犬好きの犬を飼っている人が、突然前触れも無く犬アレルギーになる例は数多くあります。
犬アレルギーを発症してしまえば、大好きなワンちゃんと今までのように自由に触れ合うことは困難になります。
最悪愛犬を手放さなくてはならないケースだってありえます。
犬アレルギーは、予防や治療が難しいと言われますが、もちろん対処法は存在します。
はたして「犬アレルギー」と診断されてしまえば、ワンちゃんを飼う道は残されていないのでしょうか?
今回は、「犬アレルギー」の主な症状と原因、対処法について紹介していきます。
犬アレルギーと呼ばれるように、人間がアレルギーを発症するアレルゲンが存在します。
それらは犬の体から分泌される物質で、次の7種類のCan f 1~Can f7までのアレルゲンとなります。
Can f 1は、犬の皮脂腺から分泌される物質で「リポカリン」といいます。
この物質が最も一般的で有名であり、犬を飼っている場合、ほとんど検出されます。
なお、何故か犬を飼っていない家庭の15%からも検出されています。
リポカリンは実際には、犬の皮脂だけに留まらず、唾液や被毛、フケなどにも多く存在しています。
非常に小さい物質のため、ホコリなどの微粒子にも付着して部屋の空気中を漂うため、容易に拡散してしまいます。
Can f2は、Can f 1と同様にリポカリンという物質から構成されています。
Can f 3は、アルブミンという物質から構成されます。
人間の体の中にも「アルブミン」というタンパク質が存在することが知られています。
犬の体の中のアルブミンに反応する場合、「犬アレルギー」を発症することが分かっており、この場合、犬以外の動物に対してもアレルギー症状が起こるとされています。
このため、猫アレルギーを示す人の約44%が犬の「アルブミン」にもアレルギー反応を示したと報告するデータがあります。
Can f 4は、「脂質輸送タンパク」という物質から構成されています。
この物質は、犬のフケに多く含まれています。
犬アレルギーの方のおよそ35%が、この物質のIgE抗体を保有するとの報告があります。
Can f 5は、アルギニンエステラーゼという物質から構成されています。
「カリクレイン」という、前立腺に含まれる物質と同じ構造となります。
Can f 6もリポカリンから構成される物質ですが、「Can f 1」や「Can f 2」とは別物となります。
Can f 7は、2016年に発見されたばかりの新しいアレルゲンです。
「リソソーム」という、細胞小器官に含まれる「NPC2」というタンパク質から構成されています。
なお、よく犬の毛の脱げ毛などがアレルギーを引き起こすと言われていますが、これは正確に言えば、犬の毛に付着したアレルゲンがアレルギー症状を引き起こしているということとなります。
また、犬のノミなどによって人間が皮膚炎を起こすケースは、もちろん犬アレルギーではありません。
「犬アレルギー」とは、犬のせいで人間が病気になるわけではなく、あくまでもアレルゲンに対して人間の体が過剰反応してしまうだけであり、人間側の体質の仕組みの問題だといえます。
「犬アレルギー」とは、人間が犬のアレルゲンによってアレルギー反応が起こった状態を刺します。
イメージは、風邪をひいたときの状態で発熱がないようなケースです。
・咳
・喘鳴(呼吸がゼーゼーする)
・目の充血・かゆみ
・鼻水・鼻がむずがゆくなるなどの鼻炎の症状
・くしゃみ
・皮膚の発赤(ほっせき)
気道の粘膜が腫れてしまうと、呼吸困難に陥いることもあり、最悪命を落とす危険性すらあります。
・呼吸困難
・下痢
・嚥下困難(えんげこんなん)
・めまい
・吐き気・嘔吐
・心拍数の増加
・動悸
犬アレルギーの発生は、肥満細胞であるIgE抗体が付着したものが、どの程度体内に溜まって起こるかということに左右されます。
アレルゲンと接してすぐに症状が現れるタイプは、「I型アレルギー」や「即時型アレルギー」と呼ばれます。
もちろん犬アレルギーの発生には個人差があります。
犬を飼って直ぐに発生する人や、中には一生発症しない人もおり、これは花粉症と同じであり、許容範囲を超えてアレルゲンが溜まってしまうことで、今まで何ともなかった人が、突然アレルギーになるということもあるわけです。
犬アレルギーは、誰にでも起こる可能性があります。
さらに発症してしまうと治療が非常に困難とされており、それに加えて原因のアレルゲンを簡単に除去できません。
可愛い家族同然の愛犬をそう簡単に手放すことはできないからです。
このため、日ごろから前もって犬アレルギーの予防に努めることが大切といえます。
「犬アレルギー」のような症状が出た場合は、アレルギー検査を受けることで、本当に犬アレルギーであるか確定する必要があります。
犬アレルギーと確定されたケースでは、現在アレルギーの特効薬は無く、対症療法で症状の軽減を図っていくことが基本となります。
アレルゲンを突き止め、専門の医師の指示に従って、対策法を考えていきます。
よく行われる治療法には、アレルギーの症状を大きく減らす目的で行う脱感作療法があります。
免疫療法、減感作療法とも呼ばれています。
治療方法は、最初は濃度の薄いアレルゲンを患者に投与します。
その反応を見極めながら、徐々に濃度を高め、免疫機構のアレルゲン反応を弱めることを目指した治療法となります。
大きな成果を得られるケースもありますが、あまり成果が出ないことも多く、副作用としてアレルギー症状を誘発してしまうリスクも含みます。
このように現状では、犬アレルギーの治療はなかなか困難といえます。
このため、犬を飼う前にアレルギー検査を受けておき、犬を飼っても大丈夫か確認しておくことも大切といえます。
犬アレルギー対策としてよく行われる方法が、居住内に「立入禁止区域」を作り、犬の行動範囲を限定して、人がアレルゲンと接する可能性を減らし、アレルゲンの飛散を防止します。
犬好きの方には辛いですが、犬アレルギーとなった場合、リビングや寝室などの触れ合う機会が多い場所には、愛犬を立ち入れないようにします。
空気清浄機をフル稼働させましょう。
これで少しでも空気中のアレルゲンを減らすことができます。
こまめに掃除機をかけることで室内を清潔に保ち、アレルゲン減少に努めましょう。
布団、毛布、クッション、カーテン、ぬいぐるみなどのような、特にアレルゲンを吸着しやすい物は要注意です。
犬の毛そのものがアレルゲンではありませんが、犬の毛にはアレルゲンが付着しています。
このため、定期的にシャンプーを行うことも大切です。
過去の実験結果では、犬をシャンプーしてシャワーで洗うことで、アレルゲンを8割以上減らせるとの報告がなされています。
しかしこの数値をキープするためには、週2回の頻度のシャンプーが必要とされています。
犬は皮膚が薄く敏感なため、必要以上にシャンプーしてしまうと皮膚炎の原因となってしまいます。
このため多くても月2回程度のシャンプーが限界です。
愛犬の肌荒れに注意しながら、できるだけ多くの定期的なシャンプーも大切な予防策となります。
こまめなブラッシングも大切な予防策となります。
抜け毛が散らばることを防げるし、フケの量も軽減できます。
犬に触った場合、できる限り手洗いやうがいを行っておきましょう。
アレルゲンは犬の毛や唾液、フケなどに含まれています。
手洗い&うがいで少しでもアレルゲンとの接触を減らすように、普段から努めてください。
部屋にワンちゃんがいる場合、部屋の換気を行うことでアレルゲンの減少を図れます。
1日に何度か空気の入れ替えを行う習慣をつけてみましょう。
アレルギーになりにくい犬として取り沙汰されたのが、「ハイポアレジェニック・ドッグ」(Hypoallergenic dog)として話題を集めた、抜け毛が比較的少ないトイプードルやビションフリーゼなどの犬種です。
しかし、「アレルギーが出ない犬」が実際にいるわけはありません。
そのような状況でも、アメリカの犬種協会のアメリカンケネルクラブ」(AKC)は、「アレルギーでも飼いやすい犬種」として、以下の17犬種を発表しました。
はたしてどれほどの確証があるかは疑問ですが、話題を集めたので紹介しておきましょう。
2.アフガンハウンド
3.アメリカンヘアレステリア
4.ケリーブルーテリア
5.コトンドチュレアール
6.スパニッシュウォータードッグ
7.ソフトコーテドウィートンテリア
8.チャイニーズクレステッドドッグ
9.トイプードル
10.ビションフリーゼ
11.ベドリントンテリア
12.ペルビアンインカオーキッド
13.ポーチュギーズウォータードッグ
14.マルチーズ
15.ミニチュアシュナウザー
16.メキシカンヘアレスドッグ
17.ロマーニャウォータードッグ
犬アレルギー症状が出て、どうしても愛犬を飼えなくなった場合、みなさんはどのように対応するでしょうか?
保健所や動物愛護センターに持ち込むという方がいそうですが、これはNGと判断すべきです。
これははっきり言って「飼育放棄」であり、この方法をとった場合、最悪ワンちゃんは殺処分されてしまいます。
家族同様に可愛がっていた愛犬が、殺処分されてしまうなんてあなたは耐えられますか?
このような悲しい手段だけは絶対に避けてください。
最低でも責任を持って、新しい飼い主を探してあげましょう。
最近では、里親探しを仲介しているサイトがたくさんあります。
このようなサイトを活用すれば、効率的に飼い主さんを見つけることも可能となります。
縁あって一緒に暮らした愛犬です。
必ずあなたが責任を持って次の飼い主さんを探してあげましょう。