夏になると暑さ対策で、愛犬をバリカンで丸刈りにする「サマーカット」が、定番の夏のカットスタイルとして定着されつつあります。
あなたも愛犬を丸刈りにした経験があるかもしれませんね。
確かに真夏に体を体毛で覆われているチワワは、いわば真夏にセーターを着ているような状態といえるでしょう。
夏場にセーターを着ているなんて、想像しただけで暑さで倒れそうです。
ここからみなさんが考える発想が、愛犬を丸刈りにして毛を無くし、セーターを脱がしてあげようということです。
至極理にかなった当然の考えのように思えてしまいますが、物事はそんなに単純にことは運びません。
実はチワワをサマーカットで丸刈りしてしまうと、毛質が変化したり、日焼けやかえって熱中症のリスクを高める可能性もあるのです。
サマーカットには、メリットとデメリットが存在するので無暗に行わず、しっかり理解した上で実施することが大切となります。
夏場になるとサマーカットが流行していますが、猫も杓子も行うわけにはいきません。
サマーカットに適した犬種と、向かない犬種がいることを知っておきましょう。
まず最初にサマーカットをする必要がないワンちゃんを知っておきましょう。
犬の被毛には種類があって、被毛が長い犬種や短い犬種がおり、ショートヘアーの犬種はスムースタイプとも呼ばれ、全身が非常に短い毛で覆われており、毛の長さが短いためにカットをすること自体ができないので、サマーカットをする必要がありません。
毛の上からでも、簡単に骨格や筋肉のアウトラインが確認できるほどです。
あと、ヘアレスドッグと呼ばれるメキシカン・ヘアレス・ドッグや、チャイニーズ・クレステッド・ドッグなどは、被毛がない、もしくは被毛が少ない犬種のため、カットすべき毛が存在しませんから、当然ですがサマーカットはおろか通常のカットすらほぼ行えません、
・ボストンテリア
・ラブラドール・レトリーバー
・ボクサー
・ビーグル
・ダルメシアン
・バセット・ハウンド
・ブラッドハウンド
・ワイマラナー
・ブル・テリア
サマーカットを必要とする犬種は、被毛が長い長毛犬種となります。
・ゴールデン・レトリーバー
・アフガンハウンド
・シーズー
・ダックスフンドのロングコート
・チワワのロングコート
・シェットランド・シープランド
・スカイテリア
・シルキーテリア
ワイヤーヘアーまたは「ブロークンヘアー」と呼ばれる犬種は、ごわごわした硬い頑丈な毛で覆われており、一般的に抜け毛が少なく、ショートヘアーの犬種よりは毛は長めですが、暑苦しく感じるほどではありません。
このため、サマーカットを行う頻度は少ないようですが、飼い主さんによっては行うケースもあります。
主なワイヤーヘアーの犬種は以下の通りです。
・ボーダーテリア
・エアデール・テリア
・アイリッシュ・テリア
・ウェストハイランド・ホワイト・テリア
・アーフェンピンシャー
・シュナウザー
・ブリュッセル・グリフォン
・オッターハウンド
飼い主さんが愛犬を丸刈りのサマーカットにする理由が、暑さ対策です。
気温が高い夏場などは、人間同様にワンちゃんだって熱中症になります。
実は人間以上にワンちゃんの方が、熱中症には要注意であるとさえ言われています。
理由は、ワンちゃんは人間のように汗をかいて体温を下げることが出来ない上に、体を被毛でびっしりと覆われていて、体温が籠りやすいからです。
このため、サマーカットを行って暑さ対策を行うわけです。
ところが単なる丸刈りのサマーカットを行ってしまうと、暑さ対策となるどころかデメリットとなってしまうケースもありえます。
この理由はこの後のサマーカットのデメリットで詳しく紹介します。
実は効果があがるサマーカットにするためには、バリカンでの丸刈りはNGであり、あまり短くしすぎてはいけません。
全体を短く刈り込むのではなく、毛を梳くような感じで長さを保って、全体量を少し減らす程度とするのが良いのです。
また、お腹やワキの下の箇所など、一部分のみを短くしてあげましょう。
これで少しワンちゃんは涼しくなれます。
夏場は愛犬と一緒に海や川で泳いだりして遊ぶことも多くなります。
そんな時には、ワンちゃんの被毛が短くカットされていれば、手入れがしやすくなります。
洗ってもすぐ乾くため、非常に手入れがしやすいというメリットが生じます。
愛犬の毛をもっさとした感じで伸ばしっぱなしにするよりも、さっぱりと刈込、すっきりとサマーカットにした方が、よほど顔立ちもすっきりするものです。
体格もこんなに細かったのかと見違えるほどの印象にかわり、華奢に見えて見た目にも愛らしさが増します。
今人気なのが、顔のまわりだけ毛を残して全身の毛をバリカンで短く刈り込むスタイル。
