「チェリーアイ」って何か可愛い感じの名前ですが、これは犬の目の病気です。
あまり聞きなれない病名でしょうが、「第三眼瞼腺逸脱(だいさんがんけんせんいつだつ)」とも呼ばれ、瞬膜と呼ばれる目の裏側の幕が炎症を起こすことで、犬の目が大きく腫れあがって、
まるでさくらんぼのようにも見えることから、この名前がつきました。
私も動物病院でチェリーアイにかかったワンちゃんを初めて見た時は、ビックリしましたね。
チェリーアイは、自然治癒することはまずないため、早期発見、早期治療が必要であり、放置すれば失明の可能性もある恐ろしい病気だと認識しておきましょう。
今回は、チェリーアイの原因や症状、治療法などについて紹介します。
遺伝性疾患が原因として、生まれつき第三眼瞼腺が骨膜とのつながりが虚弱な犬種が存在し、そのような犬種はチェリーアイを発症しやすいとされています。
遺伝性疾患の継承を防ぐためにも、チェリーアイを発症した犬との交配を控えることが大切といえます。
チェリーアイを起こしやすい好発症犬種は以下の通りです。
・ブルドッグ
・フレンチブルドッグ
・コッカースパニエル
・ペキニーズ
・ビーグル
・シーズー
・ボストンテリア
・バセットハウンド
好発年齢は6ヶ月齢~2歳とされますが、1歳を迎える前に発症するケースが多いのが特徴です。
チェリーアイは、後天的な要因によっても発症します。
目に外傷を負ったり、瞬膜が傷つき炎症を起こし腫れあがったり、目の奥に腫瘍が出来ることなどで、チェリーアイを発症します。
チワワのような目が大きく、前に飛び出た形状の目を持つ犬種だと、目に怪我を追う確率が高まり、チェリーアイを含めた目のトラブルには要注意です。
チェリーアイの症状は、片目でのみ起こることが多いですが、両目に起こることもあります。
涙が大量に出たり、目をこすったり掻いたりする様子がみられる場合は注意が必要です。
チェリーアイになってしまうと、目頭の部分にサクランボのような赤い腫れが現れます。
同時に結膜炎や角膜炎を引き起こすこともあります。
チェリーアイは痛みはほとんど無いそうですが、膨らんでいるために、犬が目を閉じる際には違和感を感じたり、また、飛び出した部分が視界に入るために気になってしまいます。
そのためどうしても、前足で頻繁に目をこすってしまう動作が生じます。
第三眼瞼の本来の働きは、瞬きをして目を閉じた瞬間に広がって、眼球を異物から守っています。
しかし、チェリーアイになってしまうと、膨らみ外に飛び出しているため、この働きができません。
したがって、頻繁に瞬きをおこなったり、まぶしそうに目を細める仕草が増えることとなります。
チェリーアイになってしまうと、第三眼瞼が目を守る役目が果たせず、目が充血してしまい、涙の量が増えてしまい、大量の涙がこぼれてしまうような症状が発生してしまいます。
症状が軽症のケースでは、対症療法として点眼薬の投与で炎症を治めます。
しかし効果は薄いとされており、なかなか回復が見込めないことが多いようです。
ある程度の大きさまで炎症が進んでしまうと、外科手術を行うことになります。
手術方法は、通常「第三眼瞼腺切除」あるいは「第三眼瞼腺埋没」となります。
第三眼瞼腺切除手術をしてしまうと、瞬膜を切除することとなるため、涙の量が極端に減ってしまい、ドライアイなどの症状を引き起こす可能性が高まります。
そのため、可能であればできるだけ瞬膜腺を切除しない術式を選ぶのがおすすめです。
そうなると第三眼瞼腺埋没手術となります。
第三眼瞼腺埋没手術とは、第三眼瞼腺を第三眼瞼に縫い付けることにより、外に飛び出さないようにするものです。
このため、ドライアイも防ぎやすく、リスクが少なく安心だとされていますが、慢性的に炎症してしまっている状態であると、切除手術を選ぶことが多くなります。
チェリーアイになった場合、まず自然治癒することはありません。
飛び出してしまっている第三眼瞼腺は、そのままでは元に戻ることはありません。
外部から押し戻せば一旦戻りますが、またすぐに飛び出してきます。
放置すれば、回復せずに間違いなく悪化してしまい、慢性化したり他の目の病気を併発することに繋がってしまいます。
チェリーアイになれば、涙が眼球全体に広がらなくなるため、眼球が乾きやすくなり、その結果、乾性角結膜炎(ドライアイ)や結膜炎や角膜炎を引き起こすこととなってしまいます。
また、違和感からワンちゃんは目をこするので、第三眼瞼腺(瞬膜腺)を傷つけてしまったりします。
涙が大量に出るため、涙焼けができて目の周りが茶色になり、常に濡れているため細菌が繁殖しやすくなります。
眼球が乾燥してしまうと、最悪失明してしまうこともあるため、決して放置せずに早く治療することが必要となります。
残念ながらチェリーアイの直接的な予防法はありません。
一番大事なことが早期発見して早期治療することと、後天性の原因となる外傷や炎症を負わせないように注意することです。
チェリーアイは、愛犬の顔をよく見ていれば、気がつくことが可能な病気といえます。
目元が腫れ上がるように膨らんでくるため、先ほど紹介したチェリーアイを起こしやすい好発症犬種を飼っている飼い主さんは、特に注意してあげましょう。
少しでも愛犬の目の異変を感じた場合は、チェリーアイを引き起こ前に動物病院に連れていってあげて、検査を受けてみましょう。
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