愛犬の去勢手術を行っているケースが、想像以上に多いようです。
何故去勢は必要とされているのでしょうか?
とても大切な問題なので、メリットとデメリットをしっかり把握して、考え方を見直してみる必要があります。
ひと昔前であれば、現在ほど去勢が大事と騒ぐこともなく、ほとんどの愛犬は去勢手術をしていませんでした。
はっきり言って、去勢手術を行うなどという選択肢事態が無かったはずです。
犬の飼い方の本を読めば、ケースによれば去勢手術は必須と記されていたりします。
実際に私も愛犬を購入する際に、ペットショップで手術をすすめられたほどです。
病気であれば手術するのは当然ですが、元気なのに体にメスを入れるなんて、自然の摂理に反しているようにも感じらえるものであり、世間でも賛否両論あるようです。
そもそも、オス犬の去勢ってどんなものなのかを紹介してみましょう。
簡単に言えば、精巣を摘出する手術となります。
ワンちゃんに全身麻酔を施して、切開して精巣・睾丸を取り出します。
通常であれば、切開幅は数センチ程度ですみます。
なお注意が必要なケースがあります。
それは、睾丸が所定の位置にない、「停留睾丸」という症状です。
通常、オス犬は睾丸が体の中にあるままの状態で産まれますが、そのうち成長の段階で降りてくるはずが、そのまま留まってしまうケースがあるのです。
このケースでは、開腹手術となってしまうそうです。
また、停留睾丸が判明した段階で、去勢手術がすすめられることとなります。
これは、体内に収まっている状態のままだと腫瘍化する可能性が高く、ほとんどの場合はがん細胞になってしまうためです。
・病気予防に繋がる。
・生活行動の改善が期待できる。
・子孫を望む予定がなければ手術をすべき。
・術中に体調の異変が起きるリスクがある。
・自然の摂理に反する。
・病気でもないのにメスを入れるのは可哀そう。
・病気が起こってから手術すればよい。
こんな具合に考え方はいろいろあるわけです。
しかし感情でモノを言っていても始まりません。
しっかりと、メリット・デメリットを理解して、判断すべきでしょう。
まず最初に、愛犬の去勢をするうえでの、「デメリット」を紹介します。
愛犬が元気なのに手術をするわけです。
この場合、人間心理として特に「メリット」よりも、「デメリット」のほうが気になってしまうものです。
普段の病気の手術のケースでも、有無を言わせない命に関わるような場合でなければ、通常みなさんまずは医者に「手術の安否、大丈夫なんですか?成功しますか?」という具合に尋ねるものです。
つまり人間心理は、良くなるメリットよりも、悪くなるデメリットの方が心配で気になってしまうものなのです
最大のリスクは、手術を失敗して愛犬が死ぬ可能性があることです。
失敗する確率は、約0.1%と言われています。
つまり、約1000頭に1頭の確率で、死亡するケースがあるわけです。
この1/1000の確立に、自分の愛犬が当たってしまうかもしれないリスクがあるのです。
比較的簡単な手術だと言われていますが、絶対に安全な手術はないわけであり、去勢・避妊手術は、全身麻酔で行うため、麻酔への影響が結構危険なようで、麻酔手術からそのまま覚めることなく死亡したり、ショック死する場合が多いそうです。
一応3キロの体重があれば麻酔には耐えることができるとされています。
当然これも絶対ではありませんが、チワワのような超小型犬では、体重が3キロにも満たないケースも多く、一層危険となります。
基本的には、オスは切除手術となり、メスは開腹手術となる分、メスの方が幾分リスクが高まるそうです
なお、命は助かったとしても、体質や持病によっては、麻酔に耐えられず後遺症を残すケースだってあります。
また、老犬に去勢手術を行うことはないでしょうが、他の病気で手術を行う際には、10歳以上の高齢犬は麻酔のリスクが高まります。
もちろん、全て事前検査をした上で麻酔を行っていますが、100%保証ができるわけがありません。
術後には、どうしてもいろいろな影響がでやすくなってリスクが高まります。
・尿管異常尿疾患
・療合遅延
・術創の離開
・感染症
・アレルギー反応
術後には、上記のような症状に対して注意が必要となります。
ワンちゃんは、術後の傷口が気になってしまうものです。
そのためどうしても、自分で傷口を掻いてしまうことで起こる自己裂傷や、体質などによる脱毛や毛並みが悪くなる皮膚疾患というリスクを生じます。
去勢を行えば、生殖器に関する病気の発生率を下げられるためススメられますが、実は反対に骨肉腫の発生率は2倍になると言わています。
犬種にもよりますが、中型・大型犬に比較的多いとされています。
また、甲状腺機能低下になることもあるとされています。
それでも、統計的には、去勢を行った方が生存率は長くなるそうです。
去勢手術後に太りやすくなる愛犬がいます。
これには幾つかの理由が考えられます。
・手術によって男性ホルモンの分泌がなくなるため、基礎代謝が低下する。
・生殖器に必要であった分の基礎的な消費カロリーが減少するため、太りやすくなる。