それこそ別犬に見間違えるほどの強いインパクトがあり、SNSでも人気が高く流行っています。
ワンちゃんも紫外線を浴びれば日焼けをします。
普通の状態であれば被毛が覆って守ってくれているため、人間みたいに全身が真っ黒になるような焼け方はしません。
しかしサマーカットで短くカットしすぎてしまえば、皮膚を紫外線から守る役割が低下します。
このため、丸刈りや短すぎるサマーカットは、日焼けを助長することになって危険です。
紫外線を直接浴びてしまうと、皮膚が硬くなったりシミができたりし、さらに皮膚がんになるリスクも高まります。
通常の状態でもチワワの耳の先、まぶた、鼻の頭、口周り、お腹などの箇所は日焼けしやすいといえます。
その中でも特に日焼けしやすいのが鼻の頭です。
最近では日焼け対策に通気性の良いUVの服を着せたりしていますが、鼻の頭や、耳の先の日焼けは洋服では防ぐことができません。
そこでオススメしたいのが日焼け止めシートです。
「犬用 日焼け止め シート」
ペットキン 日焼け止め マイクロファイバーシート 20枚入
価格:1,573円
ベタつかずさらさらした使用感で、有害な紫外線からワンちゃんの皮膚や耳、鼻などを保護。
サマーカットを行って、愛犬を涼しく快適にしていると思い込むのは大きな間違いです。
犬の体毛には、実はとても素晴らしい機能が隠されているのです。
暑い夏場でも体毛があることで、犬ちゃんは体温を上手に管理する機能が備わっています。
犬の体毛には、断熱材の効果が働きます。
体毛があることでいくつもの空気の層ができ、仮に暑い夏の日差しを直接浴びたとしても、体毛の表面から犬の皮膚に届くまでの間に存在する空気の層によって熱が吸収されてしまい、皮膚に
までは暑い熱気は届かないのです。
このせっかくの断熱材機能を、サマーカットで毛を短くカットすることで無くしてしまうのです。
体毛があることで、直射日光を皮膚に直接受けることを防ぐ効果があります。
実はサマーカットで短く毛をカットしすぎてしまえば、見た目は涼しそうですが、直接日光を肌に受け、熱中症になるリスクが上昇してしまいます。
夏場はアウトドアが増え、愛犬と一緒に外を出歩く機会も増えます。
そんな夏場にサマーカットで短く体毛をカットしてしまうと、本来であればノミやダニ、蚊、蜂などの害虫などから皮膚をまもってくれるはずの被毛がなくなってしまいます。
このため、虫に刺されやすくなってしまいます。
また、被毛には、皮膚の乾燥を防止したり、外からくるウイルスの感染を防ぐ役割もあります。
このように被毛には目に見えない大切な役割が想像以上にあり、皮膚の状態や体の状態を管理するために必要不可欠であり、被毛があることで上手くバランスをとって健康維持に努めているのです。
愛犬をバリカンで丸刈りにした場合、毛質が変ってしまう覚悟をするべきです。
人間でも坊主にすると、毛質が変わってしまうという話をよく耳にしますが、これはワンちゃんの場合にも当てはまります。
それまでフワフワの毛並みだった愛犬が、一度サマーカットをしてしまったために、その後ゴワゴワでクルクルした癖毛に代わってしまうケースがあります。
また、真っ白の純白から、少し濁ったような色へと、毛質のみならずカラーまで変化してしまったりします。
さらに、トレッドヘアであるプーリーやコモンドールなどの犬種であれば、一度毛を刈ってしまうと二度と体毛が伸びないと言われています。
下毛と上毛のあるダブルコートの犬種も要注意だそうです。
毛刈り後の脱毛症と呼ばれているようですが、ダブルコートのポメラニアンやシェルティなどは、あまり短くカットしてしまうと毛が生えてこなくなることもあるそうです。
原因ははっきり分かっていませんが、ホルモンの異常や、皮膚表面温度の減少に伴う影響による、皮膚の血管収縮などのためと考えられています。
また、毛の抜ける換毛期のあるワンちゃんも、生え方のムラや毛質変化が生じやく要注意とされています。
そのため、チワワ・ダックス・柴犬・コーギーなどは注意してください。
このように、バリカンで刈り上げる犬の全身サマーカットは注意が必要となります。
通常、丸刈りのサマーカットを頼むケースでは、トリマーさんから被毛の変化について十分説明があるのが普通です。
説明もなく丸刈りオーダーをホイホイ受けてしまうようなトリマーは、要注意で信用できません。
技術と知識が足りないと判断するべきでしょう。
このような危険が伴うため、間違っても自分で丸刈りにしようなんてバカなことは考えないようにしてください。
あとでいくら後悔しても、どうにも取り返しができません。
ちなみに、シングルコートの犬種であるプードルやシーズー、ヨークシャテリアなどの犬種は、毛質が変化することは比較的少ないようです。