔吐・下痢などの症状があり、軽度な場合と重度な場合があります。
犬伝染性肝炎が厄介な点は、まったく症状があらわれないケースがあることです。
しかも症状がない状態で、突然死してしまうことがあるのです。
レプトスピラ菌に感染することで発症します。
犬だけに留まらず、全ての哺乳類に感染するのが特徴です。
主に野ネズミが保菌しているとされています。
症状は、嘔吐・下痢・黄疸などです。
犬アデノウイルス2型というウイルスに感染することで発症します。
よくケンネルコフ(伝染性気管支炎)を引き起こします。
感染している犬の飛沫物から感染します。
さて今回のテーマとして取り上げた狂犬病の接種ですが、当然必要性があります。
日本では60年近くも発生がない病気ですが、世界に目を向ければ発生している地域があり、絶滅した病気ではないため、いつか日本国内で発生する可能性があります。
このため狂犬病の発生のパンデミックに備えて、予防注射を行っておくのは当然の対策と言えます。
ただし、世界には日本同様に狂犬病が長く発生していない清浄国とされる地域があります。
狂犬病の封じ込めに成功している清浄国は、アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムなどです。
これらの国々では、現在狂犬病の予防注射を義務付けていません。
また長く狂犬病が発生していない国の場合、3年に1回の接種としていたりします。
毎年1回接種というように厳しい国は日本だけとされており、見直し案も出ています。
何故日本は毎年摂取するのかと言えば、日本で使用しているワクチンが1年間しか有効でないためとされています。
しかし既に海外では3年間有効なものが主流であり、そちらに切り替えれば問題なさそうです。
実は毎年打つのは、獣医師会の貴重な収入源だからという話もあります。
狂犬病予防法という法律まで制定して義務付けている予防接種ですが、実情は人間が狂犬病に感染しないように人間を守るために作られた法律であり、あくまで犬の立場から作られたわけではありません。
したがって、ワンちゃんの立場から見れば、狂犬病予防接種はそれほど重要とは言えないかもしれませんね。
混合ワクチンなど、実際に愛犬が感染する病気を予防するワクチンを接種しなければ、感染症を発症するリスクが高まり、発症したケースでも重症化しやすく、命を落とす可能性が高まります。
その点、狂犬病ワクチンの場合は、現在日本で発生していない病気のため、愛犬に危害を及ぼす可能性はほぼありません。
問題は、犬を飼っていのに登録せずに狂犬病予防接種を打っていない場合、狂犬病予防法第4条の違反となり、20万円以下の罰金に処せられる罰則が規定されていることです。
しかし現実には、約半数もの飼い主さんが、狂犬病予防接種を打っていないのが現状なのです。
なぜこのようなことがまかり通っているかといえば、何とバレなければ罰則が無いからです。
実は万が一バレたケースでも、登録や狂犬病予防接種を受けるよう指導がされるだけです。
そこでちゃんとそれに従えば、狂犬病予防法第4条の違反の罰則が適用され罰則を受けることはまずないといえます。
少し詳しく紹介します。
あなたが住んでいる地域の保健所などに飼い犬の登録を行っていれば、年に1回の集団接種前の4月に、予防接種案内のハガキが郵送されてきます。
このため、通常であればこのハガキを持参して、予防接種を受けにいくわけです。
なお、あなたがもしも愛犬の届出をしていなければ、当然ですが狂犬病予防接種の案内のハガキは届きません。
現状は、愛犬の届け出をしていない飼い主さんが、多数みえるのです。
ハガキが届いたにかかわらず、予防接種を打っていないと、通常は10~11月頃再度依頼のハガキが届きます。
基本はその年度内に打てば問題ありません。
実情は、その年度内に打たなくても、何か特別な通知がくることもなく特段問題になりません。
翌年になればまた同様に、普通にその年度の案内のハガキが送られてきます。
このようにハガキはしっかり毎年機械的に送付されてきますが、基本的には数年間打たなかったとしても一切問題はなく、電話がかかってきたり通知が届くことはまずありません。
地域や管轄する保健所によっては、多少対応は異なる可能性がありますが、多分何も問題はないと思います。
仮に問題になるとすれば次のようなケースでしょう。
それはあなたの愛犬が、人を噛むなどの何らかのトラブルが起こった場合です。
現在、日本国内で狂犬病の発生は無いため、仮に犬に噛まれた場合でも、狂犬病になる
心配はありません。
しかし被害にあった相手の方が騒いだケースなどで、狂犬病の予防接種を打っていないことが発覚すれば、問題となってしまう可能性があります。
今回は、「愛犬に狂犬病の予防接種は必要なの?打たないどうなる?」というテーマで記事を紹介しました。
現状が把握できたのではないでしょうかね。
確かに今の日本の状態であれば、毎年の狂犬病予防注射が本当に必要なのかは疑問が残ります。
獣医師会の貴重な収入源と言われていること事態が問題と言えます。
ただし、一般の開業獣医師にとっては、狂犬病の予防注射を行っても実際には大した儲けにはならないという事実も知っておいてあげましょう。
狂犬病予防接種の半分以上の金額は、獣医師会に収める制度となっており、これが獣医師会の貴重な収入源と言われている所以なのです。
このため個人的には、狂犬病の予防接種の制度をやめることは無理にしても、外国同様に3年に1回としてもいいのではと考えています。