・性衝動によるストレスがなくなるため。
上記のような理由に基づき、手術後のチワワが肥満になる傾向があります。
ただし、当然ながら個体差があるので、手術をしても太らないワンちゃんもいます。
また、愛犬の肥満は、起こりやすくなったとしても、食事の管理と適正な運動で防ぐことが出来ます。
食事管理は、手術をしてもしなくても必要なものだとも言えます。
先ほど紹介した肥満を招くような体質の変化に加えて、性格的な変化が生じる可能性もあります。
当然全てが変わるわけではありませんが、縄張りに対する防衛行動や攻撃行動には変化が生じる場合があります。
そのため、ちょっと感じが変わったと感じてしまうケースもあるかもしれません。
よく、穏やかな性格になりがちで、ちょっと甘えん坊になるなんて言われたりもします。
当然ですが、手術してしまうと生殖器を取り除いたわけですから、今後、万が一子どもが欲しくなっても無理であり、繁殖させたくてもできません。
通常であれば、愛犬も年を重ねれば、精神的に成長して落ち着くものですが、去勢したケースでは、精神的に幼さが残ることがあるとされています
滅多なことはないと思っても万が一の事態を想像してしまい、飼い主さんの気持ちが不安を感じてストレスを感じてしまいます。
また、去勢させること自体に罪悪感を感じ、葛藤してしまう飼い主さんも少なからずいるみたいです。
そういう意味において、飼い主さんの気持ちの不安もデメリット要素となりえます。
行わなければいらない費用が生じるわけですから、これもデメリットです。
去勢手術を受ける病院によってもそれぞれ費用は違ってきますが、一般的な目安としては15,000円~30,000円程の金額になります。
なお、手術前の検査代や薬代は別途かかるため、注意してください。
私の印象では思ったより安く感じていますが、みなさんのイメージはどうですか?
手術と言えば高額に思えてしまいますが、いろいろあるのでしょうね。
先日、おとんが白内障のレンズの濁りを取る、レーザー手術を受けていましたが、金額が15,000円だったようです。
なお、自治体によっては、ワンちゃんの去勢費用の補助金を支給してくれるケースがあります。
全ての自治体が対応しているわけではないため、補助金を支給してもらいたいと考える場合は、確認してみてください。
当然ですが、手術前に手続きが必要になります。
去勢をしておくことで、愛犬の長寿化が(1.5年)期待できると言います。
これはストレス軽減による効果や、生殖器疾患の病気の予防効果がある結果とされています。
確かに愛犬が長生きしてくれることに繋がれば、最大のメリットといえますね。
去勢をしておくことで、高齢になってから起こりやすい病気(生殖器疾患)の予防が期待できます。
よく聞かれるのが、実際に病気になるか分からないため、病気になってから手術をすれば良いという意見です。
しかし、高齢になってからの手術は麻酔の負担が大きくなり、手術出来ずに治せないということもしばしばあります。
5歳以上になると、オス特有の生殖器やホルモン系の病気発症のリスクが高まります。
去勢手術を事前に行っておくことで、これらの病気を予防できるというメリットが生じます。
・精巣炎
・精巣上体炎
・潜在精巣
・前立腺炎
・前立腺過形成
・肛門周囲腺腫
・会陰ヘルニア
なおメス犬が避妊手術を受けたケースでは、子宮蓄膿症、卵巣腫瘍、子宮内膜炎などの病気が予防できます。
また、乳腺腫瘍のケースも、2歳以前の避妊手術であれば高確率で予防できるとされています。
去勢することで、マーキングやマウンティングの軽減が期待できます。
マーキングとは普段のトイレとは違います。
臭いつけて縄張りを主張するために、少量のおしっこを掛けて回ることです。
よく、足を上げておしっこをすることが、マーキングだと勘違いしている飼い主さんが見えますが、この行為はマーキングではありません。
マーキングは、他のワンちゃんの匂いがするから、自分をアピールするために習性としてオシッコをするものであり、トイレトレーニングで直せるものではありません。
このため、マーキングが軽減されるととても助かります。
しかしこれはあくまで個体差があるので、去勢をしても変わらずマーキングなどをする愛犬もいます。
去勢をしている場合、ホルモンの関係などから、攻撃性・支配性・縄張り意識の軽減が生じることが多くなります。
このため、ワンちゃん同士のケンカを減少させることができます。
テリトリー意識が低くなるため、攻撃性が弱まり、穏やかになります。
このため、吠えたり、噛むなどの行動が抑えられやすくなり、飼いやすくなります。
去勢手術をすることにより殖能力がなくなるため、発情したメス犬を求める行動欲求がなくなります。
このため、欲求不満からくるストレスが軽減されると同時に、脱走してまでメス犬を追いかけるといった問題行動もなくなります。
また、他のオス犬との争いもほとんど見られなくなり、縄張りに侵入されることから生じる心配によるストレスも受けなくなります